Haunted Alcatraz: Ghost Stories From The Rock
Former Shrewsbury prison
Alcatraz Island
Kilmainham Gaol
『絶対に出る 世界の幽霊屋敷』
ロバート・グレンビル/著、片山美佳子/訳 日経ナショナル ジオグラフィック 2018年発行
病院、刑務所
犯罪者や精神病患者など、社会の片隅に追いやられた人々の人権が尊重されるようになったのは現代になってからだ。収容施設に手厚い管理体制が導入され始めたのは、ここ数十年のことである。昔の刑務所や精神病院も、作られた当初は収容者に配慮した施設だったかもしれないが、瞬く間に過密状態になり、不衛生で劣悪な環境が収容者をさらなるどん底に突き落とした。そして驚くのは、そんなビクトリア時代の遺物のような施設が、ごく最近まで使われていたということだ。20世紀初頭の最悪の状態と比べればいくらか改善されたものの、時代遅れのおんぼろの建物や設備の中で過ごした日々はさぞかし辛いものだっただろう。そんな環境下では、自殺や暴動、他の収容者や看守による虐待、殺害などがあったということも想像に難くない。
旧シュルーズベリー刑務所 (英国シュロップシャー)
旧シュルーズベリー刑務所は、昔の牢獄ダナの跡地に建設された。20世紀だけでも数回の死刑が執行され、遺体は墓標のない墓に埋められた。囚人の自殺率が高いことで有名だった。幽霊のような影が見えたり、足音や妙な音が聞こえたりする他、監房の扉が不意に閉まるということもあるようだ。
アルカトラズ島の地下道 (米国カリフォルニア州サンフランシスコタ)
軍の要塞だったアルカトラズは、短期間だが拠り所のない人々のシェルターとして使われていたことがあった。そして、20世紀に刑務所として使われていたことは有名だ。アル・カポネや”マシンガン・ケリー”ことジョージ・R・けりーといった有名な囚人も収容されていた。
刑務所の管理体制はひどいもので、多くの囚人が命を落とした。1940年代には、ある囚人が「監房の中に光る眼が浮かんでいる」と叫びながら訴えたが、外に出してもらえず、翌朝、窒息死しているのが発見された。ツアーガイドによれば、今でもたびとび叫び声や奇妙な音が聞こえるという。アル・カポネが好んで弾いたというバンジョーの音も聞こえるらしい。