じじぃの「フィンランドの若き女性首相・世界一幸福な国・ロシアとの間で微妙な舵取り!池上彰のニュース検定」

Sanna Mirella Marin

世界一幸福な国、2年連続でフィンランドに 日本58位

2019.03.21 CNN
20日に発表された2019年版の世界幸福度ランキングは、フィンランドが2年連続でトップを維持し、日本は4ランク下げて58位となった。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35134535.html

池上彰のニュース検定

2020年1月31日 テレビ朝日 【グッド!モーニング】
きょうのキーワードは「34歳女性首相」。

問題 「世界最年少34歳の女性首相が誕生した国は?」

・ノルウエー
スウェーデン
フィンランド
正解 「フィンランド
 「先月、フィンランドの新内閣が発足しました。サンナ・マリンが34歳で首相に就任しました。世界で最も若い首相になります。日本人から見れば若い女性というのは驚きなのですが、フィンランドでは特別なことではありません。5党連立政権。社民党の党首は男性ですが、他の4党の党首は女性(ヘンリクソン、クルムニ、オヒサロ、アンデション)です。そのうち3人は30代前半。財務相には32歳のクルムニが就任しました。サンナ・マリン首相は市議会議員→国会議員→大臣を経て首相になったのです。ただ、幼いころから恵まれた環境にあったわけではありません。貧しい家庭で育ったサンナ・マリンは『フィンランドの福祉と教育制度がなければここまでくることは不可能だった』と語ります。フィンランドでは大学までの学費が無料です」

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『国際関係がウラ読みできる ライバル国と友好国』

国際時事アナリスツ/編 河出書房 2016年発行

フィンランドとロシア 「近い」からこそ気を使う。ロシアを刺激したくないフィンランドの苦悩 より

●1世紀にわたりフィンランドを支配したロシア
世界地図を開いて北欧の国々を確認するとわかるとおり、フィンランドはロシアと国境を接している。別々の地域に分かれているように思われがちだが、実際にはとても身近な関係だ。この地理が両国を、微妙かつ緊張を伴う関係にしている。
フィンランドは12世紀半ば以来、スカンジナビア半島スウェーデン支配下に組み込まれた過去がある。
スウェーデンデンマーク、ノルウエーのいわゆる北欧3ヵ国が、バイキングをルーツに持つノルマン人であるのに対し、フィンランドのルーツはフィン人、フィンランド語はロシアと共通のウラル語系に属する。そうした背景もあって、ロシアが支配下に置こうと手を伸ばした時代がある。
18世紀に入ってスウェーデンとロシアの間に大北方戦争が勃発し、ロシアが勝利すると、現在のフィンランドの一部がロシアのものとされた。さらに、続くナポレオン戦争でもフィンランドはロシアに割譲されることになった。以降、ロシアによるフィンランド統治が20世紀に入るまで続いたのである。
●西側にも東側にもつかないフィンランドの舵取り
フィンランドは、1917年のロシア革命の混乱に乗じて独立に成功した。だが、第二次世界太刀戦中の1939年にソ連の間で「冬戦争」へ、続いて第二次世界大戦終結時まで続く「ソ連フィンランド戦争」へ突入。最終的にロシアがフィンランドの領土に侵食する形で終った。
戦後もフィンランドでは、ソ連を気遣う政策が求められた。
同じ北欧のデンマークやノルウエーが共産主義勢力に対抗するNATO北大西洋条約機構)に加盟したのに対し、一線を画してソ連に配慮。友好国であろうとする外交関係を維持した。といって、ソ連主導の貿易機構ワルシャワ条約機構にも参加せず、民主主義体制の維持に努める慎重な舵取りをする。
その配慮は、EUヨーロッパ連合)にも当初は不参加だったことにも表れている。フィンランドEUに加盟したのは、ソ連崩壊後の1994年のことだった。