じじぃの「科学夜話・水の秩序・水は生きているのかもしれない?水の神秘」

The Importance of Water as a Universal Solvent | Biology

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=E-M8JcYr2d4

Universal Water: The Ancient Wisdom and Scientific Theory of Water

West Marrin 2002
Water was once considered an anomalous substance indigenous to planet Earth, but science has recently discovered water everywhere: from the coldest depths of interstellar space to the nuclear infernos within stars.
This seems to validate ancient wisdom that maintained everything in creation is but a unique expression of this sacred liquid. Baffled by some of water's most recognizable features, science is only now beginning to give credence to such claims. In the twenty-first century, we face monumental decisions about water that will affect not only the future quality of our lives, but all species on our planet. The author insists that we need a broader context from which to act regarding our threatening water crisis. He offers a fascinating synthesis of ancient mythology and space-age water science to create a radically new perspective. Marrin asks us, Can we continue to treat water as a mere commodity?
https://books.google.co.jp/books/about/Universal_Water.html?id=sQFIMQAACAAJ&redir_esc=y

『水の神秘 科学を超えた不思議な世界』

ウェスト・マリン/著、戸田裕之/訳 河出書房新社 2006年発行

水の意識 より

(水を<生きている水>と定義した場合)手強い相手がいるとしたら、それは意識である。意識について書かれたものの量と、生きている実在物のなかでのその役割についての無数の見方を考えれば、この問題に首をつっこむのは、私にとって少しばかり無謀な試みである。それなのに、強いて意識という問題を取り上げる(答えを求めるつもりはないのだが)のは、多くの古代の人々の洞察と、その洞察の現代における復活が、意識があり直感をもつ実在物として水を描写しているからである。思い出してほしいのは、アニミズムの見方では、宇宙全体は生きていて、すべての形あるものの生命と知覚力を表わしているということである。この世界観に何らかの正統性があるとしたら、すべてのものが固有にもっている”生命と知覚力”を表現するにもっとも適切な言葉は何なのか? 意識という言葉だろうか?
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古代神話は水を生きている直感をもつ存在として描いているが、水は生物学的には生きている形態と呼ばれる条件を満たしておらず、したがって現代科学では、水は生きていると考えられていない。従来の考えにとらわれない生命の定義に従えば、水は生きているかもしれないし、そうでないかもしれない。水の直感に関する疑問には、一致した基準の答えはないようである。

膜 より

蛋白質は数え切れないほど多くの構造的機能をもっているが、重要な機能の1つが、膜である。このような膜は、生物学的に定義された生命が存在するために根本的に不可欠なものであり、生命単位とその環境の境界をなしている。膜はほとんど脂質と蛋白質でできている。脂質は脂肪ともいわれ、極があってイオン化している(親和性)グループと無極(疎水性)グループの両方を含んでいて、それらが自分の構造を変えたり、水を含むか閉め出すかするのを許している。
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膜には孔(あな)があるが、そのなかでもより興味深いものの1つが<水の通路>である。これは脂質の2層構造にはめ込まれ、特化した蛋白質でできた、浸透性の高い微小管である。この非常に狭い通路を通る水の能力は、その分子が互いにH結合することで高まるのではないだろうか。こういう水の通路は、比較的量の多い水が敏速に膜を通って移動することを要求する組織や器官、塩や糖のような溶質を素早く隠したり吸収したりすることを必要とする組織や器官のなかに、広く行き渡っているようである。水の通路は細胞内にもあり、細胞小器官のあいだや細胞内の通路に沿って水をめぐらせる機能をもっているらしい。なぜ器官や細胞小器官が短期間に大量の水を運ぶ能力を要求するのかは、現在のところ生物医学的にはわかっていない。

水の秩序 より

無定形(アモルファス)の氷を除いて、自然の水と、初期の水和殻を構成する水の分子の高度に構造化された配列は、”構造化された”と呼ばれる、予測可能で定義可能な幾何図形的な配列を作る。自由な液体の水と、無定形の固体の水を構成する分子のあまり構造化されていない配列は、”構造化されていない”水と定義される。すでに述べたとおり、”構造”という言葉は、3つ以上の水の分子間の空間的配置、つまり幾何図形的な配列をいい、”秩序”という言葉は、配列を構成する。水素結合したそれぞれの酸素原子のペア(たとえばO:H-O)の方向決定(自分の位置を確かめる)をいう。秩序内の変化はしばしば構造内の変化と関係があるが、秩序は構造だけからは予想できない。どうやら、水へのもっとも微妙な影響のいくつかは、必ずしもその構造を変えることなく、その方向決定の秩序に影響を与えるらしい。
本書の最終校正をしているとき、水の秩序とその変則的な物理特性のあいだの関係を探る研究書が出版された。水の秩序(方向を決定することと変わりやすいこと)の両方の基準を使ってコンピューターがモデリングした結果、物理的な変則性は、分子の秩序の程度と究極的に関係する、一種の序列を構成するという結果が出た。
構造的な変則性はもっとも幅の広い条件で出現し、動的な熱力学の変則性――徐々に範囲が狭まるにつれて出現する――がなぜ通常は構造的変化に帰するのかを説明する。水の動的で熱力学な変則性は、たとえば濃度や熱容量などの、その物理的特性に関連する。この研究を指揮したプリンストン大学の化学者たちによると、水の名高い変則的行為の根底にあるのは、構造ではなく、方向の秩序である。