じじぃの「歴史・思想_99_世界の幽霊屋敷・工場」

Ghosts in the tunnel at Sloss Furnace

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=eMdUuiX0ZZs

Boston lighthouse

The Haunting of Slater Mill

Sloss Furnaces

『絶対に出る 世界の幽霊屋敷』

ロバート・グレンビル/著、片山美佳子/訳 日経ナショナル ジオグラフィック 2018年発行

工場

工場などの産業の現場は、あまり幽霊と結びつかないかもしれない。だが、本章で取り上げているように、人々の働く場所でも数々の心霊現象が起きている。現代の職場と違い、労働者の衛生や安全に関する基準のなかった時代の産業の現場では、ごく初期の機械が使用されていたこともあって、むごたらしく、恐ろしい事故が頻発していたのだ。灯台の外壁の塗装といった比較的単純な仕事でも、落下などによる死亡事故があった。子どもが事故に巻き込まれることも珍しくなかった。当時は多くの子供が、危険な環境で大人と一緒に働いていたのだ。かつての何百、何千という労働者を収容していた建物は、使われなくなって何十年もの時が過ぎた。鳴り響いていた機械の音が止んだ工場の中は、不気味な静けさに包まれている。いかにも遠くの方に幽霊らしき影が見え隠れしそうだ。

ボストン灯台 (米国マサチューセッツ州ボストン リトル・ブリュースター島)

米国で初めての灯台として、1716年に建設された。1718年11月、初代守ジョージ・ワージーレイクが灯台に戻る途中で、家族らとともに海に落ち、溺死。2週間後には何と後任の灯台守も同じように溺死した。現代の灯台守たちによると、この灯台では正体のわからない笑い声や、小さな女の子がむせび泣く声が聞こえるそうだ。また。ラジオでロック音楽を聴いていたら、突然クラシックの曲に切り替わるという怪奇現象も起きるという。

スレーター・ミル (米国ロードアイランド州

1793年に建てられたスレーター・ミルは米国初の水力を用いた織物工場だった。当初は小さな子供たちが稼働中の機械の清掃や修理をさせられており、機械に巻き込まれ、大けがをしたり死亡する事故が絶えなかった。現在は産業博物館となっているが、来館者には犠牲となった幼い子供たちの断末魔の声や泣き叫ぶ声が聞こえるという。
スレーター・ミルの敷地内の他の建物でも、来館者を爪でひっかく邪悪な霊や、名もなき男女の幽霊が出るという。ベッカという名の少女の幽霊がいて、L字型の占い棒で来訪者の質問に答えるのだという(訳注:ダウジングと呼ばれるオカルト現象)。

スロス・ファーナシズ (米国アラバマ州バーミンガム

1882年から1971年にかけて、スロス・ファーナシズという製鉄所では米国中のビルの建設に用いる鉄が生産された。危険な職場として悪名高く、特にジェームズ・スラグ・ワームウッドの監督下での深夜勤務は地獄だった。
ワームウッドが指揮をとる過酷な労働環境での事故により、少なくとも47人が死亡、数知れない人々が大けがをし、障害を負った。1906年10月、ワームウッドによる恐怖の時代は糖所終わりを告げる。ワームウッド自身が溶解した鉄鉱石のタンクに落下し、一瞬にして溶けて消えたのだ、だが今でも、スロス・ファーナシズに幽霊となって現れ、見学者を怒鳴りつけて働かせようとするらしい。
米国の産業遺産として保存されているこの製鉄所は、米国きっての幽霊スポットでもある。