じじぃの「科学・地球_28_世界史と化学・カレーライス・ジャガイモの歴史」

La scene du Puits

Grotte de Lascaux

La grotte de Lascaux est l'une des plus importantes grottes ornees paleolithiques. La grotte est situee dans le Perigord noir, sur la commune de Montignac (Dordogne).
Elle renferme des peinture parietales et des gravures qu'on estime dater d'environ 18 000 ans. Elles ont longtemps ete associees a la culture prehistorique du Magdalenien, mais elles pourraient remonter au Solutreen, qui le precede.
https://fr.vikidia.org/wiki/Grotte_de_Lascaux

ダイヤモンド社 絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている 左巻健男(著)

【目次】
1  すべての物質は何からできているのか?
2  デモクリトスアインシュタインも原子を見つめた
3  万物をつくる元素と周期表
4  火の発見とエネルギー革命
5  世界でもっともおそろしい化学物質

6  カレーライスから見る食物の歴史

7  歴史を変えたビール、ワイン、蒸留酒
8  土器から「セラミックス」へ
9  都市の風景はガラスで一変する
10 金属が生み出した鉄器文明
11 金・銀への欲望が世界をグローバル化した
12 美しく染めよ
13 医学の革命と合成染料
14 麻薬・覚醒剤・タバコ
15 石油に浮かぶ文明
16 夢の物質の暗転
17 人類は火の薬を求める
18 化学兵器核兵器
https://www.diamond.co.jp/book/9784478112724.html

『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』

左巻健男/著 ダイヤモンド社 2021年発行

6 カレーライスから見る食物の歴史 より

ヨーロッパの人口増大に貢献

最初、ジャガイモは観賞用だった。花を愛でたのである。ジャガイモはスペイン人が野蛮人扱いしていたアンデスの先住民の大好物だったため、気位が高いヨーロッパ人は下品な食べ物とした。動物と貧民の食べ物とされたのである。
それでも17世紀半ばになるとジャガイモに対する別の見方が出てきた。
1662年にイギリス・サマセット州のある農場経営者は、「ジャガイモがあれば飢饉のときにこの国を救うことができるでしょう」とロンドンの王立協会に文書で提案した。ジャガイモは高い生産力を持ち、収穫部分が地下にあるため冷害を受けにくく、生育が百日足らずで凶作に強い。
ヨーロッパではまず食料不足が目立ったアイルランドで広く利用された。その後、アイルランドから北アメリカへ伝えられ、1718年から動物の飼料として栽培されると、1800年頃には裕福な人々も食べるようになり、とくにアイルランドでは主食となった。
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フランスの農学者アントワーヌ=オーギュスタン・パルマンティエ(1737~1813)は、ジャガイモに毒がふくなれていないこと、また、栽培の方法や利用法について記した本を出版した。ルイ14世は彼に感謝して、「貴下が貧民のためのパンを発見したことに対して、フランスは今後当分貴下に感謝するだろう」と述べた。
こうしてジャガイモはヨーロッパ全土に普及していった。他方、極端に依存したことによる悲劇があった。アイルランドで1846~1847年にかけて始まった飢饉で、75万~100万人が餓死し、100万人以上が国を出てアメリカやオーストラリアに渡っていった。ジャガイモが目に見えないジャガイモエキビョウキンに感染したことによる大凶作が原因だ。
それでもジャガイモは、18世紀以降のヨーロッパの人口増大に大いに貢献したといえる。日本へは16世紀末の戦国時代に、ジャワ(ジャガタラ)から来たオランダ人によって伝えられた。ジャガイモ(ジャガタライモ)の名の由来はここにある。
広く栽培されるようになったのは明治時代以降のことだ。ジャガイモは肉類と一緒に食べるとおいしさが出る。そのため、同じように渡来したサツマイモとは異なり、肉食が普及する明治時代まで時間を必要としたのだろう。

家畜化で定住化が促進

カレーの日本化のポイントは肉食だろう。牛肉・豚肉・鶏肉、魚介類など何でも利用できるのが日本製カレーの特徴である。
人間が野生哺乳類の家畜化に着手した動機は、まず食料の安定供給という経済的な目的だろう。そのほかに、神への「いけにえ」にするという宗教的な目的や、ペットとしての存在意義などもあったと考えられる。
現在、家畜化されている動物には家畜化しやすい要因があった。イヌやブタは野生のときに人間の食べ残しの掃除屋的な存在として生活圏のまわりにいた。ウシやヒツジは群れで生活し、集団のなかではボスに従う性質が強いので、人間が管理しやすかったのだ。
家畜化は、イヌで1万4千年前、メンヨウ(ヒツジ)、ヤギ、ウシ、ブタで約1万年前、ウマで5千年前、ニワトリで4千年前に行なわれたとされている。

狩猟採集時代の人類と動物

フランス南西部の渓谷で発見されたラスコー洞窟の壁画は2万年前の旧石器時代クロマニヨン人によって描かれたものだ。

1940年に少年4人によって発見。1963年以降は壁画保全のために閉鎖されて、許可を得た研究者だけに公開している。ラスコー洞窟をふくむ装飾洞窟群は1979年に世界遺産に登録された。一般向けには精巧に再現されたレプリカが公開されている。
ラスコー洞窟は全長約200メートルもあり、もっとも深いところにある「井戸状の空間」は、縄ばしごなどを使って垂直に5メートルも下らないと行けない場所にある。クロマニヨン人は、漆黒の暗闇のなかを、石でできた皿状のくぼんだ面に動物の脂をおいて火をつけた小さなランプの灯りだけを頼りに進み、洞窟の奥まで辿りつき絵を描いたのだろう。
2000点弱ある壁画に描かれている躍動感あふれる色彩豊かな絵の半分近くは動物たち――ウマ、雄ジカ、バイソン(野牛)、ネコ、クマ、鳥、サイなど――だ。