じじぃの「歴史・思想_391_地球に住めなくなる前に・蓄電池技術」

How Tesla Battery Farms Changed the Lives of Australians

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=kYMtqnzEDVg

The Tesla battery in South Australia.

Tesla's Battery Has Already Saved South Australia a Huge Amount of Money

Tesla’s South Australian battery project, described as the world’s largest lithium-ion storage system when it was completed, has managed to save the state a large sum of money.
The Hornsdale project, completed last November in 54 days, has reduced costs associated with stabilizing the energy grid by nearly AU$40 million ($28.9 million).
https://www.inverse.com/article/51515-tesla-s-battery-has-already-saved-south-australia-a-huge-amount-of-money

テスラは今後破滅するのか? それとも躍進するのか?

2018年8月28日 自動車情報誌「ベストカー
■カギは電池供給と自動運転技術
カギとなるのが、電池の安定供給と自動運転だ。
さらに、電池についてパナソニックとの専属契約を結び、パナソニックネバダ州に世界最大のリチウムイオン電池工場「ギアファクトリー」を稼働させることで、電池コストを抑えることを決断した。また、「モデル3」からは「18650」より電池容量が大きな円筒型電池も実用化した。
テスラとしては、これまで技術開発してきた円筒型電池を他社への供給、またはマスク氏が買収したソーラーパネル開発企業「ソーラーシティ」向けの定置型蓄電池などとして、事実上の標準化であるデファクトスタンダードを握りたいところだ。
https://bestcarweb.jp/news/41351

『私たちが、地球に住めなくなる前に 宇宙物理学者から見た人類の未来』

マーティン・リース/著、塩原通緒/訳 作品社 2019年発行

人新世の真っ只中で より

クリーンエネルギーと「プランB」

なぜ政府は気候変動の恐れに対する反応が鈍いのだろうか。それはおもに、未来の世代(および、世界の貧しい地域に住む人々)への心配が往々にして政治課題からこぼれおちてしまうためだ。実際、二酸化炭素削減を(たとえば炭素税などによって)推進することの難しさは、どんな行動をとったとしても効果が出るのは何十年も先であり、しかもその効果が全世界に放散してしまうところにある。
2015年のパリ協定において、5年ごとに更新と修正を重ねることを約束した取り決めが交わされたのは有望な一歩だ。しかし会議中には注目を集めた問題も、世の中の関心が薄れてしまえば、ふたたび政治課題かこぼれおちる。要するに、政治家の受信箱や新聞雑誌にいつまでもその問題が出てこないと駄目なのである。
1960年代にスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシュルが行なった古典的な実験がある。彼は子供たちにある選択をさせた。1個のマシュマロを今すぐもらうか、15分持って2個のマシュマロをもらうかである。そして彼の結論によると、満足を遅らせることを選んだ子供たちのほうが成長してから大きな幸福と成功をつかんだという。これは今日の国家が直面しているジレンマを説明するのにふさわしい比喩だ。短期的な見返り――今すぐの満足――が優先されると、未来世代の幸福が危うくされてしまうのである。インフラ政策や環境政策を立案するときは、50年以上先のことまで視野に入れる必要がある。未来の世代を心配するなら、不動産開発業者がオフィスビルを建てようと同様の率で未来の利益(と不利益)を割り引くのは倫理的でない。そしてこの割引率は気候問題の政策議論に欠かせない重要な因子だ。
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世界経済の「脱炭素化」を防げている大きな要因は、再生可能エネルギーの生産費用がいまだ高すぎることだ。こうした「クリーン」テクノロジーがもっと早く進歩すれば、それだけ早く価格も下がるのだから、る発展途上国にも手が届くものになる。そうなれば、薪や糞を燃料とするストーブの煙で貧民層の健康が脅かされることもない。石炭を燃料とした火力発電所を建設する必要もなくなるだろう。
太陽は、全人類が必要とする量の5000倍のエネルギーを地球の表面に届けている。エネルギー需要が最も高まると予測されるアジアとアフリカには、とくに強く日光が当たっている。化石燃料と違って、太陽は大気汚染を発生させないし、採掘労働者を死なせたりもしない。核分裂と違って、放射性廃棄物を残すこともない。送電網が届いていないインドやアフリカの何千もの村では、すでに太陽エネルギーが競争力を得ている。しかし大半のところでは、やはり化石燃料に比べて価格が高いため、補助金や固定価格買取制度に頼らないかぎり採算が合わない。そして、こうした補助金にいつまでも頼れるわけでもない。
もし太陽を(あるいは風を)私たちの主要エネルギー資源にしようと思うなら、なんらかの方法でこのエネルギーを貯蔵できるようにしなくてはならない。そうすれば夜でも、あるいは風の吹いていない日中でも、エネルギーを供給できる。蓄電池の改良と大規模化には、すでに多大な投資がなされている。

2017年にはイーロン・マスク率いるソーラーシティ社が、オーストラリア南部に容量100メガワットのリチウムイオン蓄電池群を設置した。

エネルギーを貯蔵できるほかの手法としては、蓄熱、蓄電器、圧縮空気、溶融塩、揚水発電、水素などが考えられる。
電気自動車への移行は蓄電池技術に弾みをつけてきた(自動車のバッテリーに必要とされる条件は、重量と再充電速度の面で、家庭や「バッテリーファーム」で求められる条件よりずっと激しい)。長い距離にわたって効率よく電気を送るには、高圧直流の送電線が必要になるだろう。将来的には、大陸横断送電網ができることが望ましい。そうすれば太陽エネルギーを北アフリカやスペインから日照りの乏しい北ヨーロッパへ送れるし、北米大陸ユーラシア大陸の時差のあるところで東西を結び、各地のピーク需要を均(なら)すこともできるだろう。