じじぃの「津波のような勢いで広がる薬物依存症!アメリカを蝕むオピオイド危機」

DOPESICK by Beth Macy

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=V6SsFRJo9rY

What Is Dope Sick?

Dope Sick: What Does It Mean?

May 11, 2018  Ashley Addiction Treatment
●What Does Opiate Withdrawal Feel Like?
People who experience opiate withdrawal typically say that the symptoms are the worst thing on Earth. In fact, the effects are usually so bad that they continue to use drugs to avoid going through it at all. In general, however, people say that the symptoms are similar to having an extreme case of the flu.
https://www.ashleytreatment.org/dope-sick/

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』

ベス・メイシー/著、神保哲生/訳 光文社 2020年発行

ネット掲示板に託す思い より

ボストンやロアノークの地元記者たちは、オキシコンチンオピオイド系の鎮痛剤のひとつで、アヘンに含まれるアルカロイドのテバインから合成される半合成麻薬)が地域にもたらす被害の実態を徐々に報道し始めていたが、少なくとも2001年2月9日まで、その情報は全国には広がっていなかった。そうした中、ニューヨーク・タイムズ紙のバリー・メイヤーらによる、リー郡のすぐ北で、9ヵ月にわたり連邦政府が実地した「オキシフェスト作戦」と呼ばれる大規模な麻薬捜査に関する記事が、同紙の一面に掲載された。それはケンタッキー州史上、最大規模の麻薬捜査だった。
「この作戦でわれわれは207人のユーザーとディーラーを逮捕しましたが、まだ半分も捕まえられていません。この問題はそれだけ厄介なのです」と連邦検事の一人がメイヤーに語っている。
逮捕者の大半は、医師から不当に処方箋を得た患者だった。逮捕された医師たちは、忙しかったり杜撰だったり確信犯だったりと、理由は様々だったが、いずれもオキシコンチンを過剰に処方していた。
その年の夏頃には、オキシコンチンの乱用が、アパラチアを南から北に駆け上がるように、バージニア州の西部からメイン州の山林地帯まで広がり始めていた。この頃になってようやくこの問題が、東海岸の大都市だけでなく、アメリカの最南端や南西部にも伝わり始めていた。フロリダ州のデード郡やコネチカット州ブリッジポートでも、オキシコンチン絡みの犯罪がニュースの見出しを飾るようになっていた。オキシコンチンは全米のティーンエイジャーにとって、「薬パーティ」の必須アイテムになっていた。彼らの間では、帽子の中にいろいろな薬の錠剤を入れて、それを仲間内で回し飲みする「ファーミング」というゲームが流行っていた。
このような状況に対して、薬物の過剰摂取で子供を亡くした親たちが立ち上がった。彼らの全国的な運動は、エドビッシュという名の39歳のIT企業の社員から始まった。2001年2月、18歳の息子が画面蒼白の状態で木を失っているという緊急の連絡を娘から受けたビッシュは、職場からフィラデルフィアのワーキングクラスが住む住宅街にある自宅に勢いで戻った。
ビッシュが自宅に到着すると、前庭に2人の救急隊員が座っていた。彼の息子エディは高校3年生のサッカーの選手で、学校の成績もよく、高校卒豪後は、地元の調理師の学校に入る予定だった。エディから最近体調が悪いという話は聞いていたが、まさか自分の息子がオピオイド依存症になっていようとは、ビッシュには思いもよらないことだった。ビッシュはエディが酒を飲んだり、マリファナくらいはやっているかもしれないと思ったが、薬までやっているとは考えていなかった。6日後には休暇を取り、息子と2人でフロリダに釣りに行く計画まで立てていた。
悲報を聞いて、エディの友人たちが家に集まってきたが、ビッシュは救急隊員は口にした薬の名前がまだよくわからなかった。
「オキシ……何ていいましたっけ。何なんですか、それは?」

正しいのはどっちか より

39歳のロニー・ジョーンズは、当初は警戒する様子を見せていたが、面会の間中、紳士的かつ礼儀正しく私に接してくれた。彼は刑務所で過ごした2年間、体を鍛えたり、アラビア語スワヒリ語を学んだり、ガイ・ジョンソンやエリック・ジュローム・ディゥtキー、マヤ・アレジェロウなどの著書を読みながら過ごしたと言う。彼は刑務所に向かう車中で、ミッシェル・アレクサンダーの著書『ニュー・ジム・クロー』をオーディオブックで聴いてきたことを彼に伝えた。その本は麻薬戦争で大量の黒人が刑務所に収監されている状況を、奴隷制時代の人種統制システムになぞらえていた。
「『ニュー・ジム・クロー』は私も2回読みました」とジョーンズは言った。彼は、弁護士のブライアン・スティーブンソンが書いた『黒い司法 黒人死刑大国アメリカの免罪と闘う』も読んでいた。これは刑事司法制度に内在する人種的バイアスと経済的不平等を検証した名作で、免罪の死刑囚の支援も目的としていた。
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これがジョーンズにとっては3度目の服役だった。彼はアメリカでは黒人男性の3人に1人が刑務所に収監されていることを知っていた。また、黒人は出所しても前科者として二級市民の烙印を押され、まともな職に就くことができないため、何度も刑務所と外の世界を言ったり来たりする運命にあることを理解していた。彼はまた、受刑者の約半分を占める薬物事犯者の再犯率が75%に達することも知っていた。そもそも彼自身が、その代表例だった。
「逮捕するだけでは麻薬問題は解決できない!」
これまで私は警察や公衆衛生の関係者から、耳にたこができるほど繰り返しこの台詞を訊かれてきた。しかし台詞は実際には、離脱症状から逃れるために麻薬を取引したり窃盗を犯したりする白人のオピオイドユーザーを想定したもので、ジョーンズのような武装麻薬取引で逮捕された人々や、麻薬取引の罪で逮捕された有色人種を対象としたものではなかった。統計的には有色人種のほうが、麻薬を使用したり麻薬取引に関与する可能性が低いにもかかわらずだ。(麻薬犯罪で連邦法に違反した者の4分の3が黒人またはヒスパニックが占め、州レベルでも57%を有色人種が占めている。)
ところで、なぜ黒人はオピオイド依存症にならなかったのだろうか。

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どうでもいい、じじぃの日記。
『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』という本によれば、現在アメリカでは約400万人のオピオイド依存症者がおり、毎年オピオイドの過剰摂取により5万人が亡くなっているのだそうだ。
緩和ケアで一般的に使われるモルヒネは代表的なオピオイド鎮痛薬だ。
未来学者のレイ・カーツワイル博士は、「2029年にAIが人間並みの知能を備え、2045年までには人間と人工知能の能力が逆転する(シンギュラリティ)」という説を唱えた。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大し世界中で深刻化しつつある中、シンギュラリティが加速しているようにも見える。
アメリカで、白人の労働者階級の若者の間で津波(本から)のような勢いで広がる薬物依存症。
「ところで、なぜ黒人はオピオイド依存症にならなかったのだろうか」
人種間で薬物依存症に差があるのだろうか。