じじぃの「米中対立の本質を検証・社会制度&人権・2大国家の間で日本は?プライムニュース」

【BS】『米中対立の本質を検証 歴史&社会制度&人権 2大国家の間で日本は』2021年3月26日

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「就任65日」…ようやく初会見 (2021年3月26日)

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細谷雄一X先崎彰容 米中対立の“本質”を探る 【後編】

プライムニュース 「米中対立の本質を検証 歴史&社会制度&人権 2大国家の間で日本は」

2021年3月26日 BSフジ
【キャスター】長野美郷、反町理 【ゲスト】細谷雄一慶應義塾大学法学部教授)、先崎彰容(日本大学危機管理学部教授)
米バイデン政権の外交始動に伴って、様々な場面で【米中対立】が露わになっている。そもそも2つの大国の表面的な応酬の背景には、互いにどのような相違点があり、相容れない対立を生み出しているのか。“米欧の価値観”と“中華思想”の確執から見える、歴史・社会・民族などの“本質的な問題”とは何か。
政治史と思想史、歴史にも精通する気鋭の論客2人を招き、アメリカとの協調路線を明確に打ち出す日本自身の「国家としてのアイデンティティー」を改めて考察、向かうべき針路を導き出す。

米中対立の“本質”を探る

●米中外交トップ会談で激突
3月18日から2日間に渡って行われた米中のトップ級による外交会談。
両国とも一歩も引かない異例の展開となった。
バイデン政権後初となる米中の会談は米国・アラスカ州で行われた。
米国・ブリンケン国務長官は15日から外務防衛閣僚会合(2+2)に出席するため日本や韓国を歴訪していた。
その足で中国へとはならず米国のアラスカ州に楊潔チ(よう・けつち)政治局委員らを呼び出す形をとった。
中国がこれに応じたのは対米関係改善の糸口を探るためとみられていた。
まずはじめに口を開いたのはブリンケン国務長官
約5分間に渡り中国への懸念を口にした。
これに対し中国は猛反発。
会談冒頭5分間話した米国に対し中国側は20分間も持論を展開した。
本来なら双方一度ずつの冒頭発言でメディアへの公開は終わるはずだったがブリンケン国務長官は退室しようとしていたメディアを呼び止め中国に対し反論を行った。
再び退室しようとしたメディアを今度は中国側が呼び戻し楊潔チ政治局委員は終始、米国に対し強い態度で臨み続けた。
中国の報道では、楊潔チ政治局委員を英雄視している。
米中外交トップ会談後、人民日報が中国のSNSに拡散した写真が話題になっている。

1枚目は1901年の北京議定書の調印式の写真、2枚目は今回の米中外交トップ会談の写真。

写真とともに「120年前、米国を含む列強国にいいようにされた時代とは違う」という言葉があった。
1900年、当時の清は弱っていて、列強国に分割されていた。
怒った民衆が義和団を名乗り、外国人を襲撃。
列強8ヵ国が義和団鎮圧のため軍隊を派遣し、清は占領された。
列強国と北京議定書を結び、多額の賠償金を支払うことになった。
人民日報は「今年は屈辱の歴史から120年。そして中国共産党創立100周年」ということも絡めて、報道している。
●バイデン大統領“初会見” 米国が掲げる「対中姿勢」
バイデン大統領は3月26日、就任後初めての記者会見に臨んだ。
バイデン大統領は中国の習近平国家主席について、「専制主義が将来、主流となり、民主主義は機能しないと考える人物」と指摘。2月10日に2時間にわたって行われた米中首脳の電話協議の中身にも触れ、習氏に「我々は対決を望んでいないが、米中関係は非常に厳しい競争になるだろう」と伝えたことを明らかにした。
細谷雄一、「歴史的なスピーチ。数百年の歴史を転換を象徴する言葉だ」
先崎彰容、「民主主義という言葉は最初の内に使っていて、複雑化する世界においては機能しなくなる」
●米中対立の“本質”を探る
3月18日に行われた、米中外交トップの会談でのやりとり。
ブリンケン国務長官は、「新疆ウイグル自治区、香港、台湾、米国へのサイバー攻撃や同盟国への経済的な強要など中国の行動を我々は深く懸念している」と語った。
中国・楊潔チ政治局委員は、「中国は人権面で着実な進歩を遂げている。ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)運動以前から米国が直面する人権問題は根深い。両国自身がうまく管理することが重要だ」と語った。
細谷雄一、「今までは米国が民主主義、人権など、こういったものが模範であり、遅れた中国を助けてあげる。中国は米国に民主主義を学ばなければいけない」
先崎彰容、「米中はあたかも違う国という感じもするが、両大国は大国なりの共通の課題を抱えていて、国内における多様性。日本において多様性というと“ダイバーシティ”とプラスのイメージだが、多様であることは無秩序ということにもなる。米国では教室に星条旗を掲げていないと多様性が保てない状態になっている」

人種・民族の多様性について

・米国 「サラダボール」
 人種のサラダボール・・・人種は混ざり合っておらず、人種毎に住み分けができている。人種のるつぼではない
・中国 「民族自治(5つの民族自治区)」
 中国の民族自治・・・中国は漢民族少数民族からなる。5つの民族自治区とは北から内モンゴル自治区新疆ウイグル自治区寧夏回族自治区チベット自治区広西チワン族自治区
中国はこれら少数民族に対し、宗教、言語で中国化政策(漢民族化)を推し進めている。

反町理「米国のサラダボールと中国の民族自治との違いは何なのか」

先崎彰容、「日本は人権で米国が正しいと思っているが、中国は専制的なやり方で新型コロナで結果を出している。中国のやり方に対し非難できない状態にある」
細谷雄一、「米国と中国は似ている国家で、対照的というかサイズも大きいし、多民族で、イデオロギーがある。中国は新しい国家だ。中国という名称が出来てからまだ100年くらいしか経っていない。米国の小学校での星条旗愛国主義教育は、日本の極右どころではない」
3月18日の米中外交トップ会談での楊潔チ政治局委員の発言について。
楊潔チ政治局委員は「中国は120年前、西洋各国からひどい目にあった。中国は大国だ。黒人差別などで米国が中国を非難する資格があるか」と発言した。
先崎彰容、「120年前から今までの中国は本来の中国ではない。本来の中国を未来に託そうという革命的政権だ」
●日米「共同歩調」の未来
日米2+2 共同声明より。
細谷雄一、「このタイミングでこれだけ強い文章を出せたことは非常に意義があった。共同声明の上の部分は党内左派を配慮して一定程度中国との協力の余地を残す。後半部分はリベラルホーク(米国における政治的立場の1つで政治的にはリベラルだが、外交においては介入主義的な政策を支持する人をいう)、同盟重視派の国際協調派を入れている。世界で今一番重要な地域がインド太平洋地域。その中で一番重要な同盟国は日本。日本が意識せず、米国の中で日本の存在意義が著しく高まっている。根幹は価値を共有するということ。韓国は価値の面で米国と共有するという意欲があまり感じられない」
●日本が進むべき針路は
細谷雄一、「米国さえも中国との経済的な関係を全面的に犠牲にするつもりはない。デカップリングはセンシティブな安全保障の危機分野に限定しているので、その点では米国もそこまで覚悟があるわけではない。特に民主党政権ではそういう側面がある。国際政治の世界ではどの国も国益を追求するのは当たり前。米国が国益を守るために日本を見捨てたり裏切るのは当然」
戦略対話について言及。
米国の外交戦略について(力、利益、価値観)。
先崎彰容、「価値観で何かを共有できるという考え方で出発するのは、日中でも日米でもまずない。そのうえで自由と民主主義が日米の場合はあり、戦前は日中はアジア主義という1つの価値観を主張したときもあった」
細谷雄一、「簡単に言うと、我々が次引っ越す時に米国に住むのと中国に住むのとどちらが違和感がないかということ。それがどれだけ価値観を共有しているかということの結果」

【提言】 「米中対立 日本が取るべき針路は」

細谷雄一 「自らの使命とアイデンティティを考えよ」
 日本は「自由で開かれたインド太平洋」を提案した。このような発想を世界に向けて発信していくことが大事。
先崎彰容 「尊厳ある国へ」
 日本は分断された社会にならない。海外においては尊厳のある国として行動する。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9