じじぃの「歴史・思想_511_バイアスとは何か・バーナム効果(星座占い)」

The Barnum Effect - Why People Believe In Astrology And Psychics

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NBXRzdzFnHk

horoscopes

Horoscopes Are Bullsh*t And I Tricked My Friends To Prove It

26 AUG 2019 UNILAD
‘They’re all bollocks’ - Yeah, I’d call that a conclusive lack of confirmation bias.
https://www.unilad.co.uk/featured/horoscopes-are-bullsht-and-i-tricked-my-friends-to-prove-it/

バイアスとは何か 藤田政博著 ちくま新書

事実や自己、他者をゆがんだかたちで認知する現象、バイアス。それはなぜ起こるのか?
日常のさまざまな場面で生じるバイアスを紹介し、その緩和策を提示する。
【目次】
第1章 バイアスとは何か
第2章 バイアス研究の巨人――カーネマンとトヴァースキ

第3章 現実認知のバイアス

第4章 自己についてのバイアス
第5章 対人関係のバイアス
第6章 改めて、バイアスとは何か

                  • -

バーナム効果

ウィキペディアWikipedia) より
バーナム効果(Barnum effect)とは、星座占いなど個人の性格を診断するかのような準備行動が伴うことで、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分、もしくは自分が属する特定の特徴をもつ集団だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。
1956年にアメリカ合衆国の心理学者、ポール・ミール(P.E.Meehl)が、興行師 P・T・バーナムの "we've got something for everyone"(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉に因んで名付けた。アメリカの心理学者バートラム・フォア(en:Bertram Forer)の名をとってフォアラー効果(Forer effect)ともいう。
被験者に何らかの心理検査を実施し、その検査結果を無視して事前に被験者とは無関係に用意した「あなたはロマンチストな面を持っています」「あなたは快活に振舞っていても心の中で不安を抱えている事があります」といった診断を被験者に与えた場合、被験者の多くが自分の診断は適切なものだと感じてしまうが、この現象を「バーナム効果」と呼んでいる。

                  • -

『バイアスとは何か』

藤田政博/著 ちくま新書 2021年発行

まえがき より

この本は、『バイアスとは何か』という本です。その名の通り、バイアスとは何かについての基本的な理解を得ることを目標にしています。あらかじめ一言でまとめるならば、バイアスというのは人間がさまざまな対象を認知する際に生じるゆがみのことで、基本的には心理学、特に認知心理学の領域の問題だとされます。

第3章 現実認知のバイアス より

2 知識という呪縛

後知恵バイアス――「そんなこと、聞く前から知っていたよ」

確証バイアスは、自分がすでに持っている仮説や思い込みに関するバイアスでした。
ところが、これまで聞いたことがなかったことを聞いたのに、聞く前から自分は正しく知っていた、と思ってしまうバイアスがあります。これを「後知恵バイアス」といいます。「そんなこと、聞く前から知っていたよ」あるいは、「最初からそうなると思っていたよ」と思ってしまうバイアスです。
本当は、後から知った情報や知識を前提にして過去の出来事について判断しているのです。しかし、「後から知ったことを過去の出来事の判断に使っている」こと自体を自覚していなかったり、無意識に否認したりすることが後知恵バイアスのポイントです(Hawkins & Hastie,1990)。
後知恵バイアスについての実験に、参加者に歴史的な戦争の途中までの話を読んでもらうというものがあります(Fischhoff,1975)。
    ・
後知恵バイアスと、後で紹介する「合理性バイアス」が合わさったものを「現実バイアス」と呼びます(開・長谷川、2009、p.222)。現実をあたかも前から知っていたかのように錯覚し、当然他人も知っていると思い込むことで、必要以上に現実に囚われるからです。自分の知っていることが目の前の現実を認識する妨げになるという意味で、「知識の呪縛」といえます。
人間、経験を積んでいくと現実に関する知識が増えます。そうすると、新しいはずのことを聞いても「それは知っていたよ」「そんなこと、言われなくてもわかっていたよ」と感じることが増えるでしょう。しかしそれは本当に知っていたのではなく、単に後知恵バイアスからきた感覚に過ぎないのかもしれません。

バーナム効果――「やっぱり占いは当たる!」

後知恵バイアスは、新しく開いたことをすでに知っているかのように錯覚するバイアスでした。これが、いちばん自分がよく知っているあなた自身のことについて起きるのがバーナム効果です。
雑誌の短い占い記事のような、万人向けの曖昧な運勢や性格の記述が自分に当てはまっているように感じることを、心理学では「バーナム効果」と呼んでいます(Meehl,1956)。「あなたはこういう人です」と言われると、初めて言われたことでもなんとなくそんな気がしてくるものです。もしそういうことを言う記事があると、つい気になって見てしまいます。
その証拠に、雑誌の占いコーナーはいつでも人気があります。「今週の星占い」のコーナーには、「牡牛座……今週は仕事運が好調。職場の人に好感を与えるように行動すると吉。能力が認められてますます仕事が楽しくなるでしょう」などの記述が並びます。
    ・
また、占いと似たような性格診断とされ、日本でよく知られているものに、いわゆる「血液型性格診断」や「血液型占い」があります。

ポジティブ幻想と楽観バイアス――「自分だけは大丈夫」

バーナム効果の最後のところで見たように、私たちは悪いことは自分に起こらない、と思って過ごしています。
しかし、最近、大災害が頻発しています。大地震、大雨、新しい感染症など、21世紀に入ってからだけでも枚挙にいとまないほどです。私たちは常に災害への蓄えが必要な世界に生きていると言えます。
こうした事実を報道やインターネットで知りながらも、自分で実際に経験しないかぎりは、私たちは案外恐怖に怯えることなく、平然と日々を過ごしていたりするものです。それは、私たちが「自分には良いことが起き、悪いことは起きない」と考える。ポジティブ幻想を持っているからです。
たとえば、人は自分が学校を卒業した後にいい仕事についたり、家を買ったり、良い給料をもらったり、海外旅行に行ったりすることはありそうだと思っても、自分がアルコールに溺れたり自殺を考えるようになったり、結婚後数年で離婚するだろうとはなかなか考えません(Weinstein,1980)。
ポジティブ幻想は、人が自分や自分の環境や将来について、実際の状況よりもはるかに良いものであるとかたよって認知する傾向です。具体的には、(1)自分を実際よりも良いと考えること、(2)自分が周囲の状況をコントロールして良い結果が得られると思うこと、(3)将来について、非現実的なほど楽観的になることです(Taylor,1989)。
ポジティブ幻想は「楽観バイアス」とも言われています。従来、心理学や経済学では、人間は状況を正確に認識するほうが適切に行動できるし、得られる報酬が大きくなると考えてきました。しかし、現実や将来を客観的な状態よりも良いものだと考える、楽観バイアスがあるほうが良い結果が出ることがあります(Sharot,2011)。