じじぃの「歴史・思想_209_人類と病・SARS・MERSコロナウイルス」

Five things you need to know about MERS

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=m0R4LvLI17k

MERS拡大 (2015年)

MERS拡大、感染力や致死率は 中東発、死者458人

2015年6月18日 朝日新聞デジタル
MERSのウイルスは、2003年に世界で流行した重症急性呼吸器症候群SARS)と同じコロナウイルスの仲間の新種で、12年にサウジアラビアで患者が確認された。
世界保健機関(WHO)によると、16日現在、中東や韓国を中心に世界25ヵ国で1293人の感染が確認され、458人が死亡した。
家畜のヒトコブラクダから患者と同じウイルスが見つかっており、鼻水やつばなどを通じて人間に感染するとみられている。野生のコウモリからも同じウイルスが見つかったとの報告もある。
https://www.asahi.com/articles/ASH6J7DFYH6JULBJ01Y.html

重症急性呼吸器症候群

ウィキペディアWikipedia) より
重症急性呼吸器症候群(Severe acute respiratory syndrome; SARS〈サーズ〉)は、SARSコロナウイルス (SARS-CoV) によって引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患である。
動物起源の人獣共通感染症と考えられている。ウイルス特定までは、その症状などから、新型肺炎、非定型肺炎(Atypical Pneumonia)などの呼称が用いられた。
2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部を中心に起きたアウトブレイクでは、広東省や香港を中心に8,096人が感染し、37ヵ国で774人が死亡した(致命率9.6%)[WHO発表](なお、世界30ヵ国8,422人が感染、916人が死亡(致命率11%)とする報告もある)。このアウトブレイク終息後は、封じ込め宣言後いくつかの散発例があったが、現在に至るまで、新規感染報告例は無い。

中東呼吸器症候群

ウィキペディアWikipedia) より
中東呼吸器症候群(Middle East respiratory syndrome; MERS〈マーズ〉)は、MERSコロナウイルス (MERS-CoV) により引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患。2012年に中東へ渡航歴のある症例から発見された新種のコロナウイルスによる感染症であり、イギリス・ロンドンで発見された。
日本では2014年7月16日に政令により指定感染症に指定された。2015年1月には二類感染症に指定され、全ての医師に対して、全ての患者の発生について保健所への届出が義務付けられた。
2015年には韓国でのアウトブレイクが発生したことから世界保健機関(WHO)は「緊急の注意を喚起する警告」を発した(緊急事態とはみなさなかった)。
2012年9月 - 2019年現在流行中。2019年11月までに確定患者は2494人、死者858人にのぼった。

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楽天ブックス:人類と病 - 国際政治から見る感染症と健康格差 (中公新書 2590)

詫摩佳代(著)
【目次】
第3章 新たな脅威と国際協力の変容――エイズから新型コロナウイルスまで 107
2 アジアを震撼させたサーズ 128
  謎の新興ウイルス感染症
  対応の光と影
  国際保健規則の改定
https://books.rakuten.co.jp/rb/16258112/

『人類と病』

詫摩佳代/著 中公新書 2020年発行

新たな脅威と国際協力の変容――エイズから新型コロナウイルスまで より

前章で見たマラリア天然痘のように、長く、継続的に人類の課題であった感染症もあれば、近年新たに脅威として加わった感染症もある。21世紀の社会において、エボラ出血熱新型コロナウイルスの流行に人類が右往左往、苦悩する姿は、数世紀前となんら変わっていない。他方、その苦悩の内容は変化してきた。科学技術の発展により、病原菌が解明され、有効なワクチンや治療法が開発されてきた。感染症がどのようにして感染するのか、そのメカニズムも科学的に解明されてきた。有効なワクチンや治療法が見つかっていない感染症も多く存在するが、研究・開発は着実に進展している。
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本章では、近年新たに人類社会の脅威として確かな存在感を発揮してきたエイズ、サーズ(SARS)、エボラ出血熱新型コロナウイルスに焦点を当ててそれらが感染症と人類との闘いにどのような変化を付け加えたのかを見ていきたい。これらの新しい感染症は、既存の国際保健枠組みの限界を人類に認識させる契機ともなった。エイズは従来の感染症とは異なり、有効なワクチンがまだ開発されておらず、予防には個人の行動やプライバシーに深く立ち入る必要がある。また、予防と治療には莫大な資金が必要であり、様々な対応枠組みが形成されてきた。

謎の新興ウイルス感染症

2002年末から2003年初頭にかけて、中国南部で謎の感染症が流行した。多くの患者にインフルエンザのような急激な発熱とそれに続く筋肉痛が見られ、肺炎を起こすものも多かった。肺炎だと疑われつつも、典型的な肺炎(様々な病原体を原因として肺に炎症を起こし、病変が肺全体に急速に広がるが、ペニシリンによって治癒される)とは異なり、病変が限定的で、しかもペニシリンを投与しても治癒しないという特徴が見られた。
2003年3月には香港、上海、ハノイシンガポールでも同様の流行が見られ、単なる非定型型肺炎ではない、何か新しい感染症の流行と疑われるようになった。同月、WHOは原因不明の重症急性呼吸器症候群としてサーズ(Severe acute respiratory syndrome:SARS)と名づけ、「世界規模の健康上の脅威」だとして、広東省・香港への渡航自粛勧告を発表、感染症の詳細が明らかではないため、患者の隔離を勧告した。翌月、日本の厚生労働省はサービスを感染症法の規定する「新感染症」に定め、さらに5月には厚生労働省はサーズの患者が発見された場合には、感染の拡大を防ぐために入院勧告など強制措置を講じることを決定した。2003年7月5日にWHOがサーズの流行終息宣言を行うまでに、約8000人が感染し、約800人が死に至った。
流行は世界に拡がり、グローバル化した国際社会における感染症の威力を世界に印象付けた。WHOは感染が広がっているカナダを中国の一部の都市を対象に、感染拡大防止を目的として渡航自粛勧告(渡航延期勧告)を出したが、結局、あまり効果的ではなく、それでいてカナダや中国の経済に多大な損害をもたらした。また投資も大きく冷え込み、世界経済にも打撃を与えた。