じじぃの「科学・地球_85_水の世界ハンドブック・上流と下流の水戦争・ヨルダン川」

Tension on the Nile: Could Egypt and Ethiopia really go to war over water?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PZC-vZPxC_M

Parting the Water | National Geographic

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=GvWtkJejeT8

Jordan river

The Dead River? How the waters of the Jordan run foul

29 September 2017 Middle East Eye
●Polluted promised land
Tourists flock to see the River Jordan, one of the world’s most celebrated and holiest of rivers. It is said to be the body of water which the Israelites crossed to reach their promised land and in which Jesus was baptised. But there is little that is holy about the river now.
These days, those wishing to follow in Jesus’s footsteps and be soaked in the Jordan’s waters have to go to specially designated - and relatively pollution free - baptism areas.
https://www.middleeasteye.net/opinion/dead-river-how-waters-jordan-run-foul

『地図とデータで見る水の世界ハンドブック』

ダヴィド・ブランション/著、吉田春美/訳 原書房 2021年発行

6 はじめに より

水問題はいたってシンプルである。世界で6億人以上の人々が飲料水にアクセスできず、世界の農業生産の40パーセントが灌漑農業に依存している。
水辺の生態系は自然のプロセスに欠くことのできない役割を果たしているにもかかわらず、きわめて脆弱である、ということである。

103 すべての人に水を? より

108 争われる資源

河川が国の境になっていると、流域が二分されることになる。こんにち、国境をまたぐおもな流域は263を数え、世界の水資源の60パーセントを占めている。このように水を分けあうことは、潜在的な紛争の原因になる。フランス語のriverain(沿岸の住民)とrival(ライバル)の語源(ラテン語のrivus「小川」)が同じであることを、思い浮かべる人も多いだろう。しかし、大規模な河川整備が可能になり、上流の国が大きな川の流量を変えたり、何百キロにもわたって川をひどく汚染したりするようになると、潜在的な争いが現実のものとなる。

水戦争への疑問

将来、水戦争が起きるという予想もあるが、こんにちでは否定的にみられている。水は戦争のきっかけになるというより、緊張を顕在化させる。つまり水は、以前から存在していた争いを悪化させるのであり、ときにはそれと反対に、共同プロジェクトを通じて和解をもたらすこともある。
水をめぐって「従来のような」戦争が起きるとは考えられないが(隣国への侵攻に比べたら、資源を武器とするのはコストもかからず、政治的リスクが小さい)、それでも、水問題は国家間の交渉において、一般に相手国の有利な点との交換手段として利用される可能性はある。じつのところ、水をめぐる解決困難な争いは、国家同士が軍事的に対立しているから起きるのではなく、水へのアクセスと価格にかんする地域間(スペインのように)、都市と農村間、社会的グループ間の政治的・経済的な思惑から生じている。

上流と下流のむずかしい関係

水のとぼしい地域では、流域を分けあう国家間の争いが激化することがある。川の水源がある山地の上流とより乾燥した下流が同じ国に属していないとき、水にかんしてどちらかの国に依存する状況が生じる。
その典型的な事例がエジプトである(依存率97パーセント、ナイル川も水の大半がエチオピアウガンダから来る)。イラクティグリス川とユーフラテス川の水源があるトルコに頭が上がらず(依存率53パーセント)、パキスタンも同様の状況にある(依存率76パーセント、インダス川の水源はインドのカシミール地方の係争地にある)。
上流の国と下流の国のあいだに力の差があるとき、こうした潜在的な紛争状態はさらに深刻となる。下流の国のほうが強ければ、水資源を横取りしようとするか(レソトに対する南アフリカ)、河川整備が自分たちの利益にならないものであれば、上流の国をおど上流の国そうとする(エチオピアに対するエジプト)。上流のほうが強ければ、水を利用して下流の国に圧力をかければよい(シリアとイラクに対するトルコ)。
それはかならずしも紛争が起きることを意味しない。それどころか、大河川の共同管理にともなう[技術的]問題が、インドとパキスタンのように、敵同士の国が協力するきっかけになるかもしれないのである。