「月の水」想定より大量に存在(2020年10月27日)
「月の水」 想定より大量に存在?
【解説】月に隠された大量の水の証拠、米研究
2017.07.26 ナショナルジオグラフィック日本版サイト
月には、これまで考えられていたよりも大量の水が存在するかもしれない。はるか昔の火山噴火によって作られたガラス粒子の分析から、新たな事実が判明した。
自然の力によって生まれたこれらのガラス粒子は、1970年代、火山活動域の近くに着陸したアポロ15号、17号のミッションのなかで採集されたものだ。マグマが地表に噴出する際、内部に水を閉じ込める形で結晶化することによって形成された。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/072600284/
混合と分別 より
運命は密度が決める
月ができたのは、地球の核とマントルが分離したころ、同じくらいの成長段階にあった、火星ぐらいの大きさの惑星が斜めにぶつかって割れたため、というのが現在の定説である。その結果として起きた一連の出来事はあまりにも複雑だったため、スーパーコンピュータを何時間も走らせてシミュレーションしなければならなかった。これらのモデルでは、衝突した惑星(ニックネームはオルフェウス)の核の大半は地球に組み入れられる一方、マントルは地球のマントルの一部とともに宇宙に飛び散って惑星の輪になったのではなく、衛星と融合したことが示唆される。ここでもまた、地球が惑星になるまでの過程は、混合と分別の繰り返しであることがわかる。
このやや物騒な月の誕生のシナリオは証明されてはいないが、数多い不思議な性質と一致し、最も可能性の高い説としてほとんどの惑星学者が支持している。第1に、地球t月の回転の、度が過ぎるような角運動量や、月の軌道が黄道の平面から少し傾いていることを説明できる(もしそうでなかったら、日食は月1回のペースで起こる)。第2に、アメリカのアポロとソ連のルナが月から持ち帰った石の標本によって生じたパラドックスを解消できる。これらの標本を分析してみると、いくつかの面で月の石は地球のものに非常によく似ていることがわかった。特に同じ起源を持つことを、指紋のようにはっきりと示す酸素同素体の比率が非常に近かった。しかし同じ種類の地球の石とは、まったく違っている部分もあった(特に月の玄武岩)。月の石にはチタンと鉄が多く含まれているうえに、ほとんど干からびているというくらいに乾いていたのだ。これらの性質は、月の発生起源についての従来の仮説をすべて否定しているようだった。月がよそからやってきた惑星であるというには、石が地球のものと似すぎているし、かといって地球の一部が砕けた双子のきょうだいというには、違いが大きすぎる。結局のところ、月は地球とオルフェウスの物質が混ざってできたものと考えられる。月の地殻に水がまったく存在しないのは、過去に2回、火あぶりにされた結果だろう。
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太陽系の物語の冒頭は、何度もコーラスがレフインするバラードに似ている。全体としては分類と移動の物語だが、一節ごとに同じ句が挿入され、新しい物質が混ぜられて坩堝(るつぼ)に戻されるため、分別をやり直さなければならない。太陽系の祖先はおそらく、最初はどくじの惑星や月が存在する整然とした世界だったと考えられる。しかしその中の星が爆発して、すべての要素がごちゃ混ぜの状態になった。やがて新しい星が発生し、混乱する物質を温度によって並び替え、石や金属の塊を内部軌道に集めていった。それらの塊は互いにびつかり、衝突し、まとまり、雑多な物質が入り混じった巨大な瓦礫(がれき)の山となる。この瓦礫の山は自らの放射熱を蓄積・溶解して分離し、中央に密度の高い金属が集まってその周囲を岩の多いマントルが取り囲んだ。地球がちょうどこのように中味を整理していたとき、同じくらいの成長段階にある地殻の惑星と衝突した。2つの惑星は物質を交換し、それまでよりやや大きな地球と、道連れとなる小さな月ができた。そのどちらも、ふたたび自分の惑星を分化させる作業に戻ったというわけだ。
惑星がいったん金属質の核、岩石質のマントル、そして原始的な地殻に分かれてしまうと、逆行はできないらしい。密度によって定められた地点に達してしまったのだ。それでは上に浮かび上がった殻は、その後、どのようにして下部の層と交流を持つのだろう。