じじぃの「科学・芸術_966_中国語・普通話と方言」

鏗鏘集:廣東話

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中国語の「七大方言」の違いをまとめた一覧表 ・・・北京語(普通語),広東語(香港語),上海語台湾語などの差異の概要

https://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20120712/ChineseDialectsSummaryTable

『中国の歴史を知るための60章』

並木頼壽、杉山文彦/編著 赤石書店 2011年発行

中国語 普通話と方言 より

漢文は数千年の歴史をもち、豊富な語彙と洗練された修辞法を備えた高度に発達した文章語である。近代のウェスタン・インパクトのもと、西洋の学術が東アジアに押し寄せたとき、東アジアが何とかそれを吸収できたのは、漢文の豊富な語彙のおかげである。翻訳語のほとんどは漢籍から拾い出された。しかし、漢文には東アジアの伝統思想である儒教の価値観を反映した語彙が多く、漢文習得の過程で人が儒教的価値観に染まりやすいという一面がある。中国文明儒教に染まった老人文明と否定し、青年文明である西欧文明を手本とすべしとする陳独秀ら初期『新青年』の論客たちにとり、漢文とは老人文明の象徴であり、妥当すべき対象であった。当時アメリカのコロンビア退学に留学中の胡適が「文学改良芻議(ぶんがくかいりょうすうぎ)」と題する一文を投稿したことをきっかけに、漢文批判と言文一致の口語運動が本格化する。この過程で魯迅たち新文学の作家たちの果たした役割は大きい。また、学校教育など近代化にともなう国語形成の必要もあり、政府によっても推進された。しかし20世紀前半の中国は、内戦と日本による侵略にさらされ、国語形式に十分な力を注ぐ余裕はなかった。中華人民共和国成立後の1950年代中国政府は、北方方言を基礎とし魯迅ら新文学作家の作品の文体を参考に普通話(プートンホワ)を制定した。これ以後、学校教育、ラジオ・テレビ放送などは広東語など一部の地域をのぞき普通話によっておこなわれるようになった。
中国語は、言語分類としては孤立語の一員である。孤立語屈折語のような語系変化も膠着語(こうちゃくご)のような助詞・助動詞もなく、語と語の関係は互いの位置関係によって決まる言語である。つまり、分法は単語の並べ方がすべてである。動詞も形容詞もいっさい活用しない。アクセントは英語のような強弱ではなく、高低でつける。この点は日本語と同じであるが、日本語のそれが橋と箸のように音節間でつけられ、また間違えれば意味が変わってしまい通じない。したがって、アクセントに無頓着な人は、中国語学習に大きな困難にぶつかる。
中国語は方言による差異が大きくその分類には諸説あるが、七大方言という分類がよく用いられる。七大方言とは、北方方言(北京語)、呉(ご)音系方言(上海語)、閩(びん)音系方言、粤(えつ)音系方言(広東語)、贛(かん)音系方言、湘(しょう)音系方言、客家(はっか)方言である。黄河流域から四川省雲南省方面までもっとも広く分布しているのが北方方言である。
明清時代この北方方言を基礎に役人言葉が形成されたので官話系方言といわれることもよくある。現代の普通話もそれを基礎としている。アクセント=声調(せいちょう)は4つ、すなわち同じ音が四とおりに声調をつけて発音される。これを四声といい、中国語学習で最初に出会う試練である。しかし、普通話が四声であることは、われわれにはありがたいことで、南方の方言となると声調はもっと多くなる。官話系方言が広く分布するのに立ちして、そのほかは分布地域はせまいが、文化的経済的に重要な地区を含んでいる。