じじぃの「歴史・思想_410_日米中アジア開戦・米中による尖閣諸島かけひき」

【バイデン氏が尖閣“防衛”の義務を明言】報道1930 まとめ20/11/12放送

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=jXIeSlptHlk

尖閣は固有の領土」中国がバイデン氏に反発

2020年11月12日 日本経済新聞
中国外務省の汪文斌副報道局長は12日の記者会見で「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土だ」と述べた。バイデン前米副大統領が菅義偉首相との電話協議で、尖閣が米国の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象だと明言したことを批判した。
汪氏は日米安保条約を「冷戦の産物だ。地域の平和と安定を損ねるべきではない」と非難した。米大統領選で勝利を確実にしたバイデン氏の言葉に中国外務省が公式にコメントするのは事実上初めてだ。
習近平(シー・ジンピン)指導部はバイデン次期米政権の動向に警戒心を高めている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66152660S0A111C2EA2000

『日米中アジア開戦』

陳破空/著、山田智美/訳 文春新書 2014年発行

尖閣諸島、北京の危険な賭け より

尖閣諸島問題については今回は話したくない。石油が出たから問題化した。もし石油が出ていなければ、台湾もアメリカも問題はなかった」
                  ――元中国総理 周恩来

日米を引き離す策略

中国政府があれこれ手を尽くして日米関係を悪化させようとしているのも策略の1つだ。アメリカに対して、中国の真の目的はアメリカではなく日本に対するもの、尖閣諸島もにであるとほのめかしたのだ。だが中国共産党の御用学者は、中国が設定した「東シナ海防空識別圏」の範囲は日本の宮古海峡に近く、日中の対抗地点を東シナ海の中間線一帯から宮古島付近の海域へと押し進めたと指摘している。東シナ海中間線付近の白樺ガス田を占拠した後、尖閣諸島を争奪し、さらに戦線を宮古島方面へ押し進めると報道している。宮古海峡アメリカ海軍が中国近海に進入するための重要な入口であり、また中国海軍が第一列島線を突破した暁には太平洋へに抜けられる重要な出口となると考えている。中国が設定した「東シナ海防空識別圏」じゃ日本とアメリカを同時に抑えつけるもので、「海空戦略の重大な突破」と自称している。
アメリカは中国の行為を「不必要な挑発行為」と批判し、「現状を一方的に変えるもので、地域の衝突を激化させる危険な行動」と一喝した。中国が「東シナ海防空識別圏」を設定してから僅か3日後、アメリカは事前通告なしで2機のB-52爆撃意を同空域で飛行させ、中国の顔をつぶした。

日本に厳しくアメリカには甘い

尖閣諸島を奪うため中国政府は着々と準備を進めているが、攻め込むまでには至っていない。攻撃を阻む最大の壁はアメリカである。
中国は再三にわたってアメリカの出方を試してきたが、アメリカは一貫して尖閣諸島は日本の行政管轄下にあると認めている。そして、「一方的な現状の変更」に反対し、中国が「一方的に日本の管轄権を侵害すること」に異を唱えている。最も重要なのは、尖閣諸島が「日米安保条約」の適用対象になるという立場を示してきたことだ。こういったアメリカの発言は、この海域での中国の活動に反対していること、一度戦争が起きればアメリカは日本に協力することを意味する。
2013年5月、アメリ国防省は「中国の軍事力に関する年次報告書2013」を発表した。報告者では尖閣諸島を巡る日中間の紛争について多くのページを割き、中国による武力の脅威と危険性に強い監視を示していることがうかがえる。アメリカはいつでも、中国の尖閣諸島侵犯に対応できるよう準備していると暗に示している。

2013年12月、中国が「東シナ海防空識別圏」を勝手に設定した後、アメリカのバイデン副大統領は日本、中国、韓国を歴訪した。バイデンは習近平と会議や夕食などで、都合5時間にわたるマラソン式会談を行った。アジアの緊張を激化させるべきではないと強い調子で戒めるバイデンに対し、習近平はくどくどと自分たちの主張を説明し、強硬な立場を崩さなかった。

尖閣諸島を巡る紛争が白熱する中、中国政府は国内に向けて、日本とアメリカとでは戦い方が異なり、一方には強硬に、一方には柔らかく対すると強調している。すなわち、日本には強硬に、アメリカには柔らかく、ということだ。2013年2月、安倍首相が訪米する際、中国はオバマ政権に対して猛烈に事前工作を仕掛けたアメリカが日米安保条約尖閣諸島に適用すると公に強調せず、中国の顔を立ててくれるよう懇願したのだ。
この時、中国は取り引き材料として、北朝鮮問題でこれまでにないほど積極的にアメリカに協力し、国連の対北朝鮮制裁決議の起草にまで加わった。中国の新しい指導者層は、アメリカと新しい大国関係を築くべきだと相次いで表明し、政治、経済面のほか、軍事面でも両国が対話を強化することを期待している。中国の思惑とは、アメリカにいい顔をして米中関係を温めれば、日米関係を邪魔することができるというものだ。
安倍首相が訪米を終えると、中国メディアは国内に向けて歪曲報道を大量に流した。日本は釣魚島問題で「アメリカの明確な支持を取りつけられなかった」として、「安倍訪米は失敗に終わったと揶揄し、日米首脳の合同記者会見が行われなかったのは「日本が願っていたほどアメリカは安倍を支持していなかったから」で、アメリカは「日本に冷水を浴びせ」、安倍の訪米は「低調で気まずい雰囲気の中で終った」「意気揚々とやってきて意気消沈して帰って行った」と報道した。さらに4日間の安倍首相の訪米日程をわざと「日帰り旅行」と矮小化した。
中国政府は、「日米関係修復」「日米同盟強化」など安倍首相の訪米の成果を故意に無視し、「世界最大の経済大国、中米両国の政治と経済の蜜月関係」ばかり強調し、米中関係は日米関係を上回るほどの親密さであると嘘をついている。まるで街に繰り出した成金が「どうだ。俺様は大金持ちだぞ」と喚いて横暴に振る舞うかのような中国メディアの太鼓持ちの報道は、北京がワシントンを非常に気にかけていることを証明するものであり、日本にとってアメリカが必要なだけでなく、宙語胆アメリカを必要としていることの証左である。
日中戦争では、アメリカは中国側についた。そして今日の日中戦争ではアメリカは日本側についている。歴史とはかようにドラマチックなものだ。かつてアメリカは中国と同盟を結び、日本を打ち負かした。だが今日は、アメリカは日本と同盟を結び、中国共産党を打ち負かそうとしている。中国が恐れているのはまさにこの歴史の逆転である。