じじぃの「科学・地球_92_水の世界ハンドブック・汚水の再利用・消費を減らす」

10-month study to look into changes in household water usage patterns amid COVID-19

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uieKNCD5mdk

Household Water Uses

Building Communities That Use Water Better

Lion Corporation
●Everyday Water Conservation
Most domestic use is accounted for by baths, toilets, food preparation and laundry, demonstrating how water is inextricably tied to the functions of daily life.
Baths account for the largest single portion used, but water-saving technology in this area is advancing, with new shower nozzles featuring conveniently placed pause switches and aerating shower heads that mix air with water to give a satisfying, high-pressure shower with less water. At the same time, new high-efficiency toilets employ cyclonic motion to reduce the amount of water used per flush to about one third of the 13 liters used by conventional toilets. Saving water in the kitchen is made possible through the use of automatic dishwashers.
https://www.lion.co.jp/en/company/rd/topics/07.php

『地図とデータで見る水の世界ハンドブック』

ダヴィド・ブランション/著、吉田春美/訳 原書房 2021年発行

6 はじめに より

水問題はいたってシンプルである。世界で6億人以上の人々が飲料水にアクセスできず、世界の農業生産の40パーセントが灌漑農業に依存している。
水辺の生態系は自然のプロセスに欠くことのできない役割を果たしているにもかかわらず、きわめて脆弱である、ということである。

133 21世紀への挑戦 より

154 都市の革新的解決策

先進国と新興国では、技術の進歩が消費者教育と結びつき、地下水や河川からくみ上げる水の量にしても、排水の水質にしても、大都市の「水文学的痕跡」を減らすことが可能になると思われる。より貧しい国の水問題は、技術の改善だけでは解決しない。とりわけ、関係する人々を協力者にするような、革新的な管理方法をつくり上げる必要がある。

未来の解決策――汚水の再利用

技術的な面からいって、最新鋭の下水処理場から出る水を家庭用水として使用することは可能である。そうなれば、ひとつの都市は、水にかんしてほとんど完結した形で機能するようになるだろう。われわれの知るかぎり、そのようなシステムはまだ実現していない。だが、処理された汚水は、灌漑といった従来の用途以外にも、しだいに広く使われるようになっている。
ベルリンでは、処理された汚水が川に流されたのちふたたび地下水層に浸透し、その地下水から都市の飲料水の大半がくみ上げられている。バルセロナは水不足する水資源を補うため、再利用の技術の向上に取り組んでいる。そうすることで、塩分の除去や長距離の送水といったコストのかかる方法をとらずにすみ、かつ、生態系への影響を最小限にとどめることができるのである。中国やヨーロッパの新しい「エコ特区」は、雨水の回収と汚水の再利用を組みあわせたシステムを大々的にとりいれている。「グレーウォーター」(洗面台やシャワー、浴槽の水)は建物のなかで雨水と混じられ、ふたたび使用できるようになる。
水ストレスにさらされている国にとっても、水のリサイクルは解決策になる可能性がある。イスラエルでは汚水の80パーセントを再利用しており、これは同国が必要とする水のすでに25パーセントを占めている。スペインとオーストラリアは、リサイクル率を50パーセントにあげるために広範なプログラムを実施している。

消費を減らす

一般に広まっている考えとは異なり、1人あたりの水消費量は安定しており、さらに、先進国の大半の都市では減少している。バルセロナでは10年間に10パーセント、ロサンゼルスやベルリンでは15パーセント減り、ブダペストでは1990年から2010年までに減少率が50パーセントに達した。この変化は技術の進歩と消費者教育によるものである。このまま急速に減少すれば、公的サービスおよび民間事業者の財務状況を脅かすことになるかもしれない(事業収入を水道料金に頼っている)。しかも事業者は、膜フィルターや紫外線殺菌のようなコストのかかる新しい技術を導入して水処理システムを改善しているのである。*南の都市における進歩
南の都市では、事は。事は技術的な問題にとどまらない。それはなにより、財政と社会政策の問題なのである。NGOの役割を拡大し、水サービス業者間で地方分散型の協力体制をとるようにすれば、地域の問題を解決することは可能である。しかしながら、水がグローバル化した10年間(1980-1990)のような莫大な投資の失敗を回避するには、南の都市の特性をよく考えなければならない。
第一の解決策は、「ユーザー=顧客」を「ユーザー=パートナー」とすることで、地元住民の参加をうながすことである。それには、簡単な情報フォーラムから、住民が水道網の計画立案やサービス管理にかかわるような管理システムの根本的な変更まで、さまざまな形がある。そうした経験を通じて、すべての人に画一的な水道を提供するという、西洋式の中央集権的な水サービスのモデルが問いなおされることになったのである。
かくして現在、ひとつの地区に水を供給する小規模事業者が増えている。井戸や水くみ場からはじめて、地域の小さな水道をつくる。それはまさに、配水システムの代わりとなるとなるものである。すべての人に水をもたらすという南の都市の水問題は、都市空間が分断されるリスクはあるものの、こうした「フレキシブルな」方法で解決されるだろう。