じじぃの「科学夜話・水銀・金属も気体になるの?化学の目で見る気体」

図1.水銀の相図

SPring-8で水銀が金属から絶縁体に変わる瞬間を観測

SPring-8 Web Site
●金属が電気を通さなくなる瞬間
鉄(Fe)やアルミニウム(Al)に銅(Cu)。これらは一般に「金属」と言われています。
電化製品を中心に私たちの身近にあり、生活していく上で欠かせないものです。
金属の最大の特徴は、電気が流れることです。しかし、これは常温で固体の場合であって、高温で溶かして液体にしたり、さらに温度を上げて気体になったら、それでも電気は流れるのでしょうか。
図1.水銀の相図
数値が付記された3本の直線は、密度が一定となる等密度線。密度9g/cm3の等密度線(赤い直線)付近で、金属-絶縁体転移が起こる。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_35

『化学の目で見る気体 身近な物質のヒミツ』

齋藤勝裕/著 技術評論社 2020年発行

気体金属 より

金属が気体になるというと不思議に聞こえるかもしれませんが、決して不思議なことではありません。水銀は357℃で沸騰して気体水銀になります。これを利用して奈良の大仏を金メッキしたことは第6章でみることにします。金は2856℃で気体になりますし、鉄も2862℃で気体になります。火山の噴煙の中にこのような気体金属も入っているかもしれません。
金属が気体になるのですから、全ての有機物も加熱したら気体になりそうなものですが、有機物の場合には他の事情があります。それは熱分解するということです。分子量の大きな有機物は加熱すると気体になる前に熱によって分解してしまうことがあります。

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どうでもいい、じじぃの日記。
何となく、金属が気体になるというと不思議な感じがします。
空気も気体ですが、水素分子H2、窒素分子N2、酸素分子O2、フッ素分子F2、塩素分子Cl2などの非金属元素からの構成になっています。
サングラスに薄い金属をつけるときは、真空中で金属や金属酸化物等を加熱して蒸発・気化させて製品の表面に薄膜を形成します。
だから、鉄でも高温の鉄融液から鉄の気体が蒸発して真空蒸着で鉄の薄膜ができるわけです。
逆に、気体の水素に超高圧をかけると金属になるそうです。
ちなみに、奈良の大仏が完成したのは西暦749年で、金メッキするために大量の水銀が使われたそうです。
現在の大仏は銅の錆である緑青色ですが、当時は金ぴかであった。光り輝いた大仏を作るためには金を大量の水銀に溶かし(アマルガムと呼ばれる)、それを塗布して、最終的に火であぶって水銀を蒸発させて金メッキとしたのだそうです。