じじぃの「日本らしい宇宙探査・火星でドローンが飛行・歴史的動画を徹底検証!プライムニュース」

火星でドローンが飛行 歴史的動画を徹底検証 ISS日本人船長再び 【後編】

動画 fnn.jp
https://www.fnn.jp/articles/-/179246

月極域探査機(LUPEX) 【オンライン特別公開 #26】

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mLb2OcuDro4

Road to Hayabusa-2 from CanSat & CubeSat: Prof. Yuichi Tsuda, Project Manager Hayabusa-2, ISAS/JAXA

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=TwTYxmDYLTI

火星でドローンが飛行 歴史的動画を徹底検証 【後編】

火星ヘリコプター 「インジェニュイティ」

プライムニュース 「火星でドローンが飛行 歴史的動画を徹底検証 ISS日本人船長再び」

2021年5月6日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】永井大樹(東北大学流体科学研究所宇宙熱流体システム研究分野教授 リモート出演)、津田雄一(JAXA宇宙科学研究所教授 「はやぶさ2」プロジェクトマネージャー リモート出演)、寺門和夫日本宇宙フォーラム宇宙政策調査研究センターフェロー 科学ジャーナリスト)、鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)
4月19日、米航空宇宙局(NASA)は無人火星探査機「パーサビアランス(Perseverance)」が搭載した小型ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」が、史上初の「地球外での動力飛行」初飛行に成功したと発表した。また、「パーサビアランス」も地球以外の惑星で初めて大気中の二酸化炭素から酸素を生成することに成功。二つの快挙は、今後の火星探査に向けた大きな一歩と刻むものとして注目されている。
一方、日本でも「はやぶさ2」の持ち帰った小惑星リュウグウ」のサンプル解析が進んでおり、かつて水が存在していた可能性など、世界を驚かせる報告が続いている。
折しも、星出宇宙飛行士が国際宇宙ステーションの船長に就任するなど、宇宙をめぐるニュースが相次いでいる状況だが、有人や無人、様々な形で謎に満ちた宇宙に挑む意義と可能性、今後への課題とは何か?

日本・インド共同「月極域探査」計画 その意義と効果は

●「火星ヘリ」初飛行を分析&「はやぶさ2」最新報告 これからの宇宙探査に日本は?
4月19日、NASA(米国航空宇宙局)は無人火星探査機「パーサビアランス」が搭載した火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が史上初の地球外の天体における動力飛行に成功したと発表。
また、4月27日には日本人宇宙飛行士・星出彰彦が日本人2人目となる国際宇宙ステーションの船長に就任。
同じ日には小惑星探査機「はやぶさ2」が2020年、小惑星リュウグウ」から持ち帰ったサンプルの分析で水や有機物が含まれている可能性があることも発表された。
世界で宇宙をめぐる動きが相次ぐ中、今後の宇宙探査にはどのような可能性と課題があるのか。
宇宙の謎に挑む研究者や宇宙に関する政策の専門家を迎え、研究成果とこれからの挑戦について問う。
●火星探査が新たな段階へ 「火星ヘリ」成功の意義とは
NASAの火星探査機「パーサビアランス」の経緯を紹介。
2020年7月30日、米国・フロリダ州から打ち上げ。
2021年2月18日、火星地表へ着陸。
4月19日、火星ヘリコプター「インジェニュイティ」初飛行。
4月20日、火星の大気から酸素の生成に成功。
4月30日、「インジェニュイティ」4回目の飛行。
「パーサビアランス」の着陸から「インジェニュイティ」の飛行までの一連の動きのCG、実際の映像、火星ヘリコプター「インジェニュイティ」初飛行の映像を紹介。
NASA/JPL-CaltechNASA/JPL-Caltech/MSSS の映像。
永井大樹、「素直にすごく嬉しい。すごいことをやったなという印象。火星で飛行したということで、ヘリコプターを使っていろんなことができるのではないかと思うとワクワクする」
●火星探査が新たな段階へ 希薄な大気を飛ぶ難しさ

地球と火星の環境の違い

火星の半径は地球の半分強。
太陽からの平均距離は地球の1.52倍。
公転周期は687日と地球の2倍弱。
自転周期は24時間37分で地球とあまり変わらない。
重力は地球の3分の1。大気の平均密度は地球の約100分の1。
気温は地球が14℃前後であるのに対し、火星は-63℃前後。
1日で-80℃~-20℃まで変化。
火星ヘリコプター「インジェニュイティ」の質量は1.8kg。
インジェニュイティのローターの全長は約1.2m。
飛行距離は最大300m。飛行高度は最大5m(NASA HPより)。
火星ヘリコプター「インジェニュイティ」の目的は火星における飛行技術を実証することで、科学観測機器は搭載していない。火星の重力は地球の3分の1で、大気圧は地球の100分の1しかない。このように地球と大きく異なる環境下で、インジェニュイティは長さ1.2mのローターブレード2本を回転させて揚力を作り、1.8kgの機体を持ち上げる。
永井大樹、「一番難しいのは大気密度が地球に比べて100分の1しかないため、機体が浮かぶための揚力が足りなくなる。大気密度が100分の1というのは、例えば地上でオールを漕ぐ時に水を漕ぐのではなく空気を一生懸命漕いでいる感じ。飛行距離はバッテリーの話が一番大きい。バッテリーだけでなくモーターが長時間高速で回転しているので、モーターの発熱がものすごく大きくなる。温度が高くならないうちに運転を止めるのがキーとなる」
●火星探査が新たな段階へ 「火星ヘリ」を実現した技術
火星ヘリコプター「インジェニュイティ」について。
寺門和夫、「これまでの火星探査はローバーで地表面を移動するだけ。ヘリコプターがあるとドローンとして使える。今回は技術実証に近い。今後は大型で高性能なものを作ってドローン的な使い方をすると、火星ローバーの探査ミッションはより立体的になる。今回の『パーサビアランス』は火星に昔生命が存在したかもしれないという有機物の痕跡を探すために移動していく。より近いところで見ながら、こっちに行った方が確度の高いサンプルがとれるなど、将来的に偵察ミッションとして使えるのではないか」
鈴木一人、「世界で初めて実現できたということで米国の技術力や米国が持っている能力が他の国より遥かに優れていると証明した。中国も同じ時期に火星探査機を打ち上げて、今月中に火星に着陸するが、先輩の格を見せるという側面もあると思う」
●火星探査が新たな段階へ 日本独自の「火星飛行機」開発
今回NASAが火星で飛ばしたのはヘリコプターだが、永井大樹は火星飛行機を研究、開発している。
東北大学流体科学研究所が開発している「火星飛行機」の機体の長さは約2m。
羽の長さは約2.5m。飛行距離は40~100km。機体質量は約4.2kgを想定。
永井大樹、「火星の地表面近くを約100km飛行することができれば、衛星からでは分からなかったいろんなことがよりはっきり分かるということで飛行機を選択している。ラジコンの場合は操作をしないといけないが、火星飛行機は自立で飛行する。最近、火星に水の流れた痕跡が残っていると言われているので、そういった痕跡を飛行機で数ヵ所回って撮影してどうなっているか見るとか、火星には昔磁場が存在していて、残留磁場の痕跡を長距離にわたって調べることを想定している」
火星探査が新たな段階へ 国産「火星飛行機」実用の可能性は?
「マースアイスマッパー(Mars Ice Mapper)」計画・・・合成開口レーダーを搭載した火星周回機により火星表面下の水、氷分布を観測するミッション。
第一目的は将来の火星有人探査に向けた水資源の把握。
永井大樹、「アイスマッパーを計画している人たちは飛行機をどうしてもという話はないが、我々としては連動してデータを取るともっと分かるのではないかと売り込みたいというのが本音。基本的にはJAXAが窓口になると思うが、JAXAに対しては我々研究者、JAXA内部で一緒にやっている研究者が声をあげて調整をしていきたいと思っている」
寺門和夫、「日本の宇宙探査の弱みの一つはなかなか打ち上げの機会がない、ミッションが少ないということ。どうしても他との相乗りということになる。アイスマッパー計画は周回機なので、NASAはロケットと着陸については絶対に譲らないが、周回機は他の国と協力してやっていこうということでJAXAが参加する可能性は大きい。そこで周回機からカプセルを打ち出して大気圏に突入して飛行機を飛ばすという度肝を抜くようなミッションかもしれないが、こういうミッションは楽しくて良い。『パーサビアランス』のような帰還ミッションはNASAは絶対譲らないところがあるが、国際協力でやるようなものについては別のポリシーでやる可能性がある。日本としてはこういう機会を生かしていくのがいいのではないか」
●火星探査めぐる新たな競争 中国の宇宙技術「実力」は
中国の火星探査への経緯を紹介。
2020年7月23日、火星探査機「天問1号」を中国・海南島から打ち上げ。
2021年2月10日、火星の周回軌道に入ることに成功。
2021年5月中旬以降、火星着陸の見通し。
寺門和夫、「中国は地上と同じように宇宙でも米国を凌ぐ宇宙強国になるのを目標にしていて追いつこうとしている。今回の探査機の機体の写真を見ると、NASAが2003年、2004年くらいに火星に着陸させた『スピリット』『オポチュニティ』の時代の探査機に非常に似ている。それにプラスその後の『キュリオシティ』『パーサビアランス』の要素を入れたようなもの。NASAとの差はかなりあるのではないか」

【提言】 「日本らしい宇宙探査を目指すには」

永井大樹 「キラリと光る匠の技でシン(深、新)宇宙を目指せ」
 他国のやっていないことを新しい考えで、限られた予算であるが深宇宙を目指せ。
永井大樹さんの出演はここまで。
●津田プロジェクトマネージャ「はやぶさ2」の最新成果報告
はやぶさ2」プロジェクトに携わるようになったきっかけは。
津田雄一、「入所して、はやぶさの打ち上げに立ち会ってからずっとはやぶさ1号機が帰ってくるまで関わり続けた。チームワークも大事だと感じた。川口プロジェクトマネージャからの引き継ぎにはすごいプレッシャーだった。はやぶさ1が完璧にやりたくてもやれなかったところを、はやぶさ2ではいとも簡単にやったように完璧にやろうと目指した。はやぶさ2しか出来ない挑戦も織り込んでハードルが上がった状態のたすきを引き継いだ」
はやぶさ1号機と2号機の違いについて。
津田雄一、「はやぶさ1は世界でどこもやったことのないミッションだった。はやぶさ2はそれを完璧にやり遂げた」
はやぶさプロジェクトマネージャ・川口淳一郎JAXA宇宙科学研究所教授の映像。
寺門和夫、「初代とは違うミッションをやっているところがすごい」。
鈴木一人、「まずは科学ありきで実現するためには、人間がやるので人間臭いところがなければいけない。成功して当然だというものを本当に成功させるのは、初代はやぶさのミッションを乗り越えるより難しいものだったのではないか」
●「はやぶさ2」の最新成果報告 小惑星に水と有機物?
はやぶさ2」が地球に届けたカプセルに入っていた小惑星リュウグウ」の砂などの試料は全体で約5.4gだったと発表した。0.1gとしていた目標の50倍を超える大量の試料採取に成功した。
はやぶさ2が持ち帰ったサンプルの分析結果について。
水と有機物を含む鉱物の存在を示す特定波長の光の吸収を確認。
津田雄一、「リュウグウという惑星が炭素と水を含んでいると予想できた。こういうものが宇宙にどう存在しているかを調べることが生命の起源の緒につながるというのがはやぶさの大きなテーマだった。資源という意味では小惑星は有効視されている」
水や有機物を含む可能性のあるサンプルの映像。
寺門和夫、「NASAも以前小惑星を資源として利用しようという話があったが、今はどちらかというと、はやぶさ2のサンプルについて言えば、科学の問題として元々小惑星の材料は太陽系が出来たときからのものが含まれていると考えられている。これから初期分析が始まるので研究者がそのサンプルを使っていろいろな分析をする、そこに期待をしている今は外から光を当ててサンプルを調べているがこれからサンプルを割って調べるので詳しいことが分かる」
鈴木一人、「宇宙資源はNASAもやっていたが民間企業もプラチナやレアアースが採れるのではと期待していた。宇宙所有法のような法律は日本にはない」
●津田プロジェクトマネージャ「はやぶさ2」の先に描くもの
今後の研究対象や展望について。
津田雄一、「はやぶさ2が大成功してプロジェクトチームが思っていた以上の成果を上げた。惑星間を飛行する技術ははやぶさ2が完全にものにしたと言って良い。これからは興味のある天体に行った先でいかに有用なことができるかで勝負する。月や火星をすっ飛ばして惑星間飛行をものにした。今後の1つの目標としては着陸対象を小惑星かより大きな天体、火星より遠い天体に広げていく。木星土星の衛星に探査機を送るのは日本は技術的にはできることだと思っている。宇宙に物を飛ばすというのは国際協力が非常に大切。日本は米国やオーストラリア、ヨーロッパにあるアンテナも使っているし技術的な交流があって初めて成立している。最先端の技術を使って出てきた成果は科学成果になるので、人類で共有することで意味がある」
●日印共同「月極域探査」計画 その意義と効果は?
月極域探査ミッション(日本・インド協力)について(打ち上げ年度、目的、運用期間)。
月極域探査ミッション・・・近年、観測データの解析結果から月極域に水の存在可能性が示唆されている。JAXAでは月の水資源が将来の持続的な宇宙探査活動に利用可能か判断するために水の量と質に関するデータを取得することを目的とした、インド宇宙研究機関(ISRO)との国際協働ミッションを計画している。ロケット、探査機はJAXA主担当、着陸機はISRO主担当。
アルテミス計画・・・2024年に有人月面着陸を目指し、2028年までに月面基地の建設を開始するというNASAのプロジェクト。日本人初の月面着陸が実現されるのではないかと注目を集めている。

寺門和夫、「日本はNASAやヨーロッパとはやっているが、インドとはこれが初めてではないか。JAXAは月周回衛星かぐや以降のミッションが出来ないでここまで来てしまっている。いま月の南極で氷の水を見つけることを各国が争ってやっている。そこにJAXAも月極域に降りようとしているが単独ではなかなか出来ない。どこかと組まないといけないということで今回はインドと組んで国際協力で降りようとしている」

鈴木一人、「もともと日本の月探査はメインが米国のアルテミス計画が中心に据えられているが、アルテミス計画は米国の思惑もあるし国際協力もあるのでかなり時間がかかるというか、なかなか日本の思い通りにならない。今回の月極域探査ミッションは自由度も高く広い可能性がある」
津田雄一、「月は環境がよく分かっている天体で、いろいろな国が月に活動を広げようとしていて、手が届く存在になってきつつある。技術的にはできるが、うちはロケットをやる、うちはローバーをやると選んで協力しあえば良いと思う」
●日本の宇宙探査 開発のカギ今後必要な「宇宙人材」とは?
これからの宇宙探査や宇宙を巡る政策の立案を担う人材はどういう人が望ましいか。
津田雄一、「技術が分かる人、世界情勢を知って身の丈を知っていて、何をやるべきか選別できる」
寺門和夫、「単なる科学者や技術者ではない人材が必要。以前は子どもは宇宙と言えば宇宙飛行士になりたいと言っていたが、津田プロジェクトマネージャを見ていて、成功例を見ているといろいろな人材が必要だと若い人も分かってくるのでは」
鈴木一人、「国際情勢が分かるというのはとても大事」

【提言】 「日本らしい宇宙探査を目指すには」

津田雄一 「先駆者に徹する」
 我々は「はやぶさ2」で限られた予算で大きな成果をあげた。誰もやったことのない先駆者になれ。
寺門和夫 「より多くのミッション機会を」
 日本には人材がたくさんいる。大事なことは実際に体験すること。
鈴木一人 「ニッチを攻めよ」
 日本は予算の関係で米国や中国のような大きな構造物を打ち上げて成果をあげるのは難しい。限られた予算で成果を出すためにはどこに面白いところがあるか見つけてそこを攻めていく。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9