じじぃの「はやぶさ2・困難直面時に迷わない決断の仕事術!夕刊フジ」

Hayabusa2 Touchdown Operation (PPTD)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VfuT9CVbIG8

Image from just after touchdown

From February 20 to 22, we conducted the touchdown operation (TD1-L08E1) of Hayabusa2 on the surface of asteroid Ryugu. Figure 1 shows an image taken with the Optical Navigation Camera - Wide angle (ONC-W1) during the spacecraft ascent after touchdown.
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/en/topics/20190225e_TD1_W1image/

夕刊フジ』 2021年1月16日発行

困難直面時に迷わない津田流「決断の仕事術」 【執筆者】日本の元気 山根一眞 より

コロナウイルスという強敵を前に、なぜ菅義偉首相は大胆な感染対策の決断ができないのか。それは、「困難直面時の決断の仕事術」を身につけていないからではないか。
そのことを実感させてくれたのは、昨年12月、長時間インタビューした小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャ、津田雄一さんだった(詳細は先週発売の『文藝春秋』2月号『プロジェクトマネージャが明かす秘話・はやぶさ2「管制室で震えた”完璧なる帰還」』に掲載)。
    ・
はやぶさ2は18年6月27日に地球から3億キロ離れた小惑星リュウグウに到着したが、チームは探査機から送られてきた写真を見てがく然とする。リュウグウが岩塊だらけの天体だったからだ。幅6メートルという太陽光パネルを持つはやぶさ2小惑星の表面に降下すれば、そのパネルが岩に衝突し探査機計画はジ・エンドとなる。
そこで探査機が撮影した写真をもとにリュウグウの1万個以上の岩塊の全サイズを測定、科学者チームとともに、安全にタッチダウンできる場所を探すために4ヵ月を費やした。やっと見つけた候補点のひとつは、わずか6メートル四方。1DKアパートほどの面積しかなかった。他の選択肢もあったが、ここに降りると決断したのは津田さんだった。
「こういう重要局面ではチームの意見が百出、なかなか決断できないものだが?」という私の質問に対して津田さんは「いや、そういう議論が避けられず選択肢を求められることが多いはずだとわかっていたので、その備えをしてあったのです」と言うのだ。
その備えとは、決断に戸惑う場面をいくつか想定し、1ー2年前からチームで議論を済ませておいたことを指す。「選択肢は無限にあるので、本番で議論をしていたのでは混乱が続くことが目に見えていましたから」と津田さん。選択肢を2ー3に絞り込み済みだったため、「実際に困難に直面した時には2択か3択から1つを選べばよかったので、チームの議論は拡散せず、迷いがない決断ができました」

これは究極のリスクマネジメントだと感服した。「決断」は往々にして、リーダーの経験や直感によって行うもので、そういう才能を持つリーダーが優れたリーダーだとされてきた。だが、それは失敗のリスクも大きいのだ。

一方、「津田流決断の仕事術」では混乱や迷いなく成功への確率も高める。これは、経営者にとって参考になる仕事術であり、巨大災害の備えにも役立つだろう。さて、コロナ対策で成功への決断ができないままの菅首相が、そういう「決断の仕事術」に目覚める日はくるのだろうかと不安は募る。