じじぃの「歴史・思想_73_チャイナスタンダード・ギリシャの恩人」

China-Greece cooperation at Piraeus achieves impressive results

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RyBMwYQP71w

China’s Piraeus power play: In Greece

China’s Piraeus power play: In Greece, a port project offers Beijing leverage over Europe

JULY 7, 2019 The Globe and Mail
For Beijing, this Mediterranean trade hub is the showpiece investment for the globe-spanning Belt and Road Initiative. But for Washington and its EU allies, it’s a worrisome foothold for Chinese influence in the West. Caught between two sides in a cold war, what will Greece do?
https://www.theglobeandmail.com/world/article-chinas-piraeus-power-play-in-greece-a-port-project-offers-beijing/

『チャイナスタンダード 世界を席巻する中国式』

朝日新聞国際報道部/編 朝日新聞出版 2019年発行

民主主義と人権

ギリシャの恩人 より

ギリシャの首都アテネの南西約10キロにあるビレウス港は同国最大の港だ。2017年、完成した新たなコンテナターミナルでは、クレーンやトラックが行き交い、大型クルーズ船から毎日多数の観光客が降り立ち、にぎわいを見せていた。
10年、ギリシャが深刻な経済危機に陥り、EUで「お荷物」扱いされた時にも、中国はこの港の開発への投資を続け、地中海屈指の貿易港に成長させた。中国にとって、ビレウス港は国家主席習近平が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」のうち、海上ルートで地中海から欧州に入る結接点に当たる。欧州進出の足がかりとなる要衝だ。
港の運営を担うのは中国の国有企業「中国遠洋海運集団(コスコ)」だ。08~09年、埠頭の長期賃貸借契約を結び、コンテナターミナルの整備などに投資した。
16年8月、ギリシャ政府が財政再建の一環として港を民営化すると、運営会社の株式の51パーセントをコスコが取得。21年までの5年間で、物流センターなどを開発する計画を政府と取り決めた。
苦しい時に寄り添った中国は、ギリシャ人の目には「命の恩人」に映る。09年から中国国営新華社通信の現地記者として働くマリア・スピリオプルは「15年前には中国なんて誰も知らなかった。今は中国語を習う人も増え、経済だけでなく文化交流も進んでいる。両国にとって『奇跡』が起きた」と話す。

EU内の代弁者 より

ただ、中国の支援にはそれなりの代償も伴った。
15年に首相に就任したアレクシス・チプラスはもともと、海軍の拠点でもある同港の経営権を中国側に委ねる前政権の方針に反対の立場だった。
16年6月、ギリシャ国会でコスコに港の運営権を握らせる法案が審議された際、チプラスが率いる与党は「コスコを監督する機関を新設する」という文言を法案い盛り込んだ。
これに中国は敏感に反応した。アテネの民間調査機関「国際経済関係研究所」のプラメン・トンチェフによると、「中国政府から『このまま法案を通せば投資を引き揚げる』という返答があった」。チプラス政権は、その文言を法案から削ることを余儀なくされた。
翌7月、チプラスは訪中し、農産物などの対中国輸出を増やす合意を取り付けた。トンチェフは「中国に批判的だった首相が、別人になって帰ってきた」と振り返る。
その直後、南シナ海の島々の領有権をめぐり、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が中国敗訴の判断を下すと、EUは中国を非難する声明を準備した。しかし、ギリシャなどが賛同せず、声明は立ち消えた。