じじぃの「未解決ファイル_312_KAGRA(カグラ)」

重力波望遠鏡「KAGRA」完成 宇宙の謎解明へ期待

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RBE9kS28tbo&vl=ja

KAGRA 大型低温重力波望遠鏡

2020年2月25日 KAGRAが観測開始しました。

岐阜県飛騨市神岡町にある神岡鉱山の地下深くには、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士の成果につながった宇宙素粒子研究施設「カミオカンデ」の後継施設「スーパーカミオカンデ」をはじめ、宇宙の謎に迫る世界最先端の研究施設が整備されています。いま、ここで新たな研究計画が動き出しました。
それがKAGRA計画(大型低温重力波望遠鏡計画)です。この「望遠鏡」によって、地底深くからとらえようとしているのは、光や電磁波ではなく、重力がもとになって生まれる宇宙からの波動「重力波」です。重力は、宇宙の構造や進化を支配するとても重要な力で、重力波を観測できるようになることは、宇宙の謎を知るために非常に重要です。大型低温重力波望遠鏡計画は、ブラックホールの解明などをめざし、人類初となる「重力波の直接観測」に挑戦しています。」
https://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/

サイエンスZERO 「潜入“KAGRA”望遠鏡 天文学革命はじまる!」

2019年10月6日 NHK Eテレ
【司会】小島瑠璃子、森田洋平 【語り】川野剛稔 【ゲスト】渡部潤一国立天文台 教授)
まもなく動きだす日本の重力波望遠鏡「KAGRA」。
特別な許可を得て、稼働直前の内部を潜入取材した。地下深く、技術の粋を集めた装置の心臓部には、驚きの素材が使われている。じつは、KAGRAによる重力波の観測がはじまると、可視光、赤外線、電波などを観測している従来の望遠鏡が何倍も有効に使えるようになるという。キーワードは「マルチメッセンジャー天文学」。天文学に革命的な変化を与える、その理由とは?
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2019097099SA000/index.html?capid=nol_4_P126

2019年10月6日 NHK Eテレ サイエンスZERO 「潜入“KAGRA”望遠鏡 天文学革命はじまる!」 より

小島瑠璃子、「重力波を観測すると何がわかるんですか」
渡部潤一、「大きく2つある。1つはアインシュタインが予言した相対性理論が正しいかどうか。これはたくさんの重力波が見つかっているので正しいことが分かった。2つ目はこの重力波を検出することによって今まで天文学者が見ていた重力波という手段で天体を探る新しい手段ができた。そういう意味では『マルチメッセンジャー天文学』の始まりです」
小島瑠璃子、「初めて聞く言葉が出てきました」
渡部潤一、「マルチ=複数、メッセンジャー=情報を運んでくる。電磁波以外に重力波という全く違う手段を新たに我々が手にしたという意味で本当の意味でのマルチメッセンジャーを読み解くことでさらに天体現象をさらに詳しく調べることができる」
実は今、重力波の観測によって天文学が大きく変わろうとしています。
まず、大きな重力波を出す現象を見てみましょう。
1つ目は、ブラックホール同士の合体。
2つ目は、超新星爆発
3つ目は、中性子星同士の合体。
重力波について
 重力波とは、ブラックホール連星や中性子連星が合体するときなどに発生する「時空のひずみ」が波として宇宙空間をつたわるもので、1916年にアルバート・アインシュタイン一般相対性理論からその存在を予言しました。それから約100年経った2015年、アメリカにあるLIGOの2台の重力波望遠鏡が13億光年離れたところにあるふたつのブラックホールが合体した時に発生した重力波を世界で初めて直接観測し、その存在が証明されました。その後、いくつかの重力波観測に成功し、ヨーロッパのVirgo観測所も加わり、重力波で宇宙を観測する重力波天文学が幕を開けました。日本のKAGRAもこのネットワークに加わることでより正確な重力波観測をおこなうことが期待されており、現在急ピッチで観測に向けた準備が進んでいます。
重力波望遠鏡について
 重力波望遠鏡は、重力波による時空のひずみを観測する装置で、望遠鏡の腕の長さ3kmに対して10のマイナス19乗メートルという、水素原子の大きさ(約10のマイナス10乗メートル)と比べて9桁ほど小さなひずみの観測をおこないます。そのためにレーザー光をビームスプリッターという鏡でL字の2本の腕の方向に分け、それぞれの先端に配置した鏡で反射させて戻ってきた光のわずかな位相差(到達時間の違い)を測定するいわゆるマイケルソン干渉計で重力波を観測します。
サファイア鏡について
 今回完成したKAGRA用のサファイア鏡は直径22㎝、厚さ15㎝、重さ23㎏で、高性能サファイアミラーとしては世界最大です。L字型に伸びる2本の長さ3㎞の腕それぞれの先端と根元でレーザー光を何百回も折り返す「光共振器」として使うため、サファイア鏡は合計4基必要で、今回で全ての鏡がそろうことになります。
渡部潤一、「実は超新星爆発中性子星同士の合体はある重力波が一番最初に届く」
小島瑠璃子、「光よりも」
渡部潤一、「実は中性子星同士の合体だけでは光は出ない。その影響が周り伝わって火の玉ができて、その中でたくさんの元素ができて、それらが光を発するようになるまでちょっと時間がかかる。その時間差が少しあるので重力波が来たぞというのが分かると光の望遠鏡や電波望遠鏡がパッと向いてちょっと遅れてやってくる光や電波を捉えることができる。言ってみれば光の手紙のようなものです。これを赤外線や紫外線やガンマ線など波長の違うもので読み解いていくことで多面的に天体を調べることができる」

小島瑠璃子、「あっ、マルチメッセンジャー天文学ですか!すごい。他の望遠鏡に方向を示して協力できるんですね」