じじぃの「科学・芸術_986_中国でいま何が・4大国家級プラン」

上海自由貿易試験区「企業の撤退で抜け殻に」|新唐人|中国情報| 中国経済

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https://www.youtube.com/watch?v=pfQ1Q5VehfU

上海の浦東新区だけじゃない。今後のAI産業の鍵を握る「雄安新区」を含めた、中国にある「国家級新区」

7月 16, 2019
https://www.multilingirl.com/2019/07/new-areas-in-china.html

『中国でいま何が起きているのか』

邱海涛/著 徳間書店 2019年発行

積年の矛盾が噴き出す国内問題 より

それでも中国が崩壊しない理由

いずれ中国も、ベネズエラのような国庫崩壊状態になるのだろうか。日本でもそのように予測する指揮者がいるが、筆者はそうならないと思う。その理由は以下のとおりだ。
①中国では各地方の格差が大きい。公務員の給料が出ないほど財政が逼迫(ひっぱく)しているところもあれば、まるで外国の都市にいると錯覚させるほど豊かなところもある。だから、1ヵ所がだめになったにしても、すぐに全体が崩れてしまうわけではない。
そのうえ、経済発展に必要な工業生産システム(探鉱、精製から加工、製品までの完全なプロセス)は健在しており、戦争によって破壊されて麻痺状態になったわけではない。
社会福祉や国民の自由度が低いなど、社会統治のコストが低い。公安の安定維持費が高いという説があるが、高額な社会福祉予算を組むことに比べれば低い。
③外貨準備高が十分にある。中国の外貨準備高の額については疑問視されることも多いが、とくに破綻は見えていない。アメリカからの輸入は増えているし、都市住宅の外貨両替の額はいままでどおり年間5万ドルのままで、新たな制限は課されていない。
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中国の対米挽回策への疑問点

中国ではいま、4大国家級プランが進んでいる。それは、以下のとおりだ。
海南省自由貿易試験区(2018年10月開設)
②雄安新区(2017年4月開設)
③広東・香港・マカオ大湾区計画(2019年2月開設)
④上海自由貿易試験区臨港新片区(2019年8月開設)
①、③、④は、いずれも規制緩和によって外資の誘致を目的とするプロジェクトであるが、②は北京一極集中を緩和するために新しい年を建設し、政府部門の半分以上を移転させる計画である。プロジェクトの有望性をあえて順番に並べるなら、ちょうど逆で、④、③、②、①となるであろう。
一方、設立時期を見てもわかるように、この4大国家級プランは米中貿易戦争を想定して練り上げた対応策ではないかと思われる。
どんな国の都市でも、経済発展を図るにはいくつかの条件が必要である。それは地理的に人的交流や物的運送が便利な場所、各国からの留学生など人材があふれる場所、世界的知名度が高い場所、都市インフラの完備度が高い場所、法制度が整っている場所などが理想的である。また、夜の生活が楽しめる場所という条件もある。
これらすべての条件い合うのは、いまのところ上海だけである。
雄安新区は役人の多いところだし、海南島は社会のインフラ設備が立ち遅れている。
「広東・香港・マカオ大湾区計画」は悪くはないが、香港人を取り込む政治的介入の要素が濃いために、どこまでやれるか、本当の市場経済活動が展開できるかどうかに懸念がある。
この2つの場所には、ビジネスマンたちはいきたがらないだろう。
その一方で、「上海自由貿易試験区臨港新片区」は、大きな経済効果が期待されている。上海市当局は、15年間でGDPの1兆限増が達成できる、と豪語している。上海市の年間GDPは3兆3000億元(2018年)だが、ここからさらに短期間で1兆元を増やすことは、かなり冒険的なプロジェクトである。
「上海自由貿易試験区臨港新片区」では、環境改善などによって外資を誘致しようとしている。たとえば、100%ガイシの病院設立、インターネットの全面開放、外国人の中国での弁護士資格取得の許可、外国人からなる仲裁機構の設立、金融の自由化など、投資環境の改善を約束している。
東では「上海自由貿易試験区臨港新片区」で、西では「広東・香港・マカオ大湾区計画」。このような布石で米中貿易戦争によってダメージを受けた経済の立ち直りを図ろうとしている。

中国にとって、日本とヨーロッパは絶対に取り込みたい国である。

だが、問題は、「上海自由貿易試験区臨港新片区」の実施は上海だけのことであって、成功しても各省市に広げていく意向が政府にはないことだ。中国政府を中国語で「不可複製」と明言している。要するに、外資開放は限定的だということである。
これで果たして、中国経済は持続的発展をねらえるのか、世界の投資家から信頼を得られるのか、大きな疑問を残している。