じじぃの「猿の惑星・FOXP2遺伝子・チンパンジーが人間にとって変る日?絶滅の生物学」

Chimp vs Human! | Memory Test | BBC Earth

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zsXP8qeFF6A

話始めたチンパンジー

FOXP2

ウィキペディアWikipedia) より
FOXP2は文法能力 (grammatical competence) を含む言語発達との関連が示唆されている遺伝子である。
FOXP2 蛋白のアミノ酸配列は、進化的に非常に強く保存されている。FOXP2 蛋白に似たものはソングバード、魚、アメリカワニのような爬虫類でも見つかっている。
ヒトとチンパンジーの FOXP2 の 2 アミノ酸の違いが、ヒトの言語の進化を生んだと考える研究者もいる。しかし、ほかの音声学習をする動物と FOXP2 の同様な突然変異との間に明確な関連は見つけられないとする研究者もいる。また、ヒトにおける 2 箇所のエクソンの突然変異の機能はまだ分かっていない。
発達に関する研究やソングバードの研究から、ヒトと非ヒト科霊長類との違いは、この 2 箇所の突然変異ではなく、(FOXP2 が発現した時に作用する)調節塩基配列の違いによるという可能性も存在する。

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『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行

先進文明 より

今後数万年で、人類はどこまで枝分かれするのだろう? 人類は何万年も遺伝的に分離されても、それと認識できるのだろうか?

この疑問には、実はDNAを「時計」として用いることで答えられる。生物学者は、DNAが長い年月にわたりほぼ同じペースで変異することに気づいてきた。ひとつ例を挙げよう。われわれに進化上最も近い仲間は、チンパンジーだ。チンパンジーを調べてみると、われわれとDNAがおよそ4パーセント異なることがわかる。またチンパンジーとヒトの化石の研究から、両者は600万年ほど前に分かれたことが示されている。
すると、われわれのDNAは150万年で1パーセントというぺースで変異してきたことになる。これは概算にすぎないが、それでわれわれDNAについて太古の歴史を解き明かせるかどうか確かめてみよう。
さしあたり、この変化のペース(150万年ごとに1パーセントの変異)はほぼ1年と仮定する。

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『もうすぐいなくなります 絶滅の生物学』

池田清彦/著 新潮社 2019年発行

起こりやすい突然変異と起こりにくい突然変異 より

絶滅を免れて生き残ったものが次の爆発的多様化を起こす、その原動力は何なのか。そこにいったいどのような分子生物的あるいは遺伝的な根拠があるのか。それはじつは誰にもわからないのです。そこがとてもおもしろいところだと私は思うのですが、おそらく、システムが変更されて新しい分類群が創設された当初は、有意味な突然変異を起こす能力が増大し、しばらくすると有意味な突然変異を起こす能力が減少するのでしょう。大木の人は、突然変異はランダムに起こると思っていますが、私は、起こりやすい突然変異と、起こりにくい突然変異があると考えています。
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単孔類のカモノハシは、哺乳類ですが卵を産みます。哺乳類はPeG10という遺伝子があることによって胎盤をつくるのですが、カモノハシにはその遺伝子がないのです(なお、有袋類にも胎盤はありますが、とても小さい)。
獣弓類という原始的な哺乳類(哺乳類型爬虫類といわれている)から単孔類が進化しました。すなわち、単孔類が最初の哺乳類であり、その後に有袋類、さらに有胎盤類が出現しているのです。単孔類から有袋類が分岐するときに、PeG10という遺伝子を胎盤形式の遺伝子として使い出したわけです。PeG10はフグから発見されたSushhi-ichiという遺伝子と相同なレトロトランスポゾンです。レトロトランスポゾンとは「動く遺伝子」の一種で、DNAが転写されてRNAになり、再びDNAとして多種のゲノムに挿入されたものです。フグ(魚類)の遺伝子が哺乳類の祖先に入り込んで、胎盤を作る道具として機能を始めたのです。
また、遺伝子のほんのわずかの違いと形質や機能が相関していることもあります。たとえば、言語に関わる遺伝子とされているFOXP2は、鳥にもあります。鳥は言葉をしゃべりませんが、上手にさえずります。鳥のFOXP2を変異させると、鳴くのが下手になるとも言われています。
チンパンジーと人間のFOXP2は塩基配列がふたつ違うだけですが、このふたつの違いがとても大きな違いなのか、それともその違いはあまり関係がないのか、よくわかっていません。もしかして、チンパンジーのFOXP2を、人間のFOXP2と入れ替えたら、チンパンジーも言語を話すのかもしれませんし、話さないかもしれません。私は話さないと思いますが、もしそうだとしたら、チンパンジーとヒトの言語能力の違いは、塩基配列のふたつの違いによるというよりもむしろ、FOXP2の使い方の違いなのかもしれません。

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どうでもいい、じじぃの日記。
チンパンジーと現人類は、600万年ほど前に分かれた。
チンパンジーを調べてみると、現人類とDNAがおよそ4パーセント異なっている。
現人類のDNAは150万年で1パーセントというぺースで変異してきたことになる。
言語に関係する遺伝子は、この4パーセントの中で3~5個の遺伝子の違いでしかないのかもしれない。
現人類の言語に関係する3~5個の遺伝子をチンパンジーに注入したら、どうなるのか。
もしかしたら、そのうち『続続・猿の惑星』が誕生するのかもしれない。