じじぃの「科学・芸術_965_アイルランド・北アイルランドの生活」

Orange order parades in Northern Ireland | DW Documentary

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=z8LCsV6JWc8

北アイルランド

ウィキペディアWikipedia) より
北アイルランド(英語: Northern Ireland)は、グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(イギリス)のアイルランド島北東部に位置する構成要素の一つである。北アイルランドについては、イギリスのカントリー、プロヴィンス(州)、地域など様々な表現がされている。
アイルランド島北東に位置するアルスター地方9州の内の6州からなるためアルスター6州とも称されている。 2015年に6州を廃止し、新たに11行政区が設置された。 アイルランド島アイルランド共和国と国境を接している。 面積は1万4139km2、首都は東岸に位置するベルファストである。
1920年に成立したアイルランド統治法によってアイルランドは南北に分割され、それぞれに自治権が付与された。その後に発生したアイルランド独立戦争講和条約である英愛条約に基づいて、南部26州によりアイルランド自由国が建国され、グレートブリテン及びアイルランド連合王国より分離した際は北アイルランドも自由国の管轄内に含まれていた。しかしアイルランド自由国で内戦が始まったため、英愛条約の条項に基づいて北アイルランド議会は自由国からの離脱を表明して連合王国にとどまることになった。

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アイルランドを知るための70章』

海老島均、山下理恵子/編著 赤石書店 2004年発行

北アイルランドの生活 より

北アイルランドを象徴するのがミューロ、いわゆる壁画である。連日、観光客がバスで押し寄せて見学している。かつてはプロテスタントカトリックの過激派が敵を威嚇するために政治的なメッセージを描いた。最近では両者が協力して平和を表すデザインに描き替えられたものもある。北アイルランドと聞くと紛争をイメージする人は多いだろう。1998年の和平合意以降、北アイルランドは和平プロセスへと向かった。新たに描かれた壁画と同じように、過去の歴史が塗り替えられている。しかし、住民レベルにおいてはまだまだ問題は山済みであり、カトリックプロテスタントの対立も消えてはいない。
北アイルランドでは95パーセントがカトリック居住区とプロテスタントに分かれている。学校や地域コミュニティなどの社会も分離している。欧州連合EU)諸国や他国からの移民が増え、ニュータウンにソーシャル・ビルディング(公営住宅)を建設するシェアフューチャー政策を打ち出すなど、地方自治体の努力もあり、統合地域も増えてきてはいる。しかし、今でも通りの街角には英国国旗(ユニオンジャック)やアイルランド国旗(3色のトリコロール)が目立つ。ユニオンジャックプロテスタント地域であり、アイルランド国旗はカトリック地域なのだ。カトリック地域に足を運ぶとアイルランド語で書かれた店の看板や新聞などが目につき、英国というよりはアイルランドの雰囲気である。一方、プロテスタント地域では英国国旗で使われる赤と青と白に塗られた歩道や壁があり、アルスターの紋章であるレッドハンド(赤い手)を描いた旗かユニオンジャックが掲げられている。
かつてはカトリックだから雇用されないといった差別があったが、現在は法的には平等な採用が謳われている。驚くのは、北アイルランドでの仕事の応募用紙にいずれの宗教を信仰するかを記入する質問事項があること。企業は両者をバランスよく雇用しなければならないのだ。
祝日もカトリックプロテスタントで異なる。3月17日のセント・パトリックス・デイにはカトリック系の学校や会社は休みになるが、プロテスタント系は休みにはならない。また、オレンジ公ウイリアムイングランド王のウイリアム3世)がボイン川でカトリックに勝利したプロテスタントによる記念パレードおオレンジパレードが7月12日にある。この日はほとんどの学校、会社が休みになるのだ(暴動を避けるためにカトリックも休みになる)。前日の11日にはボイン川の勝利を祝ってプロテスタントの地域では違法なはずの焚き火がいたるところで大々的に上がる。6月になるとパレードを組織するオレンジオーダーの前でカトリック市民によるパレード中止のデモが起こる。