じじぃの「科学・地球_72_世界の気象現象・霧、靄、雲」

Stunning footage captures some of world's tallest buildings shrouded in thick fog | SWNS

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=h09wl3265oM

tj pendam | Crist hendra

London Fog in NYC

『世界の気象現象 奇跡と神秘の科学』

ロバート・J・フォード/著、戸田早紀/訳 河出書房新社 2020年発行

霧、靄、雲 より

私たちは霧、靄(もや)、雲を、それぞれ異なる気象現象として捉えているかもしれないが、それらは実質的にはまったく同じもの、すなわち雲である。唯一異なるのは発生する高度で、形成のしくみはだいたい似かよっている。霧と靄は、非常に低い場所で発生する層雲の一種と考えられ、地面のすぐ上で漂う。一方、雲は一般的に、地面からある程度離れた高さから、高度1万4000mの範囲にある。
雲は地球において、機能面で重要な役割を果たしている。太陽からの放射熱を反射および散乱させ、地球の赤外線エネルギーを吸収することで、地球の温度を制御しているのだ。言い換えれば、雲は地球を冷やしたり温めたりしている。また降雨を発生させることで、水循環においても重要な役割を担っている。雲によって運ばれる嵐は、赤道からの熱を地球全体により均等に再分配するのにも役立っている。
霧と靄もまた、とくに世界中の生物の命という点で考えると、地球の歴史と環境を形づくってきたと言える。昆虫も含めたいくつかの生物は、乾燥した地域ではとくに、水資源を霧に依存している。同様に、カリフォルニアのセコイアなどの樹木も、水分の維持を霧に依存し、霧の滴から水分を得ている。したがって、種の分布は霧の発生頻度と関連している可能性がある。
人間もまた、水が手に入りにくい場所では、霧を利用して水分を採取している。地球の淡水供給量が減少しつつある昨今、この方法での水分採取がより頻繁になることも考えられる。

霧に煙るウェストミンスター宮殿

イングランド ロンドン
英国議会の議事堂として使われているウェストミンスター宮殿を濃霧が覆っている。ロンドンがこうした霧に覆われるのはよくあることだ。1952年12月5日から9日にかけては、この霧とともに有害なスモッグが街を呑み込み、4000人もの人が亡くなった。死者の数は最終的に1万2000人にのぼったと言われる。