じじぃの「科学夜話・私も・もうすぐいなくなります!絶滅の生物学」

Toumai skull: ape-man, or just ape?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lXl5N-pXGag

Toumai (7 million years ago)

最古のヒト、700万年前に生存か

2008年2月28日 AFPBB News
2001年にアフリカ中部チャドの砂漠地帯で発見された最古のヒトとされる「サヘラントロプス・チャデンシス(Sahelanthropus tchadensis)」の頭がい骨の化石は680万から720万年前のものだとする研究結果が、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)3月4日号に掲載される。
現地の言葉で「生命の希望」を意味する「トゥーマイ(Toumai)」と名付けられたこの化石は、フランスのミッシェル・ブルネ(Michel Brunet)博士率いる調査チームが発見した。頭がい骨、あごの骨、歯がほぼ完全な形で残っており、これがヒトの祖先なのかどうかについては、激しい議論が交わされてきた。
トゥーマイの頭がい骨はヒト科の動物にしてはひしゃげすぎており、ヒトとして十分な脳の容量を持っていなかった上、身長は歩くチンパンジー程度の120センチしかなかったとの批判もある。
https://www.afpbb.com/articles/-/2357194

『もうすぐいなくなります――絶滅の生物学』

池田清彦/著 新潮社 2019年発行

「絶滅」とは何か より

「絶滅」というと、多くの人は、種やより大きな分類群の絶滅のことを思い浮かべます。ここまでいろいろな生物種や分類群の絶滅についてさまざまな例を引きながら話してきましたが、絶滅は何も種や分類群に固有の現象ではありません。ひと口に「絶滅」といっても、いりいろなレベルの「絶滅」があるからです。
「絶滅」とは種が絶えることであると、一般には考えられています。ある生物種の最後の個体が死ねば、それでその種は絶滅した、という話になるわけですが、「絶滅」の内実は非常に曖昧であり、話は単純ではありません。
ある生物の1個体が死んでも、それを「絶滅」だとは、ふつうは言わないでしょう。けれども、ある個体の中にいる細胞はその個体固有のグループですから、個体の死とともにその細胞の系列は絶滅することになるわけです。すなわち、1個体の死も、ミクロなレベルの「絶滅」には違いないのです。
一方で、たとえば人間の夫婦が子どもをつくり、その子どもが子どもをつくり、そのまた子どもが子どもをつくり……となったら、その血統(細胞系列あるいはゲノム系列)はなくならずに継承されていくことになります。しかし、どこかで子どもが途絶えれば、そこでその血統は「絶滅」したことになります。
たとえば、夫婦に3人の子どもがいたとして、そのうちのひとりには子ども(最初の夫婦から見れば孫)がいて、その子どもがまた子ども(最初の夫婦から見れば曾孫)をつくれば、この系統はしばらくは「絶滅」しないわけです。しかし、残りのふたりが子どもをつくらなければ、彼らの血統は彼らの代で「絶滅」することになります。
このように卑近な例から見てもわかるように、「絶滅」といっても、1個体の死というような水準の話から、血統が途絶えるレベルの絶滅、そして、この本でさまざまな例を見てきたような、地域個体群の絶滅、種の絶滅、種よりももっと大きな高次分類群の絶滅まで、いろいろなレベルの絶滅があるのです。
さらに特記すべき絶滅として、ミトコンドリア系列の絶滅があります。ミトコンドリアは母系を通して次の世代に伝わるので、オスしか生まれないと、この時点でミトコンドリア系列は絶滅します。周知のように、約20万年前に生存していたとされる「ミトコンドリア・イブ」と称される女性から発するミトコンドリア系列は、人類が滅亡しない限り不滅です。

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どうでもいい、じじぃの日記。
「絶滅」とかいう言葉から、あまり関係ない魚の「サケ」を思い浮かべる。
サケは産卵のために川を遡上し、産卵と受精を終えると川の中で死んでいく。
人間を除いて、多くの動物は「生殖」という目的のために生きているように見える。
中国などで宮廷に仕えていた「宦官」は去勢された男性のことだ。
彼らは長生きであったらしい。
実は、男の場合は生殖器官を切除しても、生きていくうえで何も問題がないらしい。
テレビで、芸術家同士の外人男性と日本人女性のドキュメンタリーを見ていたら、子どもができたという場面が出てきた。
日本人女性、「私たちは歴史をつくっていくんだ」
サケは歴史をつくって死んでいく。
まあ、「絶滅」という言葉はいろいろ考えさせられる。