じじぃの「科学・芸術_943_世界の陰謀論・食品」

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動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XVvKPNDroho

GMO Corn

『ビジュアルストーリー 世界の陰謀論

マイケル・ロビンソン/著、安納令奈/訳 ナショナル・ジオグラフィック 2019年発行

食品

イギリスでも有数のフードライターで、作家のジョアンナ・ブライズマン(1956年~)は、食品と、その購入経路や消費をテーマに著述活動を行っている。数々の著作があるブライズマンだが、1998年に発表した書籍『私たちが食べるもの:無視するわけにはいかない本』(原題:The Food We Eat: The Book You Cannot Afford to Ignore)でも食品規格を批判し、スーパーマーケットがいかに消費者をあざむき、購入決定や買い物習慣を操作しているかを暴露した。たとえば西洋諸国では、人々はいまや空腹だから食べるわけでわけではない。いつ、どれだけ食べるかはライフスタイルや文化に左右される。そして食べ過ぎた結果、肥満や2型糖尿病といった兼口上の問題が起きている。

「カウスピラシー」

2004年に公開されたドキュメンタリー映画『カウスピラシー(持続可能性)の秘密』の作り手は、畜産業が環境に及ぼす被害をテーマに取り上げた。この映画が何よりも観客に訴えているメッセージは、意識の高い食生活を送りたかったら、ヴィーガン(完全なベジタリアン)になるしかない、というものだ。畜産業が抱える問題としてここで描かれているものは、本来だったら人間が消費するはずの水や食料が家畜の飼育に大量に使われ、地球温暖化の原因を作り、それに、動物のえらを確保するために森林破壊が行われている現状だ。データをいくつかも挙げ、食肉の生産がなぜ県境に有害なのかを示している。なかでも特にショッキングだったのは、温室効果ガス全体の51%は酪農用の家畜から発生している、という数字だ。
この映画が示した証拠には、さまざまな分野の科学者、それに環境団体グリーンピースから反論が寄され続けている。いわく、家畜の消化器官から排出されるメタンは、温室効果ガス全体の18%でしかないという。たしかに、このドキュメンタリーのデータはやや大げさで、映画製作者はただやみくもに、この映画も観た人の食事をヴィーガンに切り替えさせようとしている。だとしても、この作品はある重要な疑問を人々に投げかけたのは間違いない。「地球上にいる70億人に食料を行き渡らせ、その状態をずっと維持するのは一体どうしたらよいのだろうか?」

遺伝子組み換え作物GMO

いわゆる「アグリ(農業)ビジネス」で世界有数の大手企業といえば、モンサントだろう。遺伝子組み換え作物の生産について、世界でも中心的役割を果たすバイオ化学企業だ。遺伝子組み換え作物GMO)の歴史は古い。1990年代後半から消費が始まり、従来の農法で栽培した作物と同じくらい人体に無害だという、科学者の一致した意見もある。にもかかわらず、GMO生産をめぐる論争は絶えない。裏に何者かの思惑がある、と信じるある説では、モンサントGMOの人体への有害性を示す真実のデータを隠し、ビジネスに悪影響を及ぶのを食い止めていると主張する。さらに、同社は米国の食品医薬品局(FDA)とも結託し、その安全性を裏づける証拠を発信している、とまでいう。一般的な話をすると、GMOの生産が環境に有害か無害の結論は、まだ出ていない。