じじぃの「鴨居玲・神の振るサイコロか量子のゆらぎか?極悪鳥になる夢を見る」

鴨居玲作 「サイコロ」

『極悪鳥になる夢を見る』

貴志祐介/著 文春文庫 2017年発行

鴨居玲《サイコロ》 より

モノクロの画面ではわからないのが残念だが、画面左下の机は赤色で、全体の沈んだ色調のなかでははっとさせる対比をなしている。机の上のカップにはサイコロが入っており、右側の3人は、固唾(かたず)を呑んで出目を持っているところだろう。それにしては、なぜ、彼らの表情は暗く打ちのめされ、恐怖に歪んでいるのか。
それは、カップの中にあるものが、人智を超えた「運命」であるからに違いない。賽(さい)の目は昔から、どうにもならないことの例えに使われてきた。この世の森羅万象は、神の振るサイコロか量子のゆらぎによって決まり、我々はただ驚愕し、立ち竦(すく)むよりないのだ。
《静止した刻(とき)》以降、作者は類似したモチーフの作品を数多く描いているが、緊張感漂う本作が白眉であると思う。
鴨居玲(かもいれい)は、まるで視線恐怖症のように、人間のまなざしというものを描かない。画中の人物は、塗り潰され、単なる陰影に貶(おとし)められた目で、必死に見ようとする。自らの運命を。明日、現世(うつしよ)に何が起きるのかを。だが、結局、何ひとつ見極めることはできないのだろう。

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どうでもいい、じじぃの日記。
テーブルの上のカップの中には、サイコロが入っているのでしょうか。
それを恐怖に震えながら見つめる3人の男たち。
一体、何が飛び出すのでしょうか。新型コロナウイルスでしょうか。