じじぃの「電子顕微鏡の達人・細胞が魅せる造形美・神業に近い!サイエンスZERO」

サイエンスZERO 「細胞の息吹をとらえろ!“電子顕微鏡の達人”甲賀大輔」 シリーズ「科学の達人」。予告

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=L2ZmFEfL_TM

甲賀大輔 細胞が魅せる造形美

ゴルジ染色

連続切片SEM

SI NEWS:日立ハイテク
●どうして連続切片SEM法なのか?

オスミウム浸軟法は、今から30年前ほど前に鳥取大学田中敬一教授のグループにより開発されたイメージング技法で、SEMにより細胞小器官の観察ができる魅力的な手法である。

私たちはこれまで、この手法を用いて細胞内微細構造の3D構造解析を行ってきた(図6A)。しかしながら、オスミウム浸軟法では、細胞の割断面を観察するため、ミトコンドリアのクリステや粗面小胞体上のリボソーム、ゴルジ槽の微細構造観察には有効であったが、細胞質内の広い領域を占めるゴルジ装置や小胞体の全体像を解析することは困難であった(図6B)。
この問題を解決するため、連続切片SEM法の必要性を強く感じた。私たちは身近に、FIB/SEMやSBF/SEMを使用できる環境になかったため、この連続切片SEM法を独自に開発することを考えた。約1年の間、試行錯誤を重ねることで、何とか連続切片法を習得することができた。その結果、オスミウム浸軟法では断片的にしか観察することができなかったゴルジ装置の全体像を電顕レベルで解析することが可能となった。
https://www.hitachi-hightech.com/jp/sinews/reports/5008/

サイエンスZERO 「細胞の息吹をとらえろ!“電子顕微鏡の達人”甲賀大輔」

2020年6月7日 NHK Eテレ
【司会】小島瑠璃子、森田洋平 【語り】川野剛稔 【ゲスト】甲賀大輔(旭川医科大学准教授)
オンリーワンの科学者たちの“技とこだわり”に迫るシリーズ「科学の達人」。
電子顕微鏡の達人・甲賀大輔さんが登場。体内に広がるミクロの世界、細胞の姿を鮮明に捉えた甲賀さんの画像は、まるでアート作品のよう。どうやって撮影するのか?
達人の仕事場に潜入すると、世界でもほとんど使い手がいないという技の秘密が明らかに。スタジオトークでは職人気質のこだわりがあふれ出る。道をきわめようとする科学者の信念が、熱い!
たわわに実った果実の写真?
不思議な色と形 松ぼっくり
こちらは水中のイソギンチャクでしょうか?
いえいえ、これらの写真、電子顕微鏡で撮影された体内の細胞たちの姿なのです。
鮮明な画像に第一線の研究者たちも、
解剖学者、「(細胞は)実は立体的にはこうなっているんだ。びっくりした」
臨床医、「神業に近い」
専門家たちを唸らせる画像の数々を生み出したのが、顕微解剖学者 甲賀大輔さんです。
https://www4.nhk.or.jp/zero/x/2020-06-07/31/20376/2136743/

『バイオサイコロジー―脳 心と行動の神経科学』

ピネル/著、佐藤敬・若林孝一・泉井亮・飛鳥井望/訳 西村書店 2005年発行

神経解剖の方法と方向づけ より

ニューロンを可視化する際に最も大きな問題点は、ニューロンが小さいことにあるのではない。主要な問題点はニューロンが密に存在し、その軸索や樹状突起が複雑に入り組んでいるために、適切な処理なしでは顕微鏡ではほとんど何も見えないということである。神経解剖学的研究において鍵となるのは種々の方法で神経組織を処理することで、各々の方法は神経構造のさまざまな側面を明らかにし、各々の資料によって得られた知識を統合することができる。この点は以下に示す種々の神経解剖学的研究において明らかである。

黎明期の神経科学にもたらされた最大の恩恵は1870年代初頭のイタリアの医師Camillo Golgiによるゴルジ染色Golgi stainの偶然の発見である。Golgiは神経組織のブロックを重クロム酸カリウムと硝酸銀で処理することにより髄膜を染めようとしたのであるが、その時に驚くべきことが起こった。何らかの未知の理由により、Golgiが用いていた2つの物質の化学反応により生じたクロム酸銀が切片内の数個のニューロンに浸み込んでゆき、そのニューロン全体を黒く染めたのである。

その発見は、シルエットではあるが個々のニューロンの観察を初めて可能にした(画像参照)。しかしながら、切片上のすべてのニューロンを染める染色法では、ニューロンの構造はわからない。なぜなら、ニューロンはきわめて密に集合しているからである。
ゴルジ染色は染色された少数のニューロンの輪郭を見ることを可能にしたが、ある領域にどの程度の数のニューロンが存在するか、ニューロンの内部構造がどうなっているのか、については何も示さない。これらの欠点を克服した最初の神経系の染色は、ドイツの精神科医Franz Nisslによって1880年代に開発されたニッスル染色Nissl stainであった。