じじぃの「北極のパノラマ!死ぬまでに観ておきたい世界の写真」

Showreel of aerial winter landscapes, by Pal Hermansen.

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=X_gsiSAAkgw

Welcome to Photographer Pal Hermansen

Pal Hermansen - Photographer

There has been little activity visible on this blog for a period of time, but it does not mean that there has been no activity from my side. Both cold and warm parts of the world have been explored this year. There has now been a careful update of the Bio and the purchase data on the site, and hopefully more images etc. will follow within short.
http://palhermansen.com/

『死ぬまでに観ておきたい 世界の写真 1001』

ポール・ロウ/著、小川浩一、竹村奈央、風早仁美/訳 実業之日本社 2019年発行

北極のパノラマ より

ポール・ヘルマンセン
撮影年:2005年
撮影地:スヴァールバル諸島ノルウェー
フォーマット:パノラマ
凍てつく白。青、緑といった色調をもつこちら広角の画像の中で、見る者は目、ホッキョクグマのいる浮氷上の鮮烈な赤にたちまち引きつけられる。
これは、獲ったばかりの餌の血だ。赤は危険を表し、私たちは本能的にこの色に引きつけられる。さらにこの画像では赤は、氷の冷たい場面に思いがけない暖かみを加える。写真のワイドな眺めは、手付かずにある北極の風景の規模や広がりを際立たせる。そこは、転々と散らばった氷塊が水面に漂う、ひたすら広大な無の空間だ。地平線には雪に覆われた山の峰が連なるが、浮いた氷の島にいる1頭だけのホッキョクグマのちょうど上で途切れ、三角形の視線を作り出す。ここでもまた、見るものの視線はクマに向かう。朝食のワモンアザラシの上でじっと構えた姿のクマは、下の海水に暗い影を落とし、恐ろしい存在に見える。
自然写真集のポール・ヘルマンセン(1955~)は、これまでにも北極で何度もホッキョクグマに遭遇してきたが、このクマはその置かれた状況ゆえに特に際立って見えた。ヘルマンセンの乗った調査船が15mの距離まで近づき、彼はこのシーンをとらえることに成功した。それから一連の写真を撮影し、後にひとつのパノラマ写真につなげた。
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環境学者たちは、北極圏の氷冠あたりに野生で生息するホッキョクグマは約2万6000頭いるとしてる。しかし、彼らが強く主張するには、ホッキョクグマの生活は、地球温暖化による生息地破壊、有毒化学物質による食糧源の汚染、石油探査が与える破壊的影響といった、様々な脅威にさらされているという。ヘルマンセンの画像はいくつかの解釈が可能だが、おそらく見るものは、薄くなる北極の氷、上昇する海面、ホッキョクグマがいる「食卓」の縮小など、気候の変化がもたらす様々な悪影響に注目するのではないだろうか。