じじぃの「科学・芸術_637_脳内の免疫機能・ミクログリア」

脳で免疫の役割ミクログリア 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=jlyV3NbTI3Q
 Glial Cells

慢性炎症 が パーキンソン病 の病態を増悪させる. 2017.05.10 Baby Brain I
パーキンソン病で亡くなった方の脳を見る機会が多いです。
脳を顕微鏡で見ると細胞が活性化しています。
良く知られたサイトカインはインターロイキン1(IL1)、インターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子Tumor Necrosis Factor(TNFα)などです。
パーキンソン病患者さんの血清でもこれらの炎症性サイトカインが増えています。
グリア細胞はさらに3種類の細胞に分けられます。
なかでもミクログリアと呼ばれるグリア細胞が炎症を引き起こすLPSにもっともよく反応します。
http://all-natural-sweet.com/2017/05/10/chronic-inflammation-causes-pd/
『もうひとつの脳 ニューロンを支配する陰の主役「グリア細胞」』 R・ダグラス・フィールズ/著、小松佳代子/訳 ブルーバックス 2018年発行
心を治す――神経系の損傷と病気を回復させるグリア より
ミクログリアとアストロサイトの2種類のグリアはともに、脳に感染する細菌やウイルスの警戒にあたる見張り役を務めている。病原体が検知されると、これら2種類のグリアは細胞部隊を結成して、侵入してきた微生物との闘いに乗り出す。病原体を探し出して呑み込んだり、有毒な化学物質を放出したりして、脳から病原体を取り除く。この用心深い細胞の歩哨部隊による闘いは、脳の正常な機能と生存に欠かせないが、最近のミクログリアに関する研究からは、この風変わりな脳細胞に意外な役割が数多くあることがわかってきている。たとえば、慢性疼痛は、神経損傷が治癒したあとも長く続くことが多く、治療はきわめて難しい。ところが、慢性疼痛の治療に多くの薬物療法が有効でないのは、痛みの発生や薬物依存性にグリアが果たしている役割を、科学者たちが正しく理解できていなかったためであることが、現在では明らかになりつつある。ニューロンに働きかける鎮痛薬では、問題の一部にしか対処できない。科学者たちは、「もうひとつの脳」を見逃しているのだ。
パーキンソン病から麻痺にいたる幅広い神経疾患の治療に、幹細胞が極めて有望であることは広く認知されているが、ここでもグリアが主役に躍り出ている。成熟ニューロン細胞分裂ができず、障害や病気により損傷すると、原則として、取り換えが利かない。これとは対照的に、グリアは脳の障害に応答して、細胞分裂を開始し、損傷部位へ移動していける。グリアはそこで、傷を治し、病気から脳を守り、ニューロンが健康を取り戻せるよう看病する。また、損傷を受けた神経線維の再伸長を誘導して、ニューロン間やニューロンと筋肉の間の間の適正なコミュニケーションを回復させてもいる。また、最近の研究は、未成熟なグリアに幹細胞のような働きができることや、成熟したアストロサイトが、成人脳では休眠状態にある幹細胞を刺激して、代替のニューロンやグリアへと分化させられることを明らかにしている。脳の疾患による苦痛の緩和に関して、胚性幹細胞研究が持ちうる将来性は過小評価できないが、倫理面での問題点が議論を呼んでいる。病気によって失われたニューロンの代替になる能力を備えた未成熟なグリアは、脳の全域に潜在している。自然からすでに授けられているこのグリア性「幹細胞」をうまく操作できれば、この新事実は、将来の治療にとってきわめて有望だ。