Salem Ghosts Tours
Ellis Island
Salem Ghosts
wolf and boy adorns a wall
『絶対に出る 世界の幽霊屋敷』
ロバート・グレンビル/著、片山美佳子/訳 日経ナショナル ジオグラフィック 2018年発行
町、都市、島
ペストが猛威を振るった数百年間、ヨーロッパでは人の移動が厳格に管理されていた。ひとたび町に侵入すれば、ペストは瞬く間に蔓延し、数週間で10人に1人が命を落としたからだ。犠牲者の数が多すぎて埋葬が間に合わず、遺体が山済みになり、二次感染の恐れも広まった。生存者はまさに戦々恐々といった心持だっただろう。「検疫(quarantine)」という言葉はこの時代のイタリアで生まれた。ペストの流行中、ベネチアでは他所からやってくる人々を足止めしていた。ペストの犠牲者の埋葬地となったベネチアのラグーンに浮かぶ島では、死体が土の量を上回ったという。
エリス島の建物の廊下 (米国ニューヨーク)
米国への入口だったエリス島には、62年間で約1200万人の人々が上陸した。中には「自由の国」の大地を踏むことができなかった移民もいる。エリス島に到着した人々の多くは長旅から不調をきたしており、約3000人が回復することなく移民用の病院で命を落とした。島にはその不運な人々の幽霊が今でも出るという噂だ。子供の声が聞こえたり、家具がひとりでに動いたりするという。