Lactic Acid Bacteria Preparation & Usage_DoAG&Digital Green_Kadapa_June-2016
FIGURE 1
Lactic Acid Bacteria and Bifidobacteria with Potential to Design Natural Biofunctional Health-Promoting Dairy Foods
18 May 2017 Microbiology
FIGURE 1. Beneficial effects resulting from the consumption of biofunctional fermented dairy foods.
Lactic acid bacteria participating in milk fermentation in situ release and naturally enrich the fermented dairy product with a broad range of bioactive metabolites. Subsequent ingestion of this product can exert important health-promoting activities on the consumer, such as anti-hypertensive, and anti-diabetic, immune-modulatory, anti-cholesterolemic or microbiome modulation.
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2017.00846/full
腸と脳―体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか 紀伊國屋書店
エムラン・メイヤー/著 高橋洋/訳
腸と脳のつながりを研究し続けてきた第一人者が、腸と腸内の微生物と脳が交わす緊密な情報のやりとりが心身に及ぼす影響や、腸内環境の異変と疾病の関係などについての最新知見をわかりやすく解説する。
健康のための食事や生活についての実用的アドバイスも必読。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784314011570
第5章 不健康な記憶 より
数年前、ジェニファーという35歳の女性が診察室を訪れ「これまでずっと腹痛を抱えて生きてきましたが、最近になってさらにひどくなったのです」という相談を持ちかけてきた。どのような腹痛かを知るために、あたしは彼女に便通について尋ねてみた。回答によれば、1日中トイレに駆け込まなければならない日もあれば、数日間便秘になることもあり、下痢の日には腹痛がひどくなるが、トイレに行くと痛みが一時的に収まるとのことだった。また面談を続けるうちに、彼女は10代前半のころから、パニック発作をともなう不安障害を抱え、周期的に抑うつを経験していることがわかった。ジェニファーは、私の他にも2人の胃腸病専門医と精神科医を含む数人の医師に相談し、消化管の上部と下位の内視鏡検査、腹部のCTスキャンなど、いくつかの標準的な検査を受けていたが、何も異常は見つからなかった。彼女はこう述べる。「最近診てもらった2人の医師には、特に問題になる異常はないといわれました。まるで、私の思い過ごしにすぎないとでもいいたそうでした」
ジェニファーを診察した医師たちは、抗うつ薬のセレクサや胃酸抑制剤のプリロセックなど、脳腸相関が関与する原因不明の症状によく用いられる薬を処方した。だがそれとともに、「それ以上の医学的処置はない」「症状と折り合って暮らしていくすべを身につかねければならない」と彼女に告げていた。「医療に対する信頼をまったく失いました」と彼女はいう。
幼年期のストレスと過敏な腸
ラットが子どもの脳が養育のちがいによっていかに変化するのかを報告する。最初の研究成果が刊行されてまもないころ、私は、アメリカ各地から生物学的精神医学の研究者を集めて行われた。米国神経精神薬理事学会の主催する会議に招待され、ストレスのメカニズムについて論じる小規模なシンポジウムに参加した。そこで私は、エモリ―大学のポール・プロツキーと初めて出会った。母親ラットが受けたストレスが、子どもの生物学的特徴や行動にもたらす変化について論じる彼の講演を聴いていたとき、慢性胃腸薬疾患を抱える私の患者にも彼の意見が当てはまるのではないか、そしてその知見を治療にうまく活かせるのではないかという思いが、顔をよぎった。
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こうしてわれわれは、言葉や情動や腕力による虐待、放置、親の重病や死、両親の離婚やその他の家庭問題を18歳になるまで経験した。100人の成人健常者の脳画像を取得した。それを参照することによって、意外にも、不安、抑うつ、消化管障害などの症状をまったく呈していない健常者にさえ、脳の構造に加え、周囲の危険や身体刺激の意味を評価する役割を果たす脳のネットワークの神経活動に、変化が見られることがわかった。このいわゆるサリエンス・システム(何に意識を注意すべきかを決める脳のシステム)は、状況を評価して良い結果や悪い結果を予測する際にも、さらには直感的な判断を下す際にも重要な働きを担う。この発見は、いくつかの観点において注目に値する。われわれは、脳が、幼年期に経験した逆境に反応して再配線され、その変化が一生持続しうることを初めて示した。しかもまったく健康な被験者に見出されているので、必ずしも特定の健康問題をともなうわけではないことがわかった。確かにそのような人は、心配や不安を抱えがちであったり、危険を回避しようとする傾向が強かったりするのかもしれないが、ジェニファーのように消化管障害を発症したりはしない。サリエンス・システムの変化は、ストレスに敏感に反応する。IBS(過敏性腸症候群)などの障害を発症する危険性を高めるのだろうか? われわれの研究が示すところでは、IBS患者には、食物の摂取に応じて消化管から送られてくる正常なシグナルや、心理的なストレスに対する過剰反応を導く主要因の1つである。脳のネットワークの変化が見られる。
脳腸相関の障害に対処する新たなセラピー
子どもがまだ子宮内にいる時点から、母親が経験するストレスのレベルによって。ストレス、腸疾患、不安障害、うつ病に対する子どもの脆弱性が変ることを見てきた。この初期プログラミングは、母親の振る舞いによってのみ変わるのではない。子どもの健康への大きな脅威になるいかなるできごとも、一連の障害に対する脆弱性を高める可能性がある。
ジェニファーの抱える健康問題の起源は、この知見に基づいて理解することができる。彼女がまだ母親の胎内にいたころ、母方の祖母が乳がんになり、それを知った母親が悲嘆にくれて激しい不安にかられたことを思い出してほしい。安定した養育環境が必要な幼年期には両親のけんかが絶えず、ジェニファーが8歳のときに両親は離婚している。幼年期に受けたストレスについてストレスについて報告するIBS患者は多いが、ジェニファーもつねにストレスを感じていた。それによって、成人後に不安障害、抑うつ、IBSを発症する可能性が高まったと考えられる。母親と祖母がジェニファーと類似のストレス障害を抱えていたという事実は、遺伝やエピジェネティクスのメカニズムを介して、ストレス障害に対する彼女自身の脆弱性が高まっていたことを示唆する。
最近私は、不安障害やIBSなどのストレスに起因する慢性的な症状を抱える、ジェニファーのような患者を診察する際には、本章で取り上げた、脳腸相関についての最新の知識に基づいて、「胃腸の症状も、不安障害やうつ病も、その症状の進行には、ほぼまちがいなく幼年期の経験が関係しています」と助言している。そして症状の生物学者な要因を説明し、他の医師がいうように症状が「気持ちの問題にすぎない」のではないことを理解してもらえようにしている。ジェニファーは、いくぶん意気消沈して、私に次のように聴いてきた。「でも、幼年期にすべてが配線されてしまっているのなら、しかも家族歴から考えて私がこういう症状を抱える可能性が高いのなら、一生この状況と折り合って生きていかねばならないのでしょうか?」この問いかけに対して私は、「確かに、あなたの脳腸相関はすでに配線されています。しかし、人間の脳には前頭前皮質と呼ばれるすばらしい領域があります。この領域は、変わってしまった脳神経回路の働きをくつがえし、新たな行動を結ぶ能力を与えてくれます」と応答した。
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私はまた、脳腸相関の変化におけるマイクロバイオ―タ(ある環境中の微生物)の役割に関する新たな科学的知見に基づいて、プロバイオティクス(腸内で有益に働く微生物やそれらを利用した食品素材や製品)錠剤の摂取量を増やすようジェニファーに助言した。
発酵食品、ヨーグルト、プロバイオティクス錠剤の摂取によって体内に取り込まれる乳酸菌やビフィズス菌などの有益な微生物は、腸内微生物で構成される生態系の多様性を高める。また私は、発酵食品に含まれる自然なプロバイオティクスに加え、臨床試験によって有効性が実証された、数種類のプロバイオティクスの摂取を推奨している。
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ジェニファーのような患者は、ある意味で若いころのストレス環境に完全に適応し、腸や脳、あるいは腸内微生物でさえ、危険に対処するためにさまざまな様態でプログラミングされてきたのである。
この事実がもっと多くの医師に知られれば、彼らは、IBSや、その他のストレス障害を抱える患者をもてあますのではなく手助けできるはずだ。また患者のほうでも、適切な治療をすばやく見つけて、心の平安を取り戻せるだろう。