じじぃの「歴史・思想_181_地球に住めなくなる日・中国の二酸化炭素排出量」

Top 20 Country Carbon Dioxide (CO2) Emission History (1960-2017)

動画 ted.com
https://www.youtube.com/watch?v=AL5Hjg30b_M

COP25: A new carbon market offers hope for Asia's forests

DECEMBER 11, 2019 Nikkei Asian Review
On a broader scale, though, what has changed is that nothing has changed. Continued inaction on carbon emissions is pushing the planet ever closer to crisis, say multiple high-level organizations, and has made mitigating the worst effects of climate change considerably more costly. The planet is already halfway to the 2 C threshold -- anything above which scientists predict catastrophic impacts -- while emissions have continued to rise at an average of 1.5% per year this decade.
https://asia.nikkei.com/Spotlight/Cover-Story/COP25-A-new-carbon-market-offers-hope-for-Asia-s-forests

『地球に住めなくなる日』

「気候崩壊」の避けられない真実[著] デイビッド・ウォレス・ウェルズ [訳] 藤井 留美 NHK出版
知られざる「戦慄の未来」を明らかに。話題騒然の警告の書。
平均気温が4℃上昇した世界はどうなるのか?
現状の二酸化炭素排出ペースが続けば、今世紀末までに平均気温が4℃上昇するという予測が現実味を帯びてきます。4℃の上昇で、下記のことが起こります。
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000818132020.html

『地球に住めなくなる日』

デイビッド・ウォレス・ウェルズ/著、藤井留美/訳 NHK出版 2020年発行

第3部 気候変動の見えない脅威

政治の弱体化 より

2018年4月14日、土曜日。もうすぐ夜が明けようというころ、60歳の男性がブルックリンのプロスペクト公園にやってきて頭からガソリンをかぶり、火をつけた。焼死体を囲むように地面の草も丸く焦げ、かたわらに手書きのメモがあった。「私はディビッド・バッケル。抗議の焼身自殺をしました。ご迷惑をおかけします」。だが、迷惑どころか、彼は火が燃えひろがらないよう、まわりに盛り土までしていた。
バッケルはタイプライターで打った長文の手紙を新聞社に送っていた。「地球上の人間は化石燃料が汚した不健康な空気を吸い、そのせいで早死にしている――私が化石燃料で早死にするのは、人間が自らにやっていることへの象徴だ。我々の現在は絶望の度合いがいっそう増し、未来はこれまでやってきた以上のことが求められる」

中国が今後のカギを握る

何十年も前から中国の台頭は幾度も予言されてきたが、欧米、とくにアメリカはそれを根拠のある予測とは受けとめず、「オオカミが来た」のようなものと高をくくってきた。だが気候変動に関して、ほぼすべてのカードを持っているのは中国だ。世界全体が持続し、繁栄していくうえで気候の安定が必要だとすれば、発展途上諸国の二酸化炭素排出量が今後どのような曲線を描くかが運命を決める。欧米はすでに排出量が落ちついていて、今後は減少に転じると思われるからだ――いつまでに、どれほど急激に落ちるかはわからないが。

また中国の排出量のかなりの部分は、欧米人向け消費財の製造に由来している。いわゆる「カーボン・アウトソーシング」だ。そうだとすれば、何ギガトンもの二酸化炭素の責任はどこにあるのか。

パリ協定が本来の意図どおり、二酸化炭素を厳しく取りしまり、場合によっては軍事力も行使する体制を確立するならば、そう遠くない将来、この疑問は言葉のあやでなくなる。
中国はどうやって、またいつまでに工業経済から脱工業化経済に移行するのか。存続する工業をいかに「グリーン化」していくのか。農業や食生活をどうつくりかえるのか。爆発的に増えている中間層や富裕層の消費傾向を、どうやって炭素集約度の低いものへと方向転換させるのか。いずれも21世紀の気候を決定する重要な要素だ。もちろんインドや南アジアの残りの地域、ナイジェリア、サハラ以南地域の動向も状況を大きく左右するが、やはり国としての規模は中国がずばぬけて大きく、いまのところ最も豊かで力もある。中国は現代のシルクロードとも呼べる一帯一路構想を掲げて、発展途上地域における工業、エネルギー、輸送の唯一最大の供給元になろうとしている。経済も人口も世界最大級の国である以上、エネルギー消費でも人道面でもそれなりの責任があるはず。中国に続けとばかりに発展を急ぐ国々に対しても、気候政策で影響力を行使するのが当然だろう。
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中国だけでなく、ソマリア南スーダンもこの10年間火種をくすぶらせている。世界が安定しているように見えたのは、ロサンゼルスやロンドンからちらりと眺めるだけだったからだろう。「世界秩序」はつくり話というか、願望のようなものだ。リベラルな国際協調主義やグローバリゼーション、アメリカの覇権のおかげで、少しずつ実現に近づいてきたが、次世紀の気候変動でその流れは逆転するにちがいない。