じじぃの「科学・地球_183_人類宇宙に住む・遺伝子編集・CRISPR」

Genetic Engineering Will Change Everything Forever - CRISPR

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jAhjPd4uNFY

CRISPR Posthuman Aesthetics

November 1, 2016 CRISPR
●DESIGNER BABIES
Some of CRISPR’s uses can be implemented in a general health care for everyone, like the cure for HIV, which they seem to promise.
But other uses of CRISPR, like designer babies and eternal youth, will be only for the privileged. Here one could anticipate a challenge to human unity, either in classical terms of class or in terms of generations. If CRISPR develops its potential to create designer babies and that becomes a norm, just like the nuchal scan today, we might end up seeing a gap between those born before and after CRISPR was implemented, where those before CRISPR becomes the old and dumb losers in society.
https://open-tdm.au.dk/ph/2016/11/crispr/

人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ

ミチオ・カク(著)
地球がいずれ壊滅的なダメージを受けることは避けがたく、人類は生き延びるために宇宙に移住する必要がある。
本書は世界的に高名な物理学者が、1)月や火星への移住、2)太陽系外への進出、3)人体の改造や強化、の3段階で宇宙の進出の方途を示す。NASAイーロン・マスクジェフ・ベゾスらの宇宙開発への挑戦を追いながら人類の未来を見通す、最高にエキサイティングな一冊!
第Ⅰ部 地球を離れる
 第1章 打ち上げを前にして
 第2章 宇宙旅行の新たな黄金時代
 第3章 宇宙で採掘する
 第4章 絶対に火星へ!
 第5章 火星──エデンの惑星
 第6章 巨大ガス惑星、彗星、さらにその先
第Ⅱ部 星々への旅
 第7章 宇宙のロボット
 第8章 スターシップを作る
 第9章 ケプラーと惑星の世界
第Ⅲ部 宇宙の生命
 第10章 不死
 第11章 トランスヒューマニズムとテクノロジー
 第12章 地球外生命探査
 第13章 先進文明
 第14章 宇宙を出る

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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

第Ⅲ部 宇宙の生命

第11章 トランスヒューマニズムとテクノロジー より

怪力

1995年、世界は衝撃を受けた。映画でスーパーマンを演じていた二枚目俳優クリストファー・リーブが事故に遭い、痛ましいことに首から下が麻痺してしまったのだ。リーブは、スクリーンでは宇宙にまで舞い上がったが、一生車椅子で暮らすことを余儀なくされ、人工呼吸器なくしては呼吸もままならなくなった。そんな彼が夢見たのは、現代のテクノロジーで、再び手足を動かせるようになることだった。リーブは2004年に世を去った。彼の夢が実現するわずか10年前である。
2014年、ブラジルのサンパウロで催されたワールドカップ開会式で、ひとりの男性がサッカーボールを蹴って大会の開始を告げた。このイベントを10億人が目にしていた。これ自体は驚くようなことではない。驚くべきは、この男性が麻痺患者だったことだ。デューク大学のミゲル・ニコレリス教授が、この男性の脳にチップを埋め込んでいたのである。チップはポータブル・コンピュータに接続されており、男性の外骨格を制御していた。ただ考えるだけで、この麻痺患者は歩いてボールを蹴ることができた。

CRISPR(クリスパー)革命

バイオテクノロジー分野における発見のベースは、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats=クラスター化され、規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し)という新技術の登場により、最近急激に加速している。この技術は、DNAを経済的・効率的かつ正確に編集できるようにしてくれた。かつて、遺伝子操作は時間のかかる不正確なプロセスだった。たとえば遺伝子治療では、「良い遺伝子」をウイルス(無毒化されているため害はない)へ組み込む。それからウイルスを患者の体に入れると、ウイルスは即座に細胞に感染してDNAを注入する。目指すのは、染色体上の適切な場所へDNAを入らせ、細胞の欠陥コードを「良い遺伝子」で置き換えることだ。鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、嚢胞(のうほう)性線維症など、一般的な病気のいくつかは、DNAのただひとつのスペルミスによって生じる。このスペルミスを直せる望みがあったのである。
しかし結果は期待外れだった。しばしば体がウイルスを攻撃的な相手と見なして反撃を開始し、有害な副作用をもたらすのだ。また、「良い遺伝子」が適切な場所に入らないことも多い。1999年にペンシルベニア大学で起きた死亡事故(ペンシルベニア大学遺伝子治療を受けた18歳の青年が直後に死亡し、その原因が遺伝子治療の方法にあったと発表された)以後、多くの遺伝子治療の試験が中止となった。
CRISPRは、こうした多くの問題を断ち切る。実は、この技術の基礎は数十億年前に誕生していた。科学者は、細菌がウイルスの猛攻をしりぞけるためにきわめて精密な仕組みを編み出している事実に面食らった。細菌はどうやって危険なウイルスを認識しそれを無力しているのか? 彼らは、細菌がウイルスの遺伝物質の断片をもっているおかげで脅威に気づけることを明らかにした。あたかも犯罪者の顔写真のように、細菌はこの断片をもとに、侵入してくるウイルスを識別できるのだ。細菌が遺伝子の塩基配列をもとにウイルスを認識すると、断片とぴったり一致する部位を切断して無毒化し、ただちに感染を食い止める。
このプロセスをまねて、ウイルスの塩基配列ではなく別のDNAを標的にして切断し、新たなDNAを挿入することで、「ゲノム手術」が可能となった。CRISPRはまたたく間に従来の遺伝子操作の手法に取って代わり、遺伝子の編集をすっきりと、正確に、速くできるようにしたのである。
この革命はバイオテクノロジーの分野に旋風を巻き起こした。「これで景色ががらりと変わります」と言ったのは、先駆者のひとりである米国のジェニファー・ダウドナ(フランスのエマニュエル・シャルパンティエ氏とともにゲノム編集技術を開発し、2020年のノーベル化学賞を受賞した)だ。エモリー大学のディヴィッド・ワイスはこう言う。「すべてはおおむね1年のうちに起こりました。とんでもないことです」
すでにオランダのヒューブレヒト研究所の研究者は、嚢胞性線維症を引き起こすゲノム欠陥が修復可能であることを明らかにしている。これにより、多くの不治の遺伝病が、いつか治療できるようになるという期待が高まる。多くの科学者は、いずれ、ある種のがんにかかわる遺伝子もCRISPRを用いて置換し、腫瘍の成長を止めることができると期待している。

ポストヒューマンの未来?

トランスヒューマニズム(CRISPRなどのような新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想)の提唱者は、宇宙の先進文明に遭遇するとしたら、そのエイリアンは自分の生物としての体を改変し、さまざまな惑星の厳しい環境に適応させるレベルまで進化しているだろうと考えている。トランスヒューマニズムの提唱者にとって、宇宙の先進文明は、遺伝的にも技術的にも向上した未来をきっと手に入れているはずなのだ。したがって、われわれが宇宙からのエイリアンに遭遇したとして、彼らが生物と機械の合成であっても驚くにあたらない。
物理学者のポール・ディヴィスは、もう一歩先を行なっている。「私の結論は驚くべきものだ。思うに、生物の姿をした知性は、一時的に現れたものにすぎず、宇宙での知性の進化においてはつかのまの段階にすぎない可能性がきわめて高い――それどころか、これは必然とも言える。地球外の知世に遭遇することがあれば、それは本質的にポスト生物である生物である可能性が圧倒的に高いと思うし、この結論は、SETI(地球外知的生命探査)に明白かつ多大な影響を及ぼすだろう」
さらにAIの専門家ロドニー・ブルックスもこう書いている。「私は予感する。2100年までに、日常生活のどこにでも、非常に知能の高いロボットが存在するようになる。だが、人間とそれに別々に存在するわけではない――むしろ、人間は部分的にロボットになり、ロボットにつながれるのだ」

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