じじぃの「科学・地球_110_46億年の物語・青い地球・海洋の形成」

地学基礎112B 地球の歴史1 地球誕生 海の誕生

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lcfwXHwsIPE

海の誕生

海の自然のなるほど 「海の誕生」

46億年前のむかし、生まれたばかりの地球では岩石がとけたマグマの海が地表をおおっていました。また、蒸気や窒素、二酸化炭素などのガスでできた原始大気が空をおおっていました。
やがて、地球の温度が急に下がってくると、原始大気の中にふくまれていた水蒸気が雨となり、地上にふりそそぐようになりました。地球全体が大雨の時代となったのです。
雨が地表を冷やし、地表が冷えると原始大気が冷えてさらに雨がふったので、年間の雨量は10mをこえる、すさまじい大雨だったと考えられます。この大雨が1,000年近くもつづき、現在の海のもととなる原始の海が生まれたのです。原始の海は雨にとけた塩酸なども流れこんだので、はじめは酸性で、とても生物の住める環境ではなかったようです。
https://www.kaijipr.or.jp/mamejiten/shizen/shizen_2.html

地球進化 46億年の物語 ブルーバックス

著:ロバート・ヘイゼン 訳:円城寺守 渡会圭子

はじめに より

岩石に刻まれた記録を調べるほど、生物と無生物のどちらも含めた自然界が、何度も形を変えているのがわかる。
これまで語られなかった壮大で複雑に絡み合った生命と非生命の領域には驚きがあふれている。私たちはそれらを分かち合わなくてはならない。それは私たちが地球だからだ。地球上の物質すべて、私たちの肉体をつくる原子と分子も、地球から生まれ、地球に戻る。私たちの故郷を知ることは、私たちの一部を知ることなのだ。
第1章 誕生 地球の形成
第2章 大衝突 月の形成
第3章 黒い地球 最初の玄武岩の殻
第4章 青い地球 海洋の形成
第5章 灰色の地球 最初の花崗岩の殻
第6章 生きている地球 生命の起源
第7章 赤い地球 光合成と大酸化イベント
第8章 「退屈な」10億年 鉱物の大変化
第9章 白い地球 全球凍結と温暖化のサイクル
第10章 緑の地球 陸上生物圏の出現
第11章 未来 惑星変化のシナリオ

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『地球進化 46億年の物語』

ロバート・ヘイゼン/著、円城寺守、渡会圭子/訳 ブルーバックス 2014年発行

第4章 青い地球 海洋の形成 より

深層水の循環

1980年代半ば、地球科学者は水について、真剣に地球規模で考えるようになった。地表近くの水循環がすべてではないはずだ。何十キロメートル、何百キロメートルも深いところでできたマグマには爆発的な火山活動を起こすのにじゅうぶんな水分が含まれていたという事実から、この地球の奥で結晶化したケイ酸塩鉱物が、どうにかして水を閉じ込めていたと考えられる。地球がいつどのようにして、現在のような海洋に浸った惑星になったのかを教えてくれる。奥深くに隠れた水の循環があるはずだ。
深層水への実験的アプローチでは、とくに一般的な鉱物(カンラン石、輝石、ザクロ石、そして地下の奥深くにある密度の高いそれらの異形体)が、マントルの状態で少量の水を取り込める可能性に注目している。”名目上は水分ゼロ”である鉱物中の水の研究は、1990年代の高圧鉱物学の焦点となり、驚くべき結果を生んだ。高温高圧の状態では、鉱物は比較的簡単に多くの水素原子(鉱物学上は水と同じ)を取り込むことがわかったのだ(水素原子が鉱物の中の酸素と結びつくからだ)。薄い地殻の低圧低温の環境では(火山爆発の際、いくらか水が放出される)、鉱物は常に乾いているが、地中深くのマントルでは水分を多く含むことがある。
実験の考え方は、原理的には簡単である。カンラン石や輝石のサンプルに圧力をかけながら加熱し、水分がどこへ行くかを見ていればいい。しかし実際にやろうとすると、そう簡単ではない。地球の地下の深いところにあるマントルの状態を再現するために、サンプルに大気の何十万倍もの圧力(1平方センチメートルあたり何百万トンにもあたる)をかけると同時に、2000℃以上まで加熱する必要がある。この想像を超える状態を実現するために、科学者は2つの相互補足的なアプローチを採用している。
一方は、1部屋を占領するほどの巨大で、小さなサンプルに何トンという圧力をかけられる金属プレスを使う。半世紀前にハットン・ヨーダーが使っていた圧力ボンベを精巧にしたようなものだ。
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新しい科学的研究は何でもそうだが、これらの実験も定着するまでにしばらくかかった。しかし多くの科学者が調べるほど、深層水を取り込めそうな鉱物の名が、いくつもあがるようになった。下部地殻のカンラン石と輝石はかなり乾いていて、100分の1パーセントの水しか含まれていない。しかしマントルと同じように圧力を10万気圧、温度を約1100℃まで上げると、カンラン石はワーズレイアイトに変わり、3パーセントというとてつもない量の水を取り込むことができる。この条件に相当するのは、地下410キロメートルから660キロメートルのマントル遷移層だ。ここは地球で最も水分の多い場所の1つで、海の水すべての9倍もの水を含んでいる可能性がある。下部のマントル中の鉱物はそれほど多くの水分を取り込めないが、とにかく量が多いので、海洋の16倍の量の水がここにあると推定されている。水分を多く含む鉱物が他にもある可能性や、地球の核が鉄で、おそらく多くの水素を取り込んでいることを考えると、地球の深層部には海の80倍以上の水が貯蔵されているかもしれない。

最初の海

原始地球に存在していた揮発性物質の量は、控え目に見守っても現在の100倍はくだらないと言われている。地球の揮発性物質の寮の変化をシミュレートする際の大きな課題は、どのくらいの量が失われたか、そしてどのように失われたのかを解明することだ。
確信を持って言えることもいくつかある。巨大火山からおびただしい量の水蒸気が大気中に噴き出したと同時に、はじめから大量の揮発性物質が深層部より放出された。原始地球の出現から最初の数百万年間、その最初の大気は現代の地球の大気の何倍も濃かった可能性がある。水は液体の状態で地表を流れ、岩石を冷やし、数千万年の間に広大な浅い海を形成したかもしれない。
やがてあの大衝突がすべてを破壊した。地表に出ていた分子のほぼすべてが宇宙へと飛散し、巨大なリセットボタンを押したのと同じ状況になった。窒素、水をはじめとする揮発性物質が、その1回の事件でどのくらい失われたか明言はできないが、とにかく莫大な量が失われたと考えられる。その後の5億年で、直径160キロメートルほどの岩塊による、小規模の衝突が何十回となく起こった。さらに5億年間は想像を超えるほどの混乱が続き、衝突にたびに海洋のかなりの部分が蒸発し、揮発性物質も消滅した。
それでも大衝突後の数百万年の間に、水蒸気は再び原始大気の主成分となり、地球全体に嵐をもたらす黒い雲、うなる風、耳をつんざくような雷、止むことのない豪雨を生み出す要因となった。雨風にさらされた玄武岩の地殻が冷えて固まり、低地に水がゆっくりとたまって海を形成した。土地を浸食しつつあった海は世界全体にサウナをつくった。地表水が割れ目やひびからしみこんで熱い岩石と接触し、激しく吹き上げる間欠泉やとどろく水蒸気、超高温の水として地表に戻ってくる。そのような激しい水と岩石の相互作用が冷却を早め、より深い池、湖、そして海の形成へとつながった。
地球の海がいつごろできたのか正確にはわからないが、地球最古の結晶に興味深い証拠があった。西オーストラリアの乾燥した牧羊地域に、ジャック・ヒルズとして知られる30億年前の堆積層がある。この層をつくっている砂状の鉱物や石の断片は、もっと古い時代にあった岩石層が浸食されてできたものだろう。この砂粒の中に、ごくわずかな(せいぜい100万分の1程度)ジルコンが含まれている。ジルコンとはケイ酸ジルコニウム(ZrSiO4)で、自然に存在する物質の中でも屈指の硬度を持つ。
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このようにして、地球の初期にできたジルコン結晶は、何回もの浸食と堆積を生き延びており、そこに形成された年代や温度、できた環境の水分量などの細かい情報が保存されている。そうした情報すべてが、顕微鏡で見えないほど小さな結晶から読み取れるのだ。
結論としては、オーストラリアで採取されたジルコン結晶の多くは、40億年以上前にできたもので、とくに古い粒はなんと44億年前につくられていた。その最古のジルコン結晶では(実際には、現存する地球の固体断片で知られている最古のもの)、重い酸素同素体比が驚くほど高かった。一部の科学者は、44億年前(地球ができてまだ1億5000万年しかたっていないころ)には、地表は比較的涼しくて水があった、つまり海があったと結論している。