じじぃの「科学・芸術_713_知られざるキューバ・国旗と国歌」

Cuban National Anthem - "La Bayamesa" (ES/EN) 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=m_iXh_iwrwA
キューバの国旗

『知られざるキューバ 外交官が見たキューバのリアル』 渡邉優/著 ベレ出版 2018年発行
キューバの国旗 より
キューバの国旗は意外にインターナショナルな生まれでした。いまだスペイン統治下にあった19世紀中頃、ナルシソ・ロペスというキューバ独立闘争の英雄がおりました。彼はベネズエラ生まれで、スペイン軍に従軍した後にキューバ独立運動に身を投じたという経歴の持ち主です。1849年のある日、ニューヨークに亡命していたロペスは、赤い三角形の雲、白い星、2筋の白い雲をが出てくる夢を見ます。「これだ!」とひらめいたロペスは、同じくニューヨーク在住の詩人ミゲル・テウルベ・トロンの家を訪れ夢の内容を熱く語ります。テウルベがこの話を聞いて描いたのが、今のキューバ国旗の図柄だという話です。
早くも翌1850年キューバ独立闘争のためキューバに向かったロペスの船には、この”キューバ国旗”が掲げられていました。1868年にはキューバの第一次独立戦争が開始、1869年にキューバ”独立政府”の議会が開催され、そこでロペスの旗がキューバ国旗として採用されました。厳密に言うと、米西戦争後の米国による軍事占領を経て1902年にキューバが独立した時に、ハバナの風に颯爽となびいたのがキューバ共和国国旗としての正式デビューと言えましょう。
1959年革命で誕生した現在の政権は、1902年の「独立」というのは単に植民地の主が交替したに過ぎないとして、革命前キューバとの連続性を何事につけ否定するのが常ですが、キューバ国旗に関する限り、そのまま無事に当時のものが続いています。
キューバ国旗の図柄は、通常次のように解読されています。
(1) 青い3本の横縞は、スペイン植民地時代の3つの地域(東部、中部、西部)を表します。
(2) 白い2本の横縞は、純粋な愛国心を表します。
(3) 左にある赤い三角形は、独立のために流されたキューバ人民の地を象徴します。もっともこれには異説もあり、次の3説がよく出てきます。
 (ア)三角形の各辺は、フランス革命の標語である自由、平等、博愛。
 (イ)三角形の各辺は、立方、行政、司法の3権の分立。
 (ウ)三角形は、フリーメイソンのいう「宇宙の設計者による摂理」の象徴。
   米国の1ドル札にあるピラミッドはじめ、フリーメイソンにとって三角形という形が重要な意味を持つらしいというのは聞いたことがありますが、キューバ国旗との関係は、正直なところ不明です。
(4) 赤い三角形の中にある白い星は、完全な独立の象徴です。
   この星についても、フリーメイソン流に、星の5つの戦端がそれぞれ力、美、知恵、徳、団結を表すという解釈も見たことがあります。
キューバの国歌 より
人気のキューバの音楽と言えば、サルサ、ルンバ、マンボ、ソンといったラテン音楽ですね。キューバ音楽ファンを自称する私はアフロ・キューバン・ジャズと呼ばれるカテゴリーが大好きで、足繁くハバナのジャズバーに通っています。しかし、ハバナに生活していて最も頻繁に聞く曲はサルサでもジャズでもなく、キューバの国歌です。すでに何百回聞いたことでしょうか。キューバではあらゆる行事が行われる時、必ず冒頭に国歌が流れるためです。行事の開始を告げるのが国歌吹奏で、序奏が始まると参加者全員が起立して合唱します。何しろ小さい頃から学校で習ってきているので、キューバ国民は皆国歌の歌詞をしっかりと覚えています。
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このキューバ国歌の題名ですが、キューバではラ・バヤメサまたはバヤモ賛歌と呼ばれています。バヤモはキューバの東部グランマ県の首都ですが、なぜこの町の名がついているかというと、この曲が最初に演奏されたのがバヤモだったため、あるいは、1868年に始まった第一次独立戦争における独立軍の象徴的な勝利が主要都市バヤモの陥落だったため、と言われています。町の名前を国歌の曲名にするのは、フランスのラ・マルセイエ―ズと同じですね。