じじぃの「科学・地球_24_世界史と化学・近代化学の父・ラボアジェの元素表」

Antoine Lavoisier and the Origin of Modern Chemistry | OpenMind

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=55yJPs-_R1w

Lavoisier on Elements and Oxidation

Lavoisier on Elements and Oxidation

In setting chemistry on the proper track for fruitful development, one of Lavoisier's main contributions was to systematize the idea of elements at a time when some scientists were still struggling to understand substances in terms of their content of Air, Earth, Fire, and Water.
http://chem125-oyc.webspace.yale.edu/125/history99/2Pre1800/Lavoisier/Nomenclature/Lavoisier_on_Elements.html

ダイヤモンド社 絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている 左巻健男(著)

【目次】
1  すべての物質は何からできているのか?

2  デモクリトスアインシュタインも原子を見つめた

3  万物をつくる元素と周期表
4  火の発見とエネルギー革命
5  世界でもっともおそろしい化学物質
6  カレーライスから見る食物の歴史
7  歴史を変えたビール、ワイン、蒸留酒
8  土器から「セラミックス」へ
9  都市の風景はガラスで一変する
10 金属が生み出した鉄器文明
11 金・銀への欲望が世界をグローバル化した
12 美しく染めよ
13 医学の革命と合成染料
14 麻薬・覚醒剤・タバコ
15 石油に浮かぶ文明
16 夢の物質の暗転
16 人類は火の薬を求める
18 化学兵器核兵器
https://www.diamond.co.jp/book/9784478112724.html

『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』

左巻健男/著 ダイヤモンド社 20210年発行

2 デモクリトスアインシュタインも原子を見つめた より

ラボアジェの元素表

「近代化学の父」と呼ばれたフランスの化学者アントワーヌ・ラボアジェ(1743~1794)は1789年、『化学の基本の講義 新しい系統で述べられ、最近の発見に基づく』を出版した。

この本に、ラボアジェが作成した元素表がある。その本にあげられた33の元素のうち、「マグネシア」「石灰」(酸化カルシウム)を含めた8つは、後に化合物であることが明らかになったのである。
いまから見ると、ラボアジェの元素表の完全な間違いは「熱」(カロリック)と「光」の2つを元素にしたことだった。元素の「熱」は、重さはないが、液体や気体と同じようにふるまうと考えられていた。ラボアジェは、「酸素ガスは、酸素と熱からなる化合物である」といった誤った考えを持っていたのだ。「熱」や「光」が元素ではないことは、後に物理学者に手で明らかにされた。
当時、「原子論」が受け入れられつつあった。たとえば、1661年、ロバート・ボイル(1627~1691)は「ものは小さくて硬い、物理的に分類できない微粒子からできている」とする微粒子論(ボイルなりの原子論)を考えた。さまざまな化学反応が微小な粒子の運動によって起こると考えた方が、アリストテレス四元素説(火、土、水、空気からなる)よりも妥当であると考えたのだ。

壊れないはずの原子が壊れた

19世紀末から20世紀はじめにかけて、これまでの自然科学の常識(原子は、もうそれ以上細かく分けることのできない、物質の一番小さな単位である、など)がひっくり返るような物理学上の新発見が次々と起った。
まずドイツのヴィルヘルム・レントゲン(1845~1923)がエックス(X)線を発見した(1895年)ことがきっかけになり、フランスのアンリ・ベクレル(1852~1908)び放射線の発見(1896年)や、マリ―・キュリー(1867~1934)らのトリウムの発見、ポロニウムラジウムという放射性物質の発見が続いた(いずれも1898年)。
さらには、イギリスのジョゼフ・ジョン・トムソン(1856~1940)の電子の発見(1897年)、マックス・プランク(1858~1947)の量子論(1900年)、アインシュタイン特殊相対性理論(1905年)が発表されたのだ。
ある日、ベクレルは黒い紙に包んだ写真乾板を、ウラン化合物と同じ引き出しに入れた。数日後に眺めると、写真乾板が感光している。つまり、ベクレルは、ウラン化合物から黒い紙を透過するX線に似た目に見えない放射線が出ていることを発見したのだ。
マリ―・キュリーは、ウランなど放射性物質が持つ放射線を出す能力を「放射能」と名づけた。彼女は、博士論文のテーマにウラン化合物やトリウム化合物を選び、トリウムも放射能を持つことを示した。また、ピッチブレンドという鉱物が強い放射能を持つことから、そこにはウランよりも放射能は強い元素(原子)が含まれていると推測。ポロニウムを発見し、さらに夫ピェールと協力してラジウムを発見した。
4トンの鉱物のなかから。せいぜい0.3グラムしかないラジウムや、もっと少ないポロニウムを取り出せたのは、これらの原子が出す放射線を手がかりにしたからだ。