じじぃの「沈黙の習近平・バイデン政権誕生で米中関係・日中関係は?プライムニュース」

【BS】『バイデンで米中関係は沈黙の習近平に日本は宮家&朱&興梠が討論』2020年11月17日(火)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=P4g0SUpwyyE

プライムニュース 「バイデンで米中関係は 沈黙の習近平に日本は 宮家&朱&興梠が討論」

2020年11月17日 BSフジ
【キャスター】竹内友佳、反町理 【ゲスト】宮家邦彦(内閣官房参与 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)、朱建榮(東洋学園大学教授)、興梠一郎(神田外語大学教授)
米国でバイデン政権誕生が濃厚となりつつある中、米中関係を中心に、国際関係の今後を展望する。
大統領選で当選が確実となったバイデン前副大統領に各国首脳が祝意を示す中、“沈黙”を続けているのは中国だ。習近平政権は、現状をどのように受け止め、今後の対米戦略をどのように描いているのだろうか。
バイデン氏は10日に欧州首脳と相次いで協議したのを皮切りに、外交における政権移行の準備を加速させている。バイデン氏の外交姿勢をめぐっては、トランプ政権と異なり「対中協調重視」に傾くのではないかとの懸念も根強い。
こうした中、日本時間の12日に行われた菅首相との電話会談で、バイデン氏は沖縄県尖閣諸島について、日米安全保障条約5条の適用対象だと確約した。これに対し、中国外務省は「日米安保条約は冷戦の産物」などと批判している。
外交安全保障、中国研究の専門家とともに、バイデン政権が誕生することで米中対立に変化は生じるのか、今後の国際関係を見極めるためのポイントや日本のとるべき対応は?
●防衛協力を強化 日豪首脳会談
菅首相はオーストラリア・モリソン首相と首相官邸で会談。
菅首相はモリソン首相を肘タッチで出迎えた。
会談でモリソン首相は「ヨシ」「スコモ」と呼び合うよう提案し、「オーストラリアは日本と志を同じくするインド太平洋の2つの国だ」と強調。
両首脳は海洋進出を強める中国を念頭に「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向けた協力を確認。
自衛隊とオーストラリア軍の共同訓練を容易にする「円滑化協定」に大枠で合意。
菅首相は「日豪円滑化協定はインド太平洋地域の平和と安定に貢献するという日豪の意思を強固に支えるもの」と述べた。
共同記者発表の後、モリソン首相は来年の東京大会の成功を祈念し、菅首相に2000年のシドニー五輪の金銀銅メダルを贈った。
●「政権移行進める」米国大統領補佐官
米国・トランプ大統領が政権移行に向けた協力を拒み続ける中、大統領補佐官が新政権発足に向けて引き継ぎを進める考えを表明。
ホワイトハウス・オブライエン大統領補佐官は16日に内容が公開されたオンラインフォーラムで、「現時点でバイデンが明らかに勝利しているようだ」と指摘し、「政権移行の手続きを円滑に進める」と確約。
政権中枢からバイデンの勝利を認める声が出たことで、さらに苦しい立場に立たされたトランプ大統領だが、この日も「私が勝利した」とツイッターに投稿し、敗北を認めない姿勢を崩していない。
これに対し、バイデンは「これがトランプ流だ。彼のやり方は何も変わらない。連携しなければ、より多くの死者が出る可能性がある」と批判。
バイデンは「新型コロナウイルスのワクチンの配布計画の引き継ぎができないと供給に遅れが出る」と警告し、早期に政権移行手続きを始めるよう訴えた。
オブライエン大統領補佐官は「国家安全保障会議は強いプロ意識を持って政権移行に臨むのは疑いない」と述べた。
●“側近”が「政権移行」確約 トランプの敗北で決着?
米国・オブライエン大統領補佐官が新政権発足に向けて引き継ぎを進める考えを表明。
宮家邦彦、「オブライエン大統領補佐官が言ったことはあまり意味がないと思っている。オブライエンは国家安全保障担当の補佐官。彼は『もしバイデンが2020年の選挙の正式の勝者であると認定されるのであれば、自分たちのチームは政権移行をちゃんとやる』と言ったが当たり前のこと。米国の政権移行プロセスは1963年の政権移行法に基づいて行われる。GSA(一般サービス局)の長官が誰が勝ったか認定したうえで初めて始まる。今のマーフィー長官はトランプ大統領の政治任用だから、ずっと認定をしていない。トランプが負けたと言った時に、初めてマーフィー長官が『バイデンが勝った』と言って、法律に従った政権移行プロセスが始まる」
●「台湾は中国に含まれず」米国・ポンペオ発言の波紋
バイデンが大統領選の当選を確実にしたことを受け、先週金曜日、中国外務省報道官が初めて反応を示した。
中国外務省・汪文斌副報道局長は会見で「米国国民の選択を尊重する。バイデンと(副大統領就任が確実な)ハリスに祝意を表明する」と述べた。
12日のラジオ番組でポンペオ国務長官は「台湾が中国の一部でないとの米国の立場はレーガン政権時代から35年にもわたって続いている」と述べた。
興梠一郎、「中国はバイデン政権に移る2ヵ月間でトランプが何をやりだすかわからないと恐れている。中国のいろんな論評を見ていると『最後の狂気』という言葉がよく出てくる。トランプが最後に何をやるか分からないと。特に台湾で何かやらかすかもしれないというのがあって、トランプを刺激しないというのがある。ポンペオ国務長官が『台湾が中国の一部ではない』と言ったタイミング。中国外務省報道官の発言は『米国大統領選の結果が米国の法律と手続きに従って確定する』ということを言っている。まだ決まっていないという含みを残している」
●バイデン政権で米中関係は?
12日のラジオ番組でポンペオ国務長官は「台湾が中国の一部でないとの米国の立場はレーガン政権時代から35年にもわたって続いている」と述べた。
宮家邦彦、「1972年の米中共同コミュニケでは台湾が中国の一部だと言う中国の意見については聞き置いているだけで同意していない。日本は日中共同声明で『理解し尊重する』と言っている。それに比べて明らかに一歩進んでいる。トランプ政権の中の中国に厳しい人たちは、あともう2ヵ月しかないと。とにかくやれることは全部やろうと、既成事実化しようと。バイデン政権になっても元へ戻せないように、もしくは戻すのが大変なように既成事実をつくろうとしていることは事実だと思う」
●バイデン政権で台湾政策は?
米政府は10月21日、台湾に空対地ミサイル135発など総額18億ドル(約1900億円)の武器売却を承認し、議会に通知した。米台が軍事面で急接近をみせ、中国はいら立ちを募らせている。
10月26日に対艦ミサイルシステム最大100基(約2500億円)。
11月3日に軍用ドローン4機(約630億円)。
宮家邦彦、「トランプがまだ大統領であることは間違いないから、彼らがどんどん決めていくのを苦々しく見ていて、バイデンになったらどう巻き返すか考えるしかない」
朱建榮、「中国の報道官の発言から見て、中国は基本的にバイデン政権にほぼ決まったということで外交部報道官が発言した。トランプが最後に何をやるか分からない。現時点で必要以上に彼を刺激しない。中国はバイデン政権についての話は外交部報道官レベルでの発言にとどめている。ポンペオ国務長官の発言は歴史的に見てポツダム宣言から米国がサインしたものを台湾が中国に返還されると誰でも分かっている」
興梠一郎、「米国は対立によって自分が巻き込まれてとんでもない戦争に巻き込まれるのは一番嫌だというのが基本的なスタンス。例えば尖閣諸島にしても煮え切らない。台湾側が米国を最後まで頼りにできるかどうか。一線を越えて中国を刺激し過ぎると何をするか分からない」
米国の国内経済を立て直す時は、米中の経済戦争は早期収拾に舵を切るのか。
宮家邦彦、「私がバイデンなら、関税をただでゼロにすることはない。本丸は中国の経済システムそのもの。その部分で譲歩するなら考える」
朱建榮、「トランプ政権が去年中国との間に実際に今回の貿易の面での暫定合意だけでなくいろいろ約束を交わした。トランプのものをそのまま中国に戻るということはない。バイデンは当面国内の分裂など国内問題を重点的に行なうだろうからこれ以上中国と悪くはならないはずだ」
興梠一郎、「中国はよく研究している。中国は貿易の第一合意をバイデンは利用する、TPP(環太平洋経済連携協定)は難しい、台湾は均衡政策に戻ると予想している。台湾問題は戦略的なあいまいさを壊さないのではというのが中国の見方。国務長官が誰になるのかまだ決まっていない。バイデンの発言をみているとほとんど国内問題。オーストラリア、日本、韓国の首脳と電話会談をしたときの原文を見ると、コロナ、気候変動、経済回復。民主主義の強化は最後に出てきた。台湾問題にまで手が回らない」
日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用

日米安保条約第5条

「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」
先週菅総理は初めてバイデンと電話協議を行った。
日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用について、インド太平洋地域の平和と安定に向けて。
宮家邦彦、「米国がこの段階で言及するか心配だった。その意味ではよかった。尖閣に対する5条の適用は長い歴史がある。オバマ政権でようやく文書で共同声明の中に書き込み、トランプ政権に引き継がれた。本来バイデンが認めてもおかしくはない。しかし新しい大統領でどうメッセージを送るかは非常に大きかった。米国は国際協調と同盟国でやるのが当たり前。最初に確認だけはしておくということ。最初でこれだけやり取りができるということは、総理官邸から指示があり、大使館に連絡をして、これでいこうという話し合いができて初めてこの結果ができる。この条約は中国だけでなく北朝鮮、ロシア、台湾に対してもメッセージになっている」
興梠一郎、「中国の公船は以前と比べて大型化してきている。尖閣諸島を日本が常に自分の施政化に置いて実効支配していくんだと言っていかないと。問題は日本の漁船を中国の公船が領海内で追いかけ始めたこと。去年から始まったが、これは中国側が取り締まるという構図を作る狙いがある。日本人が尖閣で経済活動ができなくなる。今後は実効支配を目に見える形でやっていかないと第三者が見た時にわからなくなる」
●米中対立と「RCEP署名」 経済連携と安全保障
RCEP(東アジア地域包括的経済連携)は米国のバイデン次期政権からみると、どう見えるのか。
宮家邦彦、「米国にはRCEPは魅力のあるものではない。彼らは米国経済第一。TPPについては中国が政策変更しないと入れない。RCEPはみんなで会合があるなら顔を出す。それで良いのでは」
反町理、「中国はアジア初の経済連携を基盤に一帯一路とどう結びつけていくのか」
朱建榮、「RCEPはアジアにおけるサプライチェーンだ。日本は米国とのつながりと同時にRCEPを通してアジアとうまくやっていく。中国にとっても良いことだ」
反町理、「中国はRCEPを通して世界と自由で市場開放しているという宣伝に使うのではないか」
興梠一郎、「中国は多国間主義と自由貿易主義でやっているということを言っている。RCEPに米国はいないから言いたい放題だ。知的財産権など注意して見守る必要がある」

【提言】 「米中関係の行方と日本の対応の在り方」

宮家邦彦 「日米中 ‡ 正三角形」
 経済と政治で日米中は正三角形でない。中国をとるか米国をとるかの二者択一ではない。
朱建榮 「一喜一憂せず、長い視野」
 バイデン政権に一喜一憂せず、10年後アジアがどうなっているかを考えてほしい。
興梠一郎 「重層的な外交網」
  RCEPであれTPPであれ重層的に。イギリス、ドイツ、フランスなどはTPPに興味を持ち出してきている。中国を民主化の方向に向かわせる。
https://www.fnn.jp/subcategory/BS%E3%83%95%E3%82%B8LIVE%20%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9