じじぃの「科学・地球_25_世界史と化学・合金・元素の発見と周期表」

Historical Aviation Film Unit -- Wings, Wheels, Tracks & Rails

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=67DdMaMYYII&t=24s

おもな合金

(pigboat-don-guri131.ssl-lolipop.jp HPより)

ダイヤモンド社 絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている 左巻健男(著)

【目次】
1  すべての物質は何からできているのか?
2  デモクリトスアインシュタインも原子を見つめた

3  万物をつくる元素と周期表

4  火の発見とエネルギー革命
5  世界でもっともおそろしい化学物質
6  カレーライスから見る食物の歴史
7  歴史を変えたビール、ワイン、蒸留酒
8  土器から「セラミックス」へ
9  都市の風景はガラスで一変する
10 金属が生み出した鉄器文明
11 金・銀への欲望が世界をグローバル化した
12 美しく染めよ
13 医学の革命と合成染料
14 麻薬・覚醒剤・タバコ
15 石油に浮かぶ文明
16 夢の物質の暗転
16 人類は火の薬を求める
18 化学兵器核兵器
https://www.diamond.co.jp/book/9784478112724.html

『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』

左巻健男/著 ダイヤモンド社 20210年発行

3 万物をつくる元素と周期表 より

元素の発見と周期表

18世紀にイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタ(1745~1827)の電池による電気分解や分光分析法などによって新しい元素が次々と発見された。
分光分析法は、ある元素だけからできた純粋な物質がなくても、元素が含まれている物質が少量でも、元素を分析できる画期的なものだった。物質を炎のなかで加熱して、そのときの光をプリズムが入った分光器に通すと、光が波長の違いによって分かれてスペクトルが観測される。とびとびの波長の光だけが光る輝線と、そのあいだの暗線が見えるのだ。それらは、各元素の「指紋」のようなものだ。
古代ギリシャから続いた新しい元素を探究する旅は、周期表の登場によって最高潮に達した。元素の原子量の増加に伴って、周期的に現れてくる元素の性質の類似性が体系化されたからだ。
アントワーヌ・ラボアジェ(1743~1794)による元素表の発表以降、新しい元素が次々と見つかり、1869年にロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフ(1834~1907)が「元素の周期表」を発表する頃には、63種の元素が発見されていたのである。
当時の化学者は元素を分類整理しようと試みていた。多数の元素が発見されたことで、元素間に何らかの関係があるのではないかと考えられるようになった。
メンデレーエフ以前に、ハロゲン族やアルカリ金属、白金族のような類似性のある元素のグループの存在、化学的性質がよく似た3個1組の「3つ組元素」には「塩素、臭素ヨウ素」「カルシウム、ストロンチウムバリウム」「硫黄、セレン、テルル」の3グループが存在すると考えられていた。
また、イギリスのジョン・ニューランズ(1837~1898)というアマチュア化学者は、元素を原子量順に7列に並べて、ピアノの鍵盤の「オクターブ(8音階)」になぞらえて、「どの元素を1つ目に選んでも8つ目の元素は1つ目の元素の性質に似ている」という「オクターブの法則」を提唱した。時代から眺めると、時代の先を行くアイデアであったが、当時は荒唐無稽だとして笑い者にされてしまった。

金属の特徴

現在、周期表にある約90種類の天然元素のうち、金属元素は約8割を占めている(金属元素だけからできている物質が金属だ)。現代文明は金属なしでは考えられない。いたるところに金属材料が使われている。日常生活でもっとも多く使われている金属は鉄で、全金属の90パーセント以上である。続いてアルミニウム、銅の順になる。
金属が材料として多方面として多方面に使われている理由は、次のような性質を持つためである。
(1)金属光沢(銀色や金色などの独特のつや)を持つ
(2)電気や熱をよく伝える
(3)叩けば広がり、引っ張れば延びる
(4)合金をつくることができる
    ・
昔の鏡は、金属の表面をぴかぴかに磨いた青銅鏡だった。現在の鏡もガラスと後ろの赤色などのもの(保護材)のあいだにとても薄い銀の膜が張ってある(ガラスに銀メッキしてある)。現在の鏡も金属光沢を利用している。欄帯のカルシウムやバリウムも金属で、銀色をしている。ふつう、カルシウムやバリウムというと白色とイメージされるのは、それらの化合物が合金にすると、それぞれの構成金属とはまったく異なった性質の金属が得られる場合があるのだ。
たとえば、さびない鉄の製造は長いあいだ人類の夢であった。19世紀の末に特別な処理をしなくてもさびにくい金属”ステンレス鋼”がつくられた。
単に、ステンレス、あるいはステンレス・スチールともいわれる。「ステンレス」の「ステン」は「さびや汚れ」、「レス」は「~がない」「~しない」なので、「さびない」という意味になる。「スチール」は「鋼」。
ステンレス鋼は、成分やその割合によってさまざまな種類があるが、なかでも、18-8ステンレス鋼(鉄にクロム18パーセント、ニッケル8パーセントを添加したもの)は、家庭用品から原子力発電設備まで幅広く使われている。
ステンレス鋼がさびにくいのは表面にできる非常に緻密なクロムの酸化被膜、つまりさびで内部を強く保護するからである。
合金にして、さびにくいものだけではなく、非常に硬いもの、強度が大きいもの、加工しやすいもの、磁性などの特殊な性質を持つものなどが利用されている。

たとえば、やわらかいアルミニウムに銅とマンガンおよびマグネシウムを混ぜると、ジュラルミンという合金になる。この合金は軽い上に丈夫なので飛行機の機体などに利用されている。

古代から利用された青銅をはじめ、現在利用されている実用金属の多くは合金として用いられることが多いのである。