The Fermi Paradox
The Fermi Paradox
SETI Institute
In 1950, the famous physicist made a seemingly innocuous lunchtime remark that has caught and held the attention of every SETI researcher since. The utterance came while Fermi was discussing with his mealtime mates the reasonable possibility that many sophisticated societies populate the Galaxy. But somewhere between one sentence and the next, Fermi’s supple brain realized that if this was true, it implied something profound. If there are really a lot of alien societies, then some of them might have spread out.
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But keep this in mind: The Fermi Paradox is a very large extrapolation from a very local observation. You might just as well look out your window and conclude that bears, as a species, couldn’t possibly exist because you don’t see any. This, despite the fact that, in the history of North America, the bears have had plenty of time to shamble into your yard.
SETI experiments at least offer the promise of relegating the Fermi Paradox to the dustbin of historical curiosities by proving that other intelligence is out there. In science, speculation is essential, but experiment is definitive.
https://www.seti.org/fermi-paradox-0
人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ
ミチオ・カク(著)
地球がいずれ壊滅的なダメージを受けることは避けがたく、人類は生き延びるために宇宙に移住する必要がある。
本書は世界的に高名な物理学者が、1)月や火星への移住、2)太陽系外への進出、3)人体の改造や強化、の3段階で宇宙の進出の方途を示す。NASAやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスらの宇宙開発への挑戦を追いながら人類の未来を見通す、最高にエキサイティングな一冊!
第Ⅰ部 地球を離れる
第1章 打ち上げを前にして
第2章 宇宙旅行の新たな黄金時代
第3章 宇宙で採掘する
第4章 絶対に火星へ!
第5章 火星──エデンの惑星
第6章 巨大ガス惑星、彗星、さらにその先
第Ⅱ部 星々への旅
第7章 宇宙のロボット
第8章 スターシップを作る
第9章 ケプラーと惑星の世界
第Ⅲ部 宇宙の生命
第10章 不死
第11章 トランスヒューマニズムとテクノロジー
第12章 地球外生命探査
第13章 先進文明
第14章 宇宙を出る
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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』
ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行
第Ⅲ部 宇宙の生命
第12章 地球外生命探査 より
物理学者のスティーヴン・ホーキングはこう警告した。「知的生命が、われわれにとって出会いたくない存在となりうることは、われわれ自身を見るだけでわかる」。そしてクリストファー・コロンブスとアメリカ先住民の遭遇の結果を引き合いに出し、「良いことにはならなかった」と結んだ。また、宇宙生物学者のデイヴィッド・グリンスプーンは言う。「飢えたライオンがうようよいるジャングルに住んでいる人が、木から飛び降りて『おーい』と叫ぶだろうか?」
ところが、われわれはハリウッド映画に洗脳されているせいで、侵略してくるエイリアンが人類より数十年、数百年進んだテクノロジーをもっていても、彼らを打ち負かせると思い込んでいる。
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私自身は、宇宙のどの先進文明も平和を好むようになると思っている。彼らはわれわれよりはるかに進んでおり、莫大な時間のなかで古くからの派閥、部族、人種、原理主義をめぐる対立を解消しているのではなかろうか。だが、そうでないとしたら用心する必要がある。宇宙へ向けて電波信号を送り、どこかの異星文明にわれわれの存在を知らせるよりも、まずは異星文明について調べるのが賢明だろう。
私はいずれ地球外文明と接触があり、ひょっとしたら今世紀中にもそれが起こるかもしれないと考えている。彼らは無慈悲な征服者ではなく、慈愛に満ち、みずからのテクノロジーを喜んでわれわれに分け与えてくれるかもしれない。するとそれは、火の発見に匹敵する、史上最大級の転機となるはずだ。これがその後何世紀にもわたる人類文明の道筋を決める可能性がある。
SETI
この問題を積極的に解決すべく、現代のテクノロジーを用いて天空を走査し、宇宙の先進文明のしるしを見つけ出そうとしている物理学者もいる。その取り組みは地球外知的生命探査(SETI)という、地球上でトップクラスの性能をもつ電波望遠鏡によって天空を走査し、異星文明からの通信に耳をすますやり方だ。
現在、マイクロソフトの創業者のひとりであるポール・アレンなどによる寛大な寄付のおかげで、SETI研究所はサンフランシスコから400数十キロメートル北東のカリフォルニア州ハットクリークに、最新鋭の電波望遠鏡を42基建造している。最終的に、ハットクリークの施設には、周波数1~10ギガヘルツの電波を走査する電波望遠鏡が350基できるようだ。
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1961年、天文学者のフランク・ドレイクは、宇宙のエイリアンにかんするいい加減な推定の数々に不満を覚え、そのような文明が見つかる確率を計算しようとした。たとえば、天の川銀河にある恒星の数(およそ1000億)から初めて、そのうち周囲に惑星をもつ割合を見積もり、次にそうした惑星に生命がいる割合を見積もり、さらに知的生命がいる割合を見積もるといった具合に絞り込んでいくのだ。これら一連の割合を掛け合わせると、銀河系に存在しうる先進文明の概数が得られる。
フェルミのパラドックス――みんなどこにいるんだ?
それでもまだ、厄介な疑問がひとつ残る。それはフェルミのパラドックスで、「みんなどこにいるんだ?」というものだ。彼らが存在するならきっと跡を残すはずで、ひょっとしたらわれわれのもとを訪れさえしているかもしれないが、エイリアン訪問の物的証拠は何も見つかっていない。
このパラドックスを解決する答えは、いくつも考えられる。私の考えは次のとおりだ。エイリアンが実際に数百光年先から地球にたどり着けるとしたら、彼らのテクノロジーはわれわれよりはるかに進んでいる。その場合、エイリアンが何百兆キロメートルも旅して、何も受け取れるもののない後進文明を訪ねてくると考えるのは傲慢だ。そもそも、森に行ったとして、シカやリスと話そうとするのだろうか? 初めは声をかけてみるかもしれないが、答えが返ってこないので、すぐに興味を失ってその場を去るだろう。
したがってたいていの場合、エイリアンはわれわれには構わず、未開の珍しいものとして観察するはずだ。あるいは、オラフ・ステーブルドンが何十年前に考えたように、エイリアンには未開の文明に干渉してはならないという掟があるのかもしれない。つまり彼らは、われわれの存在に気づいてはいるが、進歩に影響を与えたくないというわけだ(ステーブルドンはもうひとつの可能性を提示し、こう書いている。「このような前ユートヒア段階の、邪悪ではないが、それ以上の進歩は望みえない世界のいくつかは、ちょうど地球で、野性の生物が国立公園で科学的な目的から保護されているように、平穏のうちに放っておかれ保護されたものである」(『スターメイカー』[浜口稔訳、国書刊行会]より引用)。
SETI研究所のセス・ショスタク博士にこの疑問をぶつけたとき、まったく違う答えが返ってきた。われわれより進んだ文明はおそらく人工知能を生み出しているはずだから、ロボットを宇宙に送り出しているというのだ。われわれがついに遭遇するエイリアンが生物ではなく機械だとしても驚くことはない、と彼は言った。『ブレードランナー』のような映画では、ロボットが宇宙へ送り出され、汚れ仕事をしている。宇宙探査は困難で危険だからである。これがまた、エイリアンの出す電波がとられられていない理由を説明してくれるのかもしれない。エイリアンがわれわれと同じテクノロジーの発展過程をたどるとしたら、電波を発明してすぐにロボットを生み出すはずだ。人工知能の時代に入れば、彼らはロボットと融合し、ほとんど電波は要らなくなる。
じっさいロボットの文明は、電波やマイクロ波のアンテナではなく、ケーブルでつながっているのかもしれない。そのような文明は、SETI計画の電波望遠鏡では検知できない。つまり、異星文明が電波を利用する期間はわずか数世紀ほどという可能性があり、それこそわれわれが通信を拾えないひとつの理由かもしれない。
エイリアンはわれわれの惑星から何かを奪いたがっているのではないかと推測した人もいる。ひとつ考えられるのは、海にある液体の水だ。液体の水は、確かに太陽系では地球のほか、巨大ガス惑星の衛星にしか見つかっていない貴重な物資である。しかし、氷はそうではない。宇宙には、彗星、小惑星、それに巨大ガス惑星を周回する衛星に、多量の氷が存在している。ならば異星文明は、氷を温めさえすればいい。