じじぃの「科学・地球_54_SDGsの世界ハンドブック・生物多様性の管理・保護区」

Biodiversity Hotspots

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=l2q7MMyKWs8

Biodiversity hotspots

Biodiversity Hotspots

Islands4Kids
●What is biodiversity?
Biodiversity or biological diversity broadly refers to the number of plant and animal species on the planet.
Biodiversity is also the abundance (number) of different species living in a particular region. This makes up an ecosystem composed of a community of plants, animals, and other living things in a physical and chemical environment. It is important to maintain a wide diversity of species as every living creature lives in their own unique ecosystems and plays vital roles to sustain life. Plants, animals, and insects interact with one another to provide food, oxygen, shelter, and soil enrichment, for example.
https://islands4kids.org/hot-spots.html

『地図とデータで見るSDGsの世界ハンドブック』

イヴェット・ヴェレ、ポール・アルヌー/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

90 生物多様性の管理 より

生物多様性は増幅する人間の圧迫(森林伐採、集約的農業、都市化、輸送インフラなど)によって変質・衰退し、破壊されてもいる。こうした状況にあって、いかにしてそれを管理し、保護するか。そもそも生物多様性保全すべきなのか。保全すべきなら、生息域外(公園や動物園、庭園、遺伝子銀行など)。あるいは生息域内(自然環境内)で、どのようにすればよいのか。希少ないし貴重と思われる空間は維持しなければならないのか。さらにいえば、生物種やエコシステム全体を持続可能な方法で管理すべきなのか。

保護

保護プロジェクトの恩恵を受けた最初の動物は象であり(1906年)、ついでサイ(1908年)やウミガメ(1927年)、クジラ(1946年)だった。「絶滅のおそれのある野生動植物種の国際取引における条約」、通称ワシントン条約(CITES)は1973年、175ヵ国によって採択された[採択時は80ヵ国。1975年発効]。これにより、動物5000種、植物2万8000種が保護された。自然公園ないし国立公園はアメリカ合衆国では19世紀末に創設されているが、やがて世界各地でほかの保護空間が誕生するようになった。今日、こうした空間は10万2000ヵ所を数えるまでになっている。
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2014年、自然保護区域(公園、特別保護地および他の自然空間)は20万9500ヵ所を数え、総面積は3080万km2(大陸表面積の15.4%、海洋表面積の3.41%)に達する。1992年にリオデジャネイロ[国際環境開発会議(UNCED)]で商人された生物多様性条約(CBD)は、2010年、名古屋で2020年までにこの数価を陸地の17%、海洋の10%までに引き上げるという目標を定めた。だが、生物多様性をどの程度保護すべきかという問いには、いかなる答えも不可能である。

もっとも急進的なエコロジストたちは、たとえ公園や特別保護地から住民を移転させるという犠牲をはらってでも、すべてを保護すべきだという。ケニアセネガル、チャド、カナダ、あるいは中国の事例のように、である。きわめて多様な固有種が生息し、その多くが国際自然保護連合から「絶滅危惧種」に指定されているホットスポットマダガスカルなど)のみを保護すべきなのか[マダガスカルの場合、50種以上の固有のキツネザルのうち、15種が絶滅の危機にあるという]。

とはいえ、これらホットスポットの一部と外部との相互依存性を考えると、そうしたアプローチはどこまで効果的なのか。保護区のネットワークを保全することを考えるべきではないのか。つまり、生態学的に高い潜在能力をもつ空間を維持しながら、それらのネットワーク化と継続性をはかるのである。そうすれば、EUの提唱する「緑と青の枠組み」[自然の生息地と生物種の保全状態を改善し、水域の生態系を良好な状態に保つことを目的として考え出された、陸地(緑)と水域(青)の生態学的連続性で構成されたネットワーク]の思想と合流できるだろう。ただ、行政上の国境と生態学的な境界のあいだのずれという国境をまたぐ問題は、容易には解決できないやっかいな課題としてある。