じじぃの「歴史・思想_270_ハラリ・21 Lessons・宗教」

What Is The Ancient Japanese Religion Shinto?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LoQqxdAbRS0

Japan State Shinto

State Shinto Nightmares in Abe’s Japan

Japan Subculture Research Center
●Meiji Restoration and Imperialist Japan
The Meiji Restoration through the lens of Shinto is a bit different. Shinto developed through the Intellectual Schools of the late 19th century as a seed of national identity. The late 19th century Japanese clung to the idea of inherently divine genetics and purged the most of the foreign ideologies and religions-such as Buddhism-that had helped develop the country until then. They also sought out Western modernization and pushed the development of Japan from 1868 on to emulate the winning and powerful Western societies the Japanese saw destroying Asia and claiming its wealth. This included dissembling the shogunate and writing a constitution to rebuild the country with Western ideologies.
http://www.japansubculture.com/state-shinto-nightmares-in-abes-japan/

『21 Lessons』

ユヴァル・ノア・ハラリ/著 柴田裕之/訳 2019年発行

8 宗教――今や神は国家に仕える より

これまでのところ、現代のイデオロギーと科学の専門家や各国政府は、人類の将来について実行可能なビジョンを生み出しそこねている。そのようなビジョンは、人間の宗教伝統の深い井戸から汲み出せるだろうか? ひょっとしたら答えは、聖書やクルアーンコーラン)やヴェーダのページの中でずっと以前から私たちを待っていたのかもしれない。
非宗教的な人は、この考えに対しては嘲りや懸念といった反応を見せやすい。聖典は中世には意味があったかもしれないが、AIや生物工学、地球温暖化、サイバー戦争の時代に、どうして手引きになりうるだろうか? とはいえ、非宗教的な人は少数派だ。依然として何十億もの人が進化論よりもクルアーンや聖書を信じると公言している。宗教運動は、インド、トルコ、アメリカといった多様な国々の政治を左右する。そして、宗教な敵意がナイジェリアからフィリピンまで、多くの場所で対立を煽る。
では、キリスト教イスラム教やヒンドゥー教のような宗教は、どれほど当を得たものなのか? それらは私たちが直面する主要な問題の数々を解決する助けになりうるのか? 21世紀の世界で伝統的な宗教が果たす役割を理解するのは、3つの種類の問題を区別する必要がある。
1 技術の問題――たとえば、乾燥した国の農民が、地球温暖化が引き起こす深刻な旱魃(かんばつ)にどう対処するか?
2 政策の問題――たとえば、そもそも地球温暖化を防ぐために、政府はどんな対策を採用すべきか?
3 アイデンティティの問題――たとえば、そもそも私は地球の裏側の農民が抱える問題を気にかけるべきなのか? それとも、自分の部族や国の人々の問題だけを気にかけるべきなのか?
これから見ていくように、伝統的な宗教は技術と政策の問題にはおおむね無関係だ。それにたいして、アイデンティティの問題はおおいに関係がある。だが、伝統的な宗教はほとんどの場合、解決策の候補というよりもむしろ、問題の大きな要因となっている。
宗教は近代以前には、農業のような俗世の分野の多様な技術的問題を解決する責任を担っていた。神聖な暦によって種蒔きや収穫の時期が決まり、神殿の儀式で降水を確保し、害虫を防いだ。旱魃やイナゴの大発生で農薬の危機が迫ると、農民は聖職者を頼って、神にとりなしてもらった。医療も宗教の担当範囲に収まっていた。預言者や導師やシャーマンのほぼ全員が治療師も兼ねていた。たとえばイエス・キリストは、多くの時間を費やして病人を癒し、目の不自由な人が見えるようにし、口の利けない人が話せるようにし、精神の錯乱した人に正気を取り戻させた。古代のエジプトに暮らしていようと、中世のヨーロッパに暮らしていようと、病気になった人はおそらく医師ではなく呪術医の所に行き、病院ではなく名高い神殿に巡礼の旅をしたことだろう。
最近は、生物学者や外科医が聖職者や奇跡を起こす人の後を引き継いだ。
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近代以降の世界では伝統宗教が相変わらず力を持っており、重要であることを示す最適に例は、日本かもしれない。1853年にアメリカの艦隊が近代世界に対して日本の門戸を開かせた。それに応じて、日本は急激な近代化に乗り出し、大成功を収めた。数十年のうちに、科学と資本主義と最新の軍事テクノロジーに依存する強力な官僚国家となり、中国とロシアを打ち負かし、台湾と朝鮮を領土とし、最終的には真珠湾アメリカ艦隊を撃沈し、極東におけるヨーロッパ人による帝国主義的支配を覆した。とはいえ日本は、やみくもに壊死用の青写真をなぞったわけではない。日本は独自のアイデンティティを守り、近代の日本人を科学や近代性、あるいは、何らかの漠然としたグローバルなコミュニティではなく祖国に対して確実に忠実たらしめることを固く決意していた。
その目的を達成するために、日本は固有の宗教である神道を日本のアイデンティティの土台とした。実際には、日本という国は神道を徹底的に作り直した。伝統的を神道は、さまざまな神や霊や魔物を信じるアニミズムの信仰の寄せ集めで、どの村も、どの寺も、お気に入りの霊や地元の風習を持っていた。19世紀後期から20世紀初期にかけて、日本は神道の公式版を創り出し、地方の伝統を数多く廃止させた。
この「国家神道」を、日本のエリート層がヨーロッパの帝国主義から学んだ。国民や民族という非常に近代的な考え方と融合させた。そして、国家への忠誠を強化にするのに役立ちうるものなら、仏教や儒教封建制度の武士の気風のどんな要素も、そこに加えた。仕上げに、国家神道は至上の原理として天皇崇拝を神聖化した。天皇は太陽の女神である天照大神(あまてらすおおみかみ)の直系の子孫で、自身も現人神(あらびとかみ)であると考えられた。
一見すると、新旧のこの奇妙な組み合わせは、近代化の速習コースを受けようとしている国にしては、はなはだ不適切な選択に思えた。現人神? アミニズムの霊? 封建制度の気風? これは近代の工業大国というよりもむしろ新石器時代の族長支配のように聞こえる。
ところが、これが魔法のように効果を発揮した。日本人は息を呑むような速さで近代化すると同時に、国家に対する熱狂的な忠誠心を育んだ。神道国家の成功の象徴として最も有名なのは、日本が他の大国に先駆けて、精密誘導ミサイルを開発した事実だ。アメリカがスマート爆弾を実践配備するよりも何十年も前、そして、ナチスドイツがようやく初歩的な慣性誘導式のV2ロケットを配備し始めていた頃、日本は精密誘導ミサイルで連合国の艦船を何十隻を沈んだ。このミサイルは、「カミカゼ」として知られている。今日の精密誘導兵器はコンピュータが誘導するのに対して、カミカゼは爆弾を積んだ通常の飛行機で、片道の任務に進んで出撃する人間の搭乗員が操縦していた。このような任務に就く意欲は、国家神道に培われた、命知らずの自己犠牲精神の産物だった。このようにカミカゼは、最新のテクノロジーと最新の宗教的変化の組み合わせを拠り所としていたのだった。

知ってか知らずか、今日非常に多くの政府が日本の例に倣っている。現代の普遍的な手段や構造を採用する一方で、伝統的な宗教に頼って独自の国家としてのアイデンティティを維持している。

日本における国家神道の役割は、程度こそ違うものの、ロシアでは東方正教会キリスト教が、ポーランドではカトリック教が、イランではシーア派イスラム教が、サウジアラビアではワッハーブ派イスラム教が、イスラエルではユダヤ教が担っている。宗教はどれほど古めかしく見えたとしても、少しばかり想像力を働かせて解釈し直してやれば、いつでも最新テクノロジーを使った装置や最も高度な現代の機関と結びつけることができる。