じじぃの「科学・芸術_917_遺伝子DNAのすべて・細胞周期」

細胞周期学分野 紹介動画

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dwSYJRGaeUA

細胞周期の説明図

高等学校生物/生物I/細胞の増殖

Wikibooks
細胞分裂(cell division)には、体細胞分裂減数分裂がある。 ここでは体細胞分裂について扱う。
間期(interphase)、分裂期(mitotic phase)、前期(prophase)・中期(metaphase)・後期(anaphase)・終期(telophase)
多細胞生物は多数の細胞でできている。 これらの細胞は元は1つの細胞であり、細胞が分裂することによって構造を維持している。 この分裂を体細胞分裂(somatic cell division)と呼ぶ。 分裂の前の細胞を母細胞(mother cell)、分裂で生じた2個の細胞を娘細胞(daughter cells)と呼ぶ。
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E7%94%9F%E7%89%A9/%E7%94%9F%E7%89%A9I/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%AE%E5%A2%97%E6%AE%96

『ビジュアルで見る 遺伝子・DNAのすべて』

キャット・アーニー/著、長谷川知子、桐谷知未/訳 原書房 2018年発行

ダメージの修復

ヒトのDNAは、細胞分裂の際に間違いが入り込むせいで、絶えず損傷を受けている。幸いにも、体には修理を専門とするたくさんの分子がある。

ヒトの細胞が分裂するたびに、細胞にある46本の染色体すべてが、他の全物質とともに複製される必要がある。単純そうだが、細胞周期と呼ばれるこの過程は、細胞が分裂する前にそれぞれの染色体がたった一度で完ぺきかつ正確にコピーされるよう、入念に制御されなければならない。
細胞周期は、4つの区間とチェックポイントからなるサーキットを一方向に回る輪に似ている。最初の区間はギャップ1期(G1期)と呼ばれる。ここで細胞は、新しい細胞が持つべき染色体以外の重要な分子と構造のすべてをコピーし始める。これが終ると、細胞は最初のチェックポイントにたどり着いて、次の段階に進む準備が整ったかどうかを確認する。
第2区間は合成器(S期)で、細胞にあるDNAのあらゆる部分がコピーされる。DNAポリメラーゼと呼ばれるタンパク質複合体の仕事だ。これがDNAらせんの2本の鎖を引きはがして、その部分に沿って動き、AとT、CとGを対にして、それぞれの鎖に合成する新しい鎖をつくる。
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最後に、紡錘体が染色分体を引っぱり、対になった姉妹の一報を細胞の反対側へ引き寄せる。細胞膜が、中央に残された裂け目を閉じ、分離したDNAのセットを密封して、2つの新しい娘細胞にする。染色体はほどけて、核がふたたびつくられ、細胞周期がまたG1期から始まる。ヒト細胞の場合、1周期にはおよそ24時間かかり、G1期が約11時間、s期が8時間、G2期が4時間続き、有糸分裂期はほんの1時間ほどで終了する。
ただし、細胞は必ずしも常に増殖しているわけではない。常に増殖しているのは、体内組織のほとんどに含まれている特殊化した幹細胞だろう。幹細胞は分裂し続け、新しい幹細胞や非分裂細胞をつくる。細胞周期から外れた細胞は、静止期(G0期)と呼ばれる休止状態に入る。
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DNAに間違いがあると、問題が起こる。細胞がレシピを正しく理解できなくなってしまうからだ。ときには、細胞がするべき仕事をせず、タンパク質を正しくつくらないこともある。もっと深刻な状況では、細胞周期の制御に必要な遺伝子が変化してしまい、細胞が制御不能な増殖を始め、がんを引き起こす可能性がある。
ただし、すべての間違いが有害なわけではない。変異のなかには、人に利益を与え、環境への適応を助ける好ましい変化を起こすものもある。もしそれらが次世代に伝われば、時とともにさまざまな種を形づくり変えていくだろう。これが自然選択の基本――進化の礎(いしずえ)だ。

ヘイフリック限界 より

1960年前半、アメリカの生物学者レオナード・ヘイフリックは、実験室で培養している細胞が分裂を止めて最終的に死ぬまでに、一定の回数した(たいてい50~70顔の分裂)増殖できないことに気づいた。このいわゆるヘイフリック限界が起こるのは、DNAと、各染色体の両端にあるテロメアと呼ばれるタンパク質の”キャップ”が、細胞分裂のたびにどんどん短くなるからだ。
テロメアは、靴ひもの両端にあるプラスチックのキャップのように、染色体の両端が削れたり誤って結びついたりするのを防いでいる。幹細胞など、継続的に成長し分裂する必要のある細胞は、テロメラーゼという酵素のスイッチを入れる。この酵素は、テロメアを適切な長さに再生させることができる。テロメラーゼは通常の細胞ではスイッチが切られているので、テロメアが短くなりすぎると、細胞は成長を止めて、アポトーシスと呼ばれる一種の”自殺”過程を始動させる。これは、細胞が不必要に増殖するのを防ぎ、がんから身を守るのに役立っている。しかし、多くのがん細胞は自身のテロメラーゼを再活性させ、際限なく増殖し続けることができる。