じじぃの「科学・芸術_714_電気自動車(EV)・全固体電池」

東京工業大学研究グループ】高出力型全固体電池、超高速充放電の実証に成功 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VBxUcd3mY9Q

サイエンスZERO 「1分で充電完了!?誕生!夢の全固体電池」 2018年8月4日 NHKEテレ
【司会】小島瑠璃子,森田洋平 【ゲスト】菅野了次(東京工業大学教授)
電気自動車への導入を見据え、東京工業大学などで全固体電池の開発が進んでいる。
現在主流のリチウムイオン電池では、電池の中にある液体の電解質が液漏れのリスクや電池の“へたり”につながっているが、全固体電池は液体を使わないことによって、こうしたリスクを避けられるばかりか、充電時間も短くでき航続距離も伸びるという。
リチウムイオンを動かすためにどうしても必要な電解質。これが液体であれば塩が水に溶けるようにリチウムイオンも簡単に動くことができます。
しかし、これが固体となるとほとんど反応を起こさないためイオンが全く動きません。何とかしてイオンを通すことができる特殊な物質を作り出さなくてはならないのです。
ついに2011年、固体の電解質を見つけたのです。リチウムとゲルマニウム、リン、硫黄を組み合わせたものでした。
ゲルマニウムは価格の高い元素なので、これを使いやすい元素に置き換えるのが次の課題でした。
塩化リチウムを使った時にイオン導電率が少し良くなるように思えたのです。塩化リチウムは塩素とリチウムの化合物です。この塩素は電池にとって不純物でしかないため注目していませんでした。しかし、ゲルマニウムの代わりにシリコンを使い、ほんの少し塩素を添加したしたところ、それまでの性能をしのぐ固体電解質が2016年にできたのです。
そして、電池の性能を調べるとゲルマニウム入りのものの3倍もの電気を流すことができたのです。
http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2018-08-04/31/29519/2136685/
『日経テクノロジー展望2019 世界をつなぐ100の技術』 日経BP社/編 日経BP社 2018年発行
全固体電池 電気自動車の性能を格段に高める革新電池 より
正極と負極の間でイオンを流す電解質に固体材料を用いる新型電池。じゅうらいの電池は電解質として有機系電解液を使っている。
スマートフォンや電気自動車(EV)につかわれているリチウムイオン電池を置き換えると期待されている。開発中のメーカーの多くは市場参入の磁気を2020〜2025年としている。EVの本格普及がこの辺りと見込んでいるためだ。トヨタ自動車は2017年秋、「2020年代前半に全固体電池を実用化する」と発表した。
海外でも多くの企業が動き出している。家電メーカーの英ダイソンは2020年をめどに固体電池を用いたEVを課l発すると発表。独フォルクスワーゲンは米国の電池ベンチャーであるクォンタムスケープに1億米ドルを出資して2025年に全固体電池搭載のEVを実用化する計画だ。独BWMも全固体電池ベンチャーの米ソリッドパワーと提携した。
全固体電池が注目されているのは、電解質を固体材料にすることで、リチウムイオン電池と比べて、技術的な優位点を複数持つからだ。まず安全性が高い。電解液の漏れが起こらない。揮発成分がないか、あってもわずかなため発火しにくい。固体電解質は硬いので電極に析出する樹状結晶が正極と負極を短絡する可能性も低い。高温や低温での特性が良いのも大きな長所だ。
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例えば、トヨタ自動車東京工業大学などは共同で、エネルギー密度が既存のリチウムイオン電池の2倍、出力密度が同3倍以上となる全固体電池の試作に成功した。この電池をEVに搭載すれば、約3分で充電できる可能性もあるという。これなら、蓄電池を大量に積んでエネルギー容量をむやみに増やさずとも、充電頻度を増やせば走行距離を大幅に伸ばせる。車両の軽量化や低価格にもつながる。もう1つの課題である製造時間の短縮や量産化についても取り組みが進んでいる。