じじぃの「歴史・思想_214_シンギュラリティ・人間と機械の融合」

The Rise of AI

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Dk7h22mRYHQ

What is Technological Singularity?: National Geographic
November 23, 2019 New World : Artificial Intelligence
Jason Silva explains the concept of technological singularity and how artificial intelligence is nothing to be afraid of.
https://www.newworldai.com/what-is-technological-singularity/

楽天ブックス:シンギュラリティは近い 人類が生命を超越するとき

レイ・カーツワイル(著)
【目次】
第1章 6つのエポック
https://books.rakuten.co.jp/rb/14117597/

『シンギュラリティは近い[エッセンス版] 』

レイ・カーツワイル/著 NHK出版/編 2016年発行

6つのエポック より

進化とは、増大する秩序のパターンを作りだすプロセスのことだ。本節では、パターンという概念に注目したい。パターンが生まれ進化してきたからこそ、この世界の究極的な物語ができあがったのだと、わたしは考えている。進化は間接的に作用する。つまり、それぞれの段階、すなわちエポックでは、その前のエポックで作られた情報処理手法を用いて、次なるエポックを生み出す。以下に、生物およびテクノロジーの進化の歴史を、6つのエポックに分けて概念化した。あとでくわしく見ていくが、シンギュラリティはエポック5ではじまり、エポック6において、地球から宇宙全体へと広がっていく。

エポック1 物理と化学

われわれの起源をさかのぼると、情報が基本的な構造で表されている状態に行き着く。物質とエネルギーのパターンがそうだ。

エポック2 生命とDNA

数十億年前、第2のエポックが始まった。炭素ベースの化合物はますます複雑化し、分子の複雑な集合体が、自己複製機構を形成すりまでになり、生命が誕生した。

エポック3 脳

それぞれのエポックでは、パラダイムシフトによって情報を進化させ、さらに高い「間接的」な進化(つまり、ひとつのエポックで得た成果を用いて、次のエポックを生み出す進化)の水準へと到達する。たとえば、エポック3では、DNA主導の進化によって、自身の感覚器官を使って情報を検知し、自身の脳と神経系に情報を蓄えることのできる有機体が作りだされた。

エポック4 テクノロジー

理性的で抽象的な思考という授かり物と、他の指と向かい合わせになった親指(母指対向性)とを組み合わせ、人類は、第4のエポックに分け入り、間接的な進化の次の水準に到達した。すなわち、テクノロジーが人間の手で作られた。まずは、単純な機械に始まり、精密な自動装置へと発展した。ついには、複雑な計算通信装置ができ、テクノロジー自体が、情報の精巧なパターンを感知し、保存、評価することができるようになった。生物の知能進化率と、テクノロジーの進化率を比較すると、もっとも進んだ哺乳類では、10万年ごとに脳の容量を約16ミリリットル(1立方インチ)増やしてきたのに対し、コンピュータの計算能力は、今現在、毎年おおよそ2倍になっている。もちろん、脳の大きさやコンピュータの計算能力だけで知能を比較することはできないが、これらは確かに進化を可能にする要因である。

エポック5 人間のテクノロジーと人間の知能が融合する

これから数十年先、第5のエポックにおいてシンギュラリティが始まる。人間の脳に蓄積された大量の知識と、人間が作りだしたテクノロジーがもついっそう優れた能力と、その進化速度、知識を共有する力とが融合して、そこに到達するのだ。エポック5では、100兆の極端に遅い結合(シナプス)しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明によって超越することができる。
シンギュラリティに至れば、人類が長年悩まされてきた問題が解決され、創造力は格段に高まる。進化が授けてくれた知能は損なわれることなくさらに強化され、生物進化では避けられない根本的な限界を乗り越えることになる。しかし、シンギュラリティにおいては、破壊的な性向にまかせて行動する力も増幅されてしまう。シンギュラリティにはさまざまな面があるのだ。

エポック6 宇宙が覚醒する

シンギュラリティの到来後、人間の脳という生物学的な起源をもつ知能と、人間が発明したテクノロジーという起源をもつ知能が、宇宙の中にある物質とエネルギーに飽和するようになる。知能は、物質とエネルギーを再構成し、コンピューティングの最適なレベルを実現し、地球という起源を離れ宇宙へ、外へと向かうことで、この段階に到達する。
今のところ、光速が、情報伝達の限界を定める要因とされている。この制限を回避することは、確かにあまり現実的ではないが、なんらかの方法で乗り越えることができるかもしれないと思われる手がかりはある。もしもわずかでも光速の限界から逃れることができれば、ついには、超光速の能力を駆使できるようになるだろう。われわれの文明が、宇宙のすみずみにまで創造性と知能を浸透させることが、早くできるか、それともゆっくりとしかできないかは、光速の制限がどれだけゆるぎないものかどうかにかかぅている。とにかく、宇宙の「もの言わぬ」物質とメカニズムは、このうえなくすばらしい知能体へと変容し、情報パターンの進化におけるエポック6を構成する。
これが、シンギュラリティと宇宙が、最終的に迎える運命なのだ。