じじぃの「科学・芸術_951_世界の陰謀論・宗教の陰謀」

【歴史ミステリー】秘密結社の元祖・テンプル騎士団 歴史編

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MARIA MAGDALENA Trailer German Deutsch (2018)

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『ビジュアルストーリー 世界の陰謀論

マイケル・ロビンソン/著、安納令奈/訳 ナショナル・ジオグラフィック 2019年発行

宗教の陰謀

宗教の陰にある陰謀。それは、競技の真理性をめぐり、ある宗教の信者が、ほかの宗派やほかの宗教と争うときに渦巻く。ユダヤ人迫害の歴史は古く、古代ギリシャの時代までさかのぼる。また、キリスト教信者は、イスラム教諸国やオスマン帝国キリスト教徒市民を迫害したことに対抗し、十字軍遠征を行った。キリスト教の内部でも、宗教改革のあとに、プロテスタント派とカトリック派が勢力を競った。そして現在も、多くの不可知論者や無神論者は次のように主張する。どんな宗教も人を弾圧する。なぜなら宗教は、邪悪な目的のために社会を支配し、操ろうとするからだ、と。新世界秩序説を信じる人にいわせれば、宗教間の対立はやがて緩和するか、あるいはなくなるらしい。それは、彼らの目指すところが社会統制の維持だからだ。

テンプル騎士団

テンプル騎士団は中世ローマカトリック騎士修道会だ。第1回十字軍による聖地奪還後の1118年にエルサレムで創設され、1128年に教皇に公認された。テンプル騎士団はそもそも、聖地エルサレムに向かう巡礼者の守護を主な目的として結成された。騎士団のメンバーは聖地で誰よりも恐れられ、尊敬される騎士だった。ただし、本来の役目に就いていたのは騎士団の4分の1のみで、残りの騎士は金融業務を行っていた。銀行としての仕事も行う騎士団はいつしか莫大な富を手にしていた。こうして騎士団の力が肥大化していくと、支配階級はおびえる。そしてとうとう、1312年、教皇庁は騎士団の解体を命じた。当時の教皇クレメンス5世(1264~1314年)は、フランスのアビニヨンに教皇庁の裁判所を設立していた。さらに、教皇はフランス王フィリップ4世(1268~1314年)の強い影響下にあった。このフィリップ4世が、騎士団の活動や野心を邪魔に思っていたのである。その実、このフランス王は、騎士団に多大な借金をしていた。
1307年10月13日、テンプル騎士団のメンバーが大勢捕えられ、火あぶりの刑に処された(ここから「13日の金曜日」は不吉だ、という迷信が生まれたという)。続いて教皇は、すべてのキリスト教国の王にテンプル騎士団の逮捕を命じる。捕えられた者の多くが異端を自白するまで拷問を受け、火あぶりの刑になった。しかし、かなりの数のメンバーがこの弾圧から逃れ、行方をくらました。史実を疑う人々によれば、かつてのテンプル騎士団が聖地エルサレムにいるときに見つけた聖杯と聖櫃(せいひつ)は、こういう人々が隠し持っているという。
1314年、テンプル騎士団の総長が処刑された。しかし、この中世の騎士団の生まれ変わりを称する組織はいくつもあり、現在も続いている。そのなかでも、ダン・ブラウン(1964年~)の小説『ダ・ヴィンチ・コード』(2003年)のおかげでとりわけ世に知られたのが、フリーメイソンだ。この秘密結社では、十字軍当時の騎士団のシンボルや儀式を多く取り入れている。とはいえ、こうした結社の現在のメンバーが実際に、秘密の知識を継承して守る番人だとは考えにくい。しかし、いまだにこうした秘密結社や、いにしえの騎士団にまつわる遺跡には、謎や陰謀が渦巻いている。

シオ賢者の議定書

のちの世の陰謀説にまで影響を与えたことで有名な、『シオ賢者の議定書』。これはそもそも、ロシアで1901年に出版された。公然と反ユダヤ主義を主張するこの書物は、19世紀後半にロシア帝国が行った残酷なボグロム(ユダヤ人大量殺戮)、つまりユダヤ人へのダナツと同じ時期に生まれた。この『議定書』は、ユダヤ人の賢者が集まる会議に関する記述、というより作り話である。

エスマグダラのマリア

2014年、『失われた福音』(原題:The Lost Gospel)という本が世に出た。執筆者たちが、ロンドンの英国図書館に眠っていた6世紀の古文書を調べ直し、まとめたものだ。この本では、「ヨセフとアセナス」と呼ばれる文書は、じつはイエス・キリストマグダラのマリアの関係を暗号化して残したもの、と指摘する。また、2人の間に、イエスの血を引く子供がいるともいう。
イエス・キリストマグダラのマリアの関係性はこれまで、いくつかの小説で憶測がくり広げられている。なかでも有名なのは、ベストセラー小説『ダ・ヴィンチ・コード』だ。その本の著者ダン・ブラウンはこう論じる。マグダラのマリアに関する真実は2000年間封印されていた。カトリック教会は、「聖なる女性」という概念と、初代教皇ペテロの使徒の長としての優位性の、両方が傷つけられることを懸念していたからだ。また、マグダラのマリアを娼婦としたのはそもそもカトリック教会だという。そこにはイエスによって7つの大罪を清められたマリアと、聖書に記された罪深い女を同一化させたい思惑があったとダン・ブラウンは見ている。彼はさらに、テンプル騎士団は、隠された真実を明かす重要文書をエルサレムで見つけ、イエス・キリストの子孫が存在する証拠を隠していた、というストーリーを展開させている。