輸出管理の厳格化2年 「脱日本」狙う文在寅 米中半導体戦争と日韓 【後編】
動画 fnn.jp
https://www.fnn.jp/articles/-/207104
米中半導体戦争・脱日本狙う文在寅・輸出管理の効果は?プライムニュース
2021年7月7日 BSフジ
【キャスター】新美有加、反町理 【ゲスト】山際大志郎(自由民主党政務調査会長代理 元経済産業副大臣)、細川昌彦(明星大学教授 元経済産業省貿易管理部長)、陳昌洙(世宗研究所日本研究センター長)、権容爽(一橋大学准教授)
日本が対韓輸出管理を見直してから2年が経った。文在寅政権は「脱日本」を掲げ半導体材料の国産化を進めてきたが、主要3品目のうち依存度を下げられたのは1品目のみで、2品目は約9割を日本に頼る状況が続いている。
見直し開始以降、韓国では日本製品の不買運動が繰り広げられた。しかし、最近ではそれも下火となり韓国の対日貿易赤字は増加傾向だ。
対韓輸出管理見直しの影響を検証し、今後の日韓経済関係について分析する。
輸出管理の厳格化2年 脱日本狙う文在寅 米中半導体戦争と日韓関係
●韓国「脱日本依存」のいま
韓国に対する輸出管理見直しから2年経った今、日韓の経済関係はどう変化したのか。
2019年7月4日、日本は韓国に対して安全保障の観点から半導体製造などに関連する化学製品「フッ化水素」「フォトレジスト」「ポリイミド」の3品目について包括許可から契約ごとの個別許可へと見直した。
これに猛反発した韓国は8月5日、「素材、部品、装備競争力強化対策」を発表。
主要3品目を含む30品目は1年以内に「脱日本依存」を達成するという目標を掲げた。
主要3品目の日本依存度
2019年1~5月
フッ化水素43.9%、フォトレジスト91.9%、ポリイミド93.7%。
2021年1~5月
フッ化水素13.0%、フォトレジスト85.2%、ポリイミド93.6%。
権容爽、「文在寅大統領は日本依存を軽減し自立する方向を目指して2年経って意外とうまくやっている。投資も始まっているし、今年5月には半導体戦略を打ち出して、企業も政府も莫大な予算を投じて半導体、バッテリーの世界的な拠点になるということを目指している。いずれやらないといけなかったことではある。韓国では現状は肯定的な見方の方が多い。”サンキュー安倍”という言葉は不買運動を展開した若者たちを中心に言われている」
細川昌彦、「日本の輸出管理見直し2年前と今とで3品目の割合はほとんど変わっていない。フッ化水素は半導体製造の段階で要求される純度にばらつきがあり、韓国が国産化に成功したというのは純度の低いもの。高純度のものは日本からのものだ」
●日韓の経済関係と政治
山際大志郎、「実際には経済の問題ではなく安全保障の問題。ルールに基づいていないから、ルールに基づくまでは規制をかけるということ。必要な情報が得られるということを確保した上で輸出すると。韓国側と日本側の企業が要件を満たしたから輸出が再開されて何の経済的な影響もなかったということ」
細川昌彦、「問題は意思疎通もできていない。政策対話で解決しようというところまで来ていたが、そういう合意をしたにもかかわらずWTO提訴に出てきた。合意違反を韓国があえてして、対話をできない状態にしてしまった。信頼関係と言うならば、そのラインできっちりやっていく。不適切な事案がちゃんと解決されているという確証を得るプロセスを1個1個やれば自然に解決する」
陳昌洙、「から騒ぎだと言うこと自体が今の日韓関係がこんなに悪くなっているところから見ると、から騒ぎならやめて日本側が通常通りやればいい。輸出管理規制が今も続いている」
●対韓輸出管理見直しから2年 日韓の経済関係と政治
山際大志郎、「そもそも貿易管理の話は外務省は関係ない。当局は経済産業省の中に貿易管理をしているところが事務的に詰めている話。韓国当局とは事務的にやり取りし続けた結果、改善されなかったからこういうことになった。日本政府は透明性を持ってやってきた結果がこうなっている。そもそもホワイト国ということで特例扱いしてきたのは、日本と韓国の関係があったから特例扱いしてきただけ。韓国は他の国からホワイト国として見てもらっていない。そのレベルに達していないということ。解決をするための話し合いの窓口すらWTOに提訴するということで韓国側が閉じてしまった」
世耕弘成経産相(当時)の輸出管理を巡る経緯についてのツイート内容(2019年7月30日)を紹介。
世耕弘成大臣は「元徴用工問題により信頼が損なわれたことが、輸出規制の強化の背景にある」と述べた。
反町理、「日本の輸出規制に『元徴用工問題』が入っていたのは事実なので韓国の言い分にも正当性があるのではないか」
山際大志郎、「日本と韓国という特別な関係があるから、そのレベルに達していないけれどもホワイト国として扱ってきたということ。日本と韓国の経済関係と信頼関係があるからその関係に鑑みてそうしてきたが、その特別関係は信頼関係が失われたのだからルール通りやりましょうということを世耕さんは言いたかったのではないか」
細川昌彦、「1、2番目は堂々たる理由だが、3番目(元徴用工問題)はバックグラウンド。これを同列でやってしまうからまずい。その後、軌道に乗って対話を始めて1、2番目だけを詰めているプロセスに乗った。それをWTO提訴という形で崩されたというのがこれまでの2年間のプロセスだということを見た上で議論したほうが良い」
●対韓輸出管理見直しから2年 米中対立と日韓の経済連携
日米首脳共同声明(4月16日ワシントン)日米両国は両国の安全および繁栄に不可欠な重要技術を育成保護しつつ半導体を含む機微なサプライチェーンについても連携する。
山際大志郎、「安全保障上のレベルをクリアしてくれるかどうかにかかっているのではないか。少なくとも我々の姿勢は日米が主になり、現在においては半導体ファウンドリTSMCのような台湾のメーカーが協力関係に入ってくる。半導体戦略は現在足りないものをどうやって補うかという話と、中長期的にこれからどうやって世界のプラットフォームなりうるかということ」
細川昌彦、「政治の話とは別にビジネスの現実を見なければいけない。米国は米中対立の中で5兆円のお金を使って半導体製造を誘致しようとしている。米国は生産を自分の中に囲い込もうとしている。韓国、台湾のメーカーは日本の部材がないと作れない。米国のサプライチェーンの中で韓国も協力する。日本もサポートするのがビジネスの現実。中国との向き合い方で韓国がきちっとしていることが前提の上で言えばビジネスの現実を積み上げていく方がよほどインパクトのある話で、輸出管理の話は微々たる話」
【提言】 「これからのあるべき日韓経済関係」
陳昌洙 「水平的協力」
輸出管理は日本が韓国に対して上の目線から見たもの。水平的協力をしてほしい。
権容爽 「お得意さん 5億ドル→6000億ドル」
国交正常化の「日韓基本条約」で日本は韓国に5億ドルの経済支援を行った。今はそれから日本が6000億ドル儲けている。このお得意さんの韓国を本当に切るんですか。
細川昌彦 「淡々と」
安全保障上の上から輸出管理規制は必要だ。韓国の中国に対する向き合い方がきちんとできるかどうか。
山際大志郎 「大人の対応」
経済はBtoBでやってもらえばよい。政治家から見た場合は大人の対応をしてもらいたい。
●日韓の経済関係について言いたい事、聞きたい事
視聴者からの質問、メッセージ。
質問者、「今日の韓国側の言い分を聞いて、考え方が違いすぎて今の状態が続いても仕方ないと思った。逆の立場なら日本は相手国のルールに沿うように必死で対応すると思う。自分たちを特別扱いしないのは圧力だなどと日本は決して言わない。そう思わせてしまった今までの日本の対応が間違っていることが分かった」
細川昌彦、「日本から見れば韓国の甘えの構造というのは歴史的背景が大きい。2年前の日本側の論者の誤解が蔓延してそれが韓国側で反発を増幅する悪循環が起きている、これは謙虚に反省しないといけないし同じようなことが過去も起こっている。日本側の不用意な反応、対応、誤解がお互いの環境を悪くしていることを反省しながら、甘えの構造を是正することが大事」
山際大志郎、「そうせざるを得ない歴史的背景があっても引きずってきたことは事実。米中デカップリングが進んで新しい世界の秩序を作り直さなければいけないところにあるということを政治的に日本政府から韓国政府にきちんと理解してもらえるように発信することは重要だと今日感じた」
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