じじぃの「歴史・思想_76_チャイナスタンダード・動物実験・サルの王国」

First monkeys cloned in Chinese lab - BBC News

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=lVRYA8MD0S8

Monkey kingdom : Nature News

chine : cloned macaque monkeys

MONKEY KINGDOM

26 April 2016 nature
An hour's drive from Kunming in southwestern China, past red clay embankments and sprawling forests, lies an unusual zoo. Inside the gated compound is a quiet, idyllic campus; a series of grey, cement animal houses stack up on the lush hillside, each with a clear plastic roof to let in the light. This is the Yunnan Key Laboratory of Primate Biomedical Research, and its inhabitants are some 1,500 monkeys, all bred for research.
https://www.nature.com/news/monkey-kingdom-1.19762?WT.ec_id=NEWSDAILY-20160420

『チャイナスタンダード 世界を席巻する中国式』

朝日新聞国際報道部/編 朝日新聞出版 2019年発行

サルの王国 より

中国南部の雲南省昆明市の中心部から車で約1時間離れた山中に、新しい研究棟が立っていた。省政府が運営する「雲南中科霊長類生物医学重点実験室」は、動物実験にサルなどを使う先端医療分野で世界最大級の研究施設だ。東京ドーム2.8個分の敷地で、アカゲザルカニクイザル計4000匹を飼っている。
「サルがいる建物だけで70棟以上ある」。職員が指さした壁の向こうには、三角の屋根をした飼育小屋がずらりと並んでいた。
この施設では、サルの動物実験で難病の治療に向けた研究が進む。理事長で昆明理工大特別教授の李維智は「サルは生物学的にヒトに近い。病気の現れ方も似ている」と、サルを使った実験の利点を説明した。
まだヒトの治療に生かせるほどの成果はないが、これまで分かっていなかった難病の発病の経過をつかみつつあるものもあるという。たとえば、パーキンソン病の3歳のサルでは、症状が出る前の段階で、脳の神経細胞に異常が見られたという。李は「このときに対処できれば、発症前に治療ができるようになるかもしれない」と話す。
一方、動物実験にサルを使うことについては、動物愛護や倫理面の問題から、欧米の大学や研究機関は規制を強めつつある。欧州では飼育数が減少。米国では、米国立保健研究所(NIH)がチンパンジーを用いた実験を廃止するなどの動きが出ている。
そんな中、中国はサルの動物実験を巧みに活用し、研究で有利な立場をうかがう。英科学誌ネイチャーは2016年、こうした中国の台頭を「Monkey kingdom(サルの王国)」と紹介し、中国が創薬や臨床研究で「世界のリーダーになりつつある」とする分析を掲載した。
具体的な成果も表れつつある。中国科学院は18年1月、世界初となるサルの体細胞クローン作りに成功したと発表した。実験には大量のサルの卵子が必要になる。
医薬基盤・健康・栄養研究所茨城県つくば市)主任研究員の山海直は「実験がやりやすい中国に研究者が一極集中してしまう」と懸念する。その上で、「老化や霊長類には特有な感染症、脳の病気など、サルでしかできない実験もあり、サルを使った実験の重要性は高まっている。日本はそうした分野に注力すべきだ」と話した。

千人計画 より

中国は、医療や生命科学分野で「2020年までに先進国に並び、一部の領域ではリードする」との国家目標を掲げる。実力とスピードを備えた大国の台頭は、欧米中心だった医療研究の基準や倫理観を揺さぶっている。
米国立科学財団(NSF)のデータをもとにした分析によると、中国の医薬品産業の規模はここ十数年で急激に拡大。16年は約1185億ドル(約13兆円)と、01の10倍近くに膨らんだ。
日本の科学技術振興機構・北京事務所長の茶山秀一は「(生命科学分野は)変化のスピードが速く、少し先んじることが大きな成果につながる。人材も資金も集中的にかけられる中国にとって、主導権を取るにはちょうどいい分野だ」と話す。
海外から優秀な人材を引き抜く動きも目立つ。欧米などの一流大学で博士号を取った人材を呼び寄せる「千人計画」は、この10年で約7000人を招致。海外で培った人脈などを生かし、国際的な共同研究の活性化につながっている。
招致の対象は、海外で活躍する中国籍や中華系の研究者が多いが、もともと中国とは縁のない外国人研究者も引き寄せる。中国の一流大学の教授ポストと同等の待遇で、たとえば日本円で1000万円を上回る年収や100万元(約1600万円)の奨励金に加え、税の優遇なども受けられる。住居を支給する例もあるという。
人材や態勢の強化だけでなく、研究に対する中国の考え方や姿勢も急成長に関係しているようだ。上海のある中国人研究者は「まずはやってみる。注文が付いたら、そのときどうするを考える。それが中国式だ」と語った。