じじぃの「歴史・思想_380_物語ベルギーの歴史・ルーベンス・フランダースの犬」

【3D】『フランダースの犬』 と ルーベンス 【美術】【絵画】【芸術】【アート】アントワープ聖母大聖堂☆ネロ☆パトラッシュ☆キリスト昇架☆キリスト降架☆聖母被昇天☆A Dog of Flanders☆

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=h8NTjoKScLA

ルーベンス 「キリスト昇架」

ルーベンス」とは?「フランダースの犬」との関係や代表作品も

2019.07.31 TRANS.Biz
●「ルーベンス」は主人公ネロが憧れた画家
日本においてルーベンスは、バロックの巨匠というより、アニメ「フランダースの犬」の主人公ネロが憧れた画家としての方が有名かもしれません。
フランダースの犬」は、イギリスの作家によって19世紀に書かれた児童文学で、ルーベンスの絵画を軸に貧しい少年ネロと犬のパトラッシュの友情を描いた悲劇です。昭和50年に同タイトルで日本のテレビアニメとして制作され、大人気となりました。
https://biz.trans-suite.jp/26757

『物語ベルギーの歴史 - ヨーロッパの十字路』

松尾秀哉/著 中公新書 2014年発行

【コラム】美術――画家にして外交官ルーベンス より

ベルギーでは、仮面をモチーフに、原色を用いた静物画や労働者の生活を独特の画風で描いたジェームス・アンソール(1860~1949)や、シュルレアリスムの代表的な画家と言われるポール・デルヴォー(1897~1994)、ルネ・マグリット(1898~1967)などが生まれたが、もっとも知られている画家はピーテル・パウルルーベンス(1577~1640)だろう。
ルーベンスはベルギー独立以前のドイツで生まれたが、父ヤン・ルーベンスと母マリアはアントワープ生まれ。だから「ルーベンス」はドイツ語の発音で、オランダ語では「リュベンス」となる。
父はスペイン領ネーデルランドで暮らすプロテスタントの信徒であった。スペイン統治下のネーデルランドで迫害され、ドイツへ逃亡した。その後に生まれたルーベンスは、父親の死(1587年)後、アントワープに戻る。
本文で述べたように、この時代は、宗教改革派の混乱の時代であり、オランダがスペインから独立しようとしていたときであった。ルーベンスオランダ独立戦争の激戦地であるアントワープカトリック信徒になり、聖像を禁じるプロテスタントに抵抗して宗教画を多く描いた。また人文主義教育のもとで多言語を修得した。
彼は1600年以降、スペイン王への贈答品を渡す公使の役割を担うこともあった。彼は、イザベラの宮廷画家として迎えられ、多言語を自由に扱う能力も認められて、絵を携えて政治的な外交交渉を担うことがあった。イザベラの庇護の下で個人の工房をもつことを許され、多くの弟子が育った。
もっとも著名な弟子はアンソニー・ヴァン・ダイク(1599~1641)である。この時期に描かれたのが、『フランダースの犬』で少年ネロが憧れた『キリスト昇架』(1610年)と『キリスト降架』(1614年)である。
その後、彼はパリさらにはスペインとネーデルランド、そしてイギリスに渡り絵を携えて和平交渉に寄与した。それが讃えられ、後に、スペイン、イギリスでナイトの称号を与えられている。
ベルギー(フランデレン)、アントワープの宗教的背景や地理的特徴が彼を多言語話者とし、特異な外交画家に育て上げたといえるだろう。