じじぃの「高額新薬が生む効果とジレンマ・オプジーボ・ヒュミラ!いのちの値段」


『いのちの値段 医療と費用を巡る50の物語』 読売新聞医療部 講談社 2018年発行
オプジーボ 高額新薬が生む効果とジレンマ 子どもと生きる時間をください より
えっ、ホンマに効いたんか、あの1回で――。
2016年3月23日。午後7時少し前。最も重いステージ4の肺がんを患う大阪府守口市の子飼和恵さん(48)は、大坂府立成人病センター(大阪市、現大阪国際がんセンター)9階の4人部屋で、夕食を口に運んでいた。
呼吸器内科の主治医、西野和美さん(50)が駆け込んできた。「早く! 見においで」。小柄な女性医師の真っすぐな瞳が涙で潤んでいる。最新の肺がん治療薬オプジーボを点滴され、2週間。副作用の高熱で緊急入院するさなか、面談室の画像に見入った。
右肺の半分以上を占める白いペタッとした影が縮まり、グレーに見える。患部の粘液が減り、そこに空気が入った証拠だ。腫瘍が明らかに縮小した。
夫、母、親友にメールをした。「すごいやん」。返信を見て実感がこみあげた。
私、まだ生きられる。
11年4月、43歳で肺にがんが見つかった。左肺を切除し、右肺への抗がん剤治療が始まる。
長女は小学3年、長男が小学1年、次女はまだ2歳だ。西野さんに、「子どもと生きる時間をください」とすがった。
地元の「御幸幼稚園・さくらんぼ保育園」でも15人の2歳児が待つ。子飼さんは幼稚園教諭で保育士。暮らしは子供と共にあった。
効き目がなくなれば、次の抗がん剤へ。13種類の抗がん剤の組み合わせで、50コース試した。服用期間は2年10ヵ月。そして15年12月、使える薬剤がついにラストの1つに。
同月、肺がん治療でオプジーボが使えるようになった。これが聞かなければ、ホスピスなど緩和ケア医療に移る。
最後の賭けだった。
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社会はよりよいがん治療を求めた。医学界や製薬業界、国は総力をあげて実現を目指した。オプジーボは医学の進歩の象徴であり、今後も画期的新薬の開発は続く。
しかし、体重60キロの患者で年間3500万円かかる同薬は、国民皆保険制度の維持さえ危うくしかねない高額薬の象徴ともなった。高齢化が進み、がん患者が増加する日本では、国民医療費が2000年度以降で10.7兆円(14年度実績)増え、薬剤費はその2割強を占める。自己負担との差額は国民が支払う。ツケは次世代へ回る。
医学の進歩と高齢化の急伸が今、大きなジレンマを生んでいるのだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
クローン病(炎症性腸疾患)で千葉・佐倉にあるT病院に1.5ヵ月おきに通院している。
「ヒュミラ」(一般名:アダリムマブ 遺伝子組換え)は、2週間に1本、1.5ヵ月で4本投与する。1本約7万円なので1.5ヵ月では28万円になる。
年間では224万円。その他の薬、診療代などを含めると約250万円にもなる。
実費負担は高額療養費支給額が適用されて、1.5ヵ月で5000円。年間4万円の負担で済んでいる。
250万円から4万円を引いた費用が国の負担だ。
ある女性作家が本にこんなことを書いていた。
「高額医療を受けることを断る権利もあるのです」
お医者さんにそのことを話したら、その人の哲学の問題だから、だとか。